2015年6月7日:島根県吉賀町主催「災害に強い森林づくり講演会」と現地アドバイス会レポート
・・・ただいま製作中・・・
4yoshiga50607-1 Webサイトに告知していた吉賀町での、「田中賢治氏の講演会&現地アドバイス会」に参加して来たので内容をレポートする。


 前年には、私が所属する島根県林業研究グループ連絡協議会とNPO法人もりふれ倶楽部の主催で隣町の津和野町に於いて、同じ主旨の勉強会を開催して、そのレポートを載せているが、今回、さらに内容が進化しているためレポートすることにした。両方併せてご覧頂けばより理解し易いと思う。

 また、島根県の林業課林業普及スタッフのS氏の、“はいっ、こちら林業普及スタッフです”のレポートページも併せてご覧頂ければより詳しく理解出来る事と思う。

 何れのレポートでも、田中氏の作ったパワーポイントデータの撮影画像を使っているが、ご本人に了承を得ている事をお断りしておく。さて、今回も長いレポートになりそうな予感が・・・

 まず、共通認識のために、以前に行われた田中氏の奥出雲町と津和野での講演会で聞いた“災害に遭いやすい森”の傾向について自分的に解釈してお浚いする。文責はサイト管理者。

・林内に日が射さない放置林は、針葉樹・広葉樹も光の取り合いをして上方にひょろ長く伸びるとともに一律の育ち方をしているため、根の深さが同じ程度になりがち
・木材資源利用がされていない過密林は、かつて盛んに山の資源が活用されていた頃に比べて地面から上が重たい
・広葉樹だからといって、地面を奥深くまで根が入っているわけではない(横には広がるが)。故に広葉樹林だからといって斜面保持の力が強いと言えない。広葉樹、針葉樹とも大木になっているものが、根が地中深くまで入っている
・斜度がある放置林で平均的に根が浅い場合に、短時間に豪雨が降って地中に水が浸み込んで根の下を大量の流れたときに斜面崩壊が起きる(津和野町の場合にはパイプ流となった)

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上の左画像が針葉樹。右画像が広葉樹。赤く表示されているのが根の部分。プロットされた樹形と根の部分を比較されたい

 では、どうやったら崩壊に強い森造りを行うかというのが、この現地アドバイス会と講演会の目的。今回、林野庁の“土砂流出防止機能の高い森林づくり指針”の簡易版資料に続いて、分厚い解説版が初めて公開された。
その資料の基となった知見を教えて貰いながらの勉強会となった。
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 当日の朝、集合場所の吉賀町役場から最初の現地へ移動して挨拶。可成り大勢の参加者が集まった。
 先ず、国土防災技術株式会社の田中氏から、広場から見える山の植生や地溝帯などの説明を受ける。

 基本は、集落の上部は、適正な間伐を行ない太い樹を育てて土砂が流れ出さない様に捕捉できる林を育てる事。林内に光が入り下層植生と太い樹が育つ様に適正なタイミングで間伐を入れて行く事と。
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 町有林へ移動する。吉賀町役場産業課のT渕氏が現地へ案内。

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 林内を回りながら田中氏から説明を受ける。上の写真は斜面の中で凹んでいる場所。過去に地面が動いた形跡がある。アップの写真で解る様に、木の根が曲がっていたり、樹自体が斜めになっているものがおおいところ。それでも、太く育っている場所。

 通常、主伐や間伐等を委託請けた林業事業体は、こういった曲がり木などは軒並み伐って出してチップ工場などに送ってしまうが、折角太く育って根が張って斜面を捕捉している樹を伐ってしまうと豪雨が振った場合に土砂崩れを起してしまうということ。

 其の様な事を防ぐためには、良木でなくても太い樹は残しておく事が大事だと田中氏。広葉樹でも、伐った跡の切り株が斜面を捕捉しているのは5〜6年と云われている。その間に、朋芽更新(若齢の広葉樹の場合)させられるか、または苗を植えて育林を行なう必要がある。

  此の様な循環を保つのは、今の材価の安い状況で燃やすための材を出す様な事業に山を売ってしまったらとても無理。やはり、自伐型の林業で自分たちのコント ロール下で山を育てていかないと、時に地域維持にとって途轍も無い瑕疵を起すことになる可能性を含んでしまうことは誰でも解るはず。

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  参加者に山の見方、植生の見方や、土壌の見方について説明がある。航空レーザーによる測量図(立体可視化図)による科学的な説明も行なわれる。崩壊発生源 は、谷地形の頭部、谷壁斜面などの水が多く集まり易いところ。この事については、自分の山を自身で施行している自伐林家の方々には解り易いのではなかろう か。昔、多くの人が山に入っていた頃には、どこそこの場所は危ないなどと認識していたはず。

 また、この山の表土は2〜3cm程度とのこと。そろそろ、もう一回間伐を入れたい。光を入れれば、樹も育ち下層食性も育つ。其処には鳥や生き物が来て糞をして土壌微生物を活性化させるので有機物を分解して肥料化していくサイクルが出来上がる。

 島根県東部の奥出雲町で農家林家を営み島根県県林研の会長である響氏の山は何時も鳥の鳴き声が止まないが、そちらの調査結果によると斜面の表土は10cm厚であるとのこと。


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 さて、2月の江津市での講習会に続いて吉賀町でも土中の水の音を聴く試みが行なわれた。希望者が交代で測定器に繋げられたヘッドフォンを被り耳を澄ます。参加者が動くのを止めジッとしていると、コロコロコトコトと水の流れる音がする。
 試しに、足をドンッと地面に降ろしてみたが、(^^;; ヘッドフォンを当てている人が、別にビックリする風もなかった。

 この聴診器の様な機械は加速時計だそうだ。センサーが拾った振動をFFT(ファーストフーリエ変換)で計算している。
 右側の機械は、土壌分析のためのもの。ecの値を測るためのものという説明を助手の森嬢から受けた。

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 その場で森嬢にec値とは何?と質問すれば、土壌の電気伝導率とのこと。ネットで調べると有機物のイオンについて調べる様だ。

以下製作中・・・つづく

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