
今年のテーマは、“輝く女性”、ということで、初日は女性による事例発表とパネルディスカッションをメインに、二日目は女性達のメインの団体に活動発表を行なって頂き、あとは身体を動かすメニューへ。今年は、“ツリーワーク体験会”を行なった。体験会は午前中に会員のみ。そして、午後は申し込みのあった外部の方のツリーワークの勉強会へと展開した。
【26日:総会、研究発表、事例発表、パネルディスカッション、意見交換会】


島根県県林研事務局の坂越氏の運営で始まった(坂越氏が管理しているブログ。またジット島根の事務局も兼任して居られる)。開会の挨拶は、県林研会長の響氏から。そして中山間地域研究センターの研究員の発表が行なわれた。


続いて、この度県林研の理事に就任した滝川麻衣さんの発表が行なわれた。内容は青年海外協力隊でタンザニアに派遣されていた時やNGOスタッフでザンビアでの生活の話しを中心に、地域とのつながり、資源の活用などについて自身の体験に基づく話だった。
滝川さんは、数年前に北陸からのIターンで益田市の地域活性化コーディネータとして就任。現在、美都町に於いて地域づくりに関わっているが、本人的にはもっと森林資源活用を行ないたいと、ジット島根に入りチェンソーワークの修行中。
ところが、発表の為に登壇すると、一番前の席に座っていたKOA森林塾の早川氏を見つけて、「先生!なんで此処に居るの〜?」、とビックリ。そう彼女はKOA森林塾の塾生でもあったのだった。
次のプログラムは、島根県にIターンした女性4名のパネルディスカッション。Yさんは、広島の安佐南区の土石流災害に考える所があって森林に関わる仕事が したいと看護師の仕事から林業就業支援講習を受けて、県東部の森林組合に作業員として入った方。Tさんは、木工ろくろなどに惹かれて20年前に広葉樹の多 い匹見町に夫婦で移住した方。旦那さんが町の造林班で頑張り、現在は夫婦で市の職員に。Hさんは飯南町の地域おこし協力隊としてこの4月に就任。お婆さま が居られて毎年来られていたとのこと。チェンソーワークも習って椎茸のホダ木を伐って菌打ちなどもやっている。そして、コーディネートは、もりふれ倶楽部 の事務局も務めるF原のお姉様。

皆さんの想いを引き出して突っ込んだ話しをもっと聞きたかったが、時間が短すぎた。もう少し詳しい内容は、坂越氏のブログをご参照。
その時間の足らない分は此れ。夜の意見交換会と言う名の懇親会?宴会?飲み会?一般の森林保全の団体から、林業事業体に所属する人達や、県の林業関係の職員まで様々な人が集って話しをする年に一回の大事な時間。
島根県では皆仲が良いので何時も楽しく盛り上がる。
中山間地域研究センターは奇麗で居心地が良いし宿泊代が2500円と廉価。懇親会費用は2500円で殆ど飲み放題状態。
ま、大事な情報交換とネットワークづくりは費用の多寡ではないが、安いのに越した事はない。
【27日午前:島根県林研活動発表、ツリーワーク体験】
最初は、樹冠ネットワークさんの活動発表。そして、外でツリーワークの体験を行なうのだが、生憎の天気で外は雨。


先ずは、ODSKさんによる新しく出たポータブルウィンチの小型版で、女性達の牽引体験を行なう。生憎の雨の為に現場に行けなかったので簡単に終わってしまい残念。
それから、敷地内の広葉樹の下で、スローバッグを投げて枝に掛けるデモンストレーションが行なわれた。スローバッグの使い方についてご存じない方は、本ブログの前回の柿木村でのツリーワーク体験会の記事をご参照のこと。


その後は、雨除けの屋根が有る施設内の堆肥置き場の棟へ移ってロープクライミングの体験を行なった。今回は、県林研のリーダー研修であるが、外部からの参加希望が多かったので、特別に今回だけ午後も同施設を使ってオープンな体験会を続けた。

午前中は、県林研の会員と外部の方との合同で集まっていたので人数が多かった。
今回のテーマは、「輝く女性」なので、先ずは女性陣からクライミング。

女性達は腕の力が無いので、最初は戸惑っていたが、慣れて来たらスイスイと登れる様になった。本当だったら外の大きな樹に登れるはずだったのだが、雨男が居たらしくて雨の降りが収まらなかった。

もりふれ倶楽部事務局の優秀な女性三名のうちのお一人。F原のお姉さんもお年を聞いたらビックリ!でも、楽しいものは楽しい。
皆さん、高い所に登るのは好きな様子。ただ、此処は木の枝では無かったので、足を掛ける幹などが無く宙ぶらりんなのでちょっと慣れるまで難しかった様子。


縄文の森協議会の事務局である当家の愚妻も登らせて貰った。申年なので高い所が大好き?

【プロ達の体験会】
午後からはプロ達の時間。みな林業関係者。特伐を仕事としている人達も沢山参加。ODSKさんのお客さん達が多い。先ずは、スマートウィンチの説明から始まった。

下の画像は樹上で枝を切り落す時の一例をK氏から説明を受けている。

専門的な突っ込んだ質問が飛び交う。スプライスに関連してロープの被覆を剥いて中身の説明を受ける。他にはリギングの際のセッティングについて二本の丸太を使って説明。


アッセンダー(登高器具)のヒッチハイカーやロープランナーの使い勝手やメリット、デメリットなどの説明を受ける。


ArborhythmのH氏たちは、中国電力の依頼を請けて特殊伐採を行なっている方達。K氏と道具についての情報交換が出来た様子。他にも株式会社きこりのS氏も来て居られたり、わたしが知らないだけで、ツリーワーク、つまり特殊伐採を積極的に仕事とされて居られる方々は結構多い島根だったのだ。


実際の樹上ではなくて残念だったが、K氏の樹から樹へ移るデモンストレーションも見せて貰えた。我々は、そんなことも出来るのか!と、感動。
【自伐型の林業、山仕事に於けるアーボリストの精神と智慧の有用性について】
実際のところ我々の様な自伐型の林業の入門者にとっては、あまり関係のない高いレベルの世界ではあるけれど、それでも考え方や安全管理については学ぶ事ばかり。また、自分たちレベルに応用すると作業が安全に楽になる道具類も多々ある。



しかしながら今の日本では、薪炭林として使われなくなった広葉樹の放置林が都市近郊では60年生位になり、また此方の地方でも30年〜40年生の大木になってしまっている現状がある。広葉樹は、この年数を超えると朋芽更新と言って伐った切り株から再生しなくなるのは、当ブログを覗かれる方はご存知のことだと思うが、故に今の内に伐って活用しないと伐採後の自然生えが期待出来なくなる。
また、伐った後の根も5、6年経つと腐って斜面保持力が無くなって来ると言われているので、こういった山林でも出来れば斜面崩壊を防ぐ為に全伐は行ないたくない。


ところが、樹が大きくなると、放置林の場合には蔓も太くなり隣の樹と絡み付いてにっちもさっちも行かなくなる。また枝の張った樹を倒せば、隣の樹と枝絡みして掛り木になったり、また倒れる時に不意な動きになったりする。
やはり、その場合には、アーボリストの技術をもって安全に樹に登って前もって養生が済ませられるだけで作業全体の危険度が下がる。其の点からも、このツリーワークの技術は身に付けたい。
以前、神奈川の林業事業体に居た時に、屋敷の裏の枝降ろしの仕事もあったが、この技術から思えば何と幼稚な事をやっていたのかと冷や汗が出る想いだ。結構、若者達が門戸を叩く知られたところであり其れなりに若手は講習に派遣されていた。でも、残念ながら意識レベルが全然違う。建て前は安全管理をしているけれど、今から振り返ると全然緩過ぎた。やはり勉強心が足らない所は危ないよね。実際に、事故を起こした人を抱えて山から下りて来た事がことがあるし・・・
【島根に於けるツリーワーク講習を計画】
もっと、啓発活動をしましょう。と、いうことでODSKさんには、今後島根に足を運んで頂く予定。助成の関係で会員のみ対象のスローバッグを活用した掛り 木処理、そして搬出の為の特殊技術を研修を行なうが、其れ以外に受講費をいただいてツリーワークのスキルアップクリニックを別途日を改めて行ないたいと相 談している。
その際には、特殊伐採を行なっている事業体さん達や森林組合さんたちにも声を掛けて相談したいと考えているのでご協力頂ければ幸い。
島根にも広がるか、アーボリストの智慧と技術が・・・

こちらは、出雲市の造園協会の講師の方々と。ビッグショットでスローバッグを飛ばしているところ。
男の子たちは誰でも、ガチャ類やこういった道具をみたら幾ら時間があっても足らないことになる。研修中の造園協会の先生方、黒松の樹医のマッキー大先生、失礼を致しました!是非、ツリーワーク、吊し伐りの講習会をやりましょう・・・
以上