
主催は石見の森こだま協議会。協議会設立に当たって組織が出来上がるまで自分も関わった団体なので、益田に出る用事を済ませがてら、講師の方々に冷たいドリンクの差し入れを持って講習会の様子を見に行ったのだった。
お、皆さん、講師の言う通り素直に動いている・・・これって、結構地域性がありまして、チェンソーや搬出の講習をやっていても地域毎で結構気質がそれぞれ違う。地域のことをやっているとよく解るんだけど、集落が違うだけで面白い位に気質が違う事がある。
【受講生、上達中】
講師陣はジット島根の面々。自分自身は4年前からジット島根のS氏に教わることが多くあり、また理事長の石垣氏と副理事長の米津氏にも一回だけ教わった。昨年度の仕事ではチェンソー講習会を開催していたので、ジット島根の方々に講師として来て貰いお手伝い頂いていた。
其の様なこともあり、何度ジットの講習会をご一緒しているか解らないほどだが、ジットの講習は何度見ていても勉強になる(単に覚えが悪いだけ?)。


益田のA氏は、益田の真砂地区で3年ほど前にチェンソー研修を行なった際に始めて受講されていた人。紺色の合羽を着ている人なのだが、その後益田で講習が無かったので改めて今年度から数回講習を受けている。
ポジショニングが可成り板について来ていて、講習後に講師のE藤氏に褒められていたが写真をご覧になって如何だろうか。
【チェンソーの構え】
右上の写真で前ハンドルを右寄りに持っているのは、丸太が斜めに掛けてあるためだが、腕が遊んでいない。ジットでは所謂人間工学に基づいて動作を教えているのは目立てもチェンソーワークも同様。
チェンソーワークの場合には、現場で不安定な要素を抱えた状態で材を切り進んで行った場合での、予想出来なかった張力の変化や重心の移動による材の不意な動きに対応出来る様に、このチェンソーの構え方から徹底して教えている。
つまり、以下の様な現象が起きて自分自身を切ってしまうことが発生することを防ぐため。
・キックバック:ソーバーの先端上側だけが材や枝に当たった際に跳ね上がる現象
・プッシュバック:材を切っていく際にソーバーの上部、つまり背の側が両側から締め付けられた時にチェンソーが押し戻され、自分に向かって材から飛び出して来る現象
・プルイン:初心者がやりがちだが、エンジンが低速回転の状態でソーバーを材に乗せるとチェンソーが引っ張られて人間も持っていかれる現象
カタカナなのはご勘弁。チェンソーは日本発の道具じゃないから日本語表記はないのです。
さて、詳しく書くのは今回の記事の目的ではないので端折るが、端的に言えばチェンソーを両手がブラブラの状態で持って材を切る作業をやらない、ということ。
立ったポジションならば、脇は締めてチェンソーの身体の一部に当てる。どんなポジションでも身体もチェンソーのホールドに使うだけで、手や腕の負担が軽くなるだけでなく、持ち方一つでチェンソーが暴れた場合に振れを最小限に抑えられる。
そして、不意な動きをしたチェンソーの鋸道(ソーチェーンが向かう方向)が自分に向かって来ない位置にチェンソーをホールドして材を切る。などが、あるが書くと長くなるので、別の記事で題材が出て来た際に説明する事にしよう。
詳しくは別ページにも紹介した、全林協さんから出ている「伐木造材のチェーンソーワーク」をご覧頂ければと思う。もしくはジットの講習会を受けるかですね(行政主催で各地で行なっている場合もあるし、本部の静岡でも行なっている)。講習の様子はこちら。こちらもご参考に。
自分自身がチェンソーワークの研修をジット以外の他の方々から受けた事がない(特別教育だけはあるが)ので様子が分からないのだが、こと素人が安全にチェンソーを運用していくためのポジショニングをロジカルに解り易く、そして徹底的に教えているということについてジットは非常にレベルが高いと思う。
【スロットル(アクセル)コントロール】
さてさて、ジットの研修では立てた丸太のスライスを行なうメニューがある。写真を撮って於いたので、今回はこの件について説明してみる。
この横方向のスライス研修の場合には、スロットル(アクセル)を開けずに「低回転で」丸太を切っていく。つまり、これは目立てが出来ている、出来ていないが直にバレるのだ。
目立てが出来ていないと、切れて行かないので丸太を押す事になるので丸太が倒れる。もしくは高速回転にしないと切れないので、目立てが出来ていない事が音でバレる。(^-^;;
皆さんも見た事があるでしょう?現場でチェンソーの音がワンワン唸って派手だけど、全然材が切れていないとか、出ている切り屑が粉ばかりだとか、チェンソーをノコギリみたいに前後に動かしたり、またはシーソー如く後ろハンドルを上げたり下げたりして一所懸命に材を伐ろうとしているシーンを。目立てが出来ていないのがバレバレなのね。


目立てが出来ていれば、刃がドンドン入って行って丸太は動かないし、そして最後の皮一枚のところでスロットルワークを上手にやれば伐った薄い材が飛ばずに丸太の上に乗ったまま終わる(フックがきつい刃とか、デプスを削り過ぎた刃では飛ぶが)。
なんで、此の様なことをやるかというと、受け口と追い口を造る際に、この低回転でのスロットルコントロールが必要だから。
また、右の写真の様に、追いヅル伐り(重心が偏っている木を伐倒するさいに、安全のために通常のツル以外に、追い口のところにツルを作っておく方法)を行なう際の突っ込み伐りで同様の構えとスロットルコントロールを行なうための重要な技術であるため。
写真は、3年前のジットの副理事長米津氏のもの。
我々素人が受け口を修正する時とか、会合線を仕上げる時とかに、切れない刃のチェンソーを使っている人はエンジンを高回転にワンワン吹かしてやっているケースが殆ど。だから受け口がグチャグチャになるし、切り過ぎたり切り足りなかったりの繰り返しで受け口がドンドン大きくなってしまったりする。
結局、切れない刃でやる作業方法しか出来ないから何時まで経っても上手にならない。要するに道具を自分のコントロール下に置いていない訳。
作業でもビジネスでも人生でも同じだけど、如何にアンダーコントロールの状態に持って行けるかどうかの精度の違いが結果に大きく響くのは当たり前。他人任せ、道具任せ、成り行き任せの依存的精神だと、結果に大きく振幅が出ること必須。
山仕事は、仲間の安全、命も預かっているのだから全てコントロールしていくことが大事。自信が持てないのだったら、引き下がる勇気も大事ね。おっと、また能書きを書いてしまった。スミマセン、わたくし元々が心理学系、哲学系が専攻だったものなのでご勘弁を。


如何だろうか。皆さん受講生。あ、オレンジ色の上下を着た人は講師のE藤先生。西日本ではジットの星マークを一番持っている方。
上写真の左側のFオジさんは、私が島根に移住して来た最初の3年間益田市の嘱託職員で仕事をさせて頂いた時の担当地域の住民の方。お久々とご挨拶。右上のお方は森林インストラクターでキノコや山菜の大先生。元西部農林振興センターの職員で、今は石見の森こだま協議会の会長を務められているT氏。
ポジションが違うのは、丸太の切り口の高さが違うから。切る位置によってポジションは変えないとならないが基本的には同じ構えだ。
先ず、上の丸太の高さの場合チェンソーの位置が低いので、スロットルは右手親指でコントロール。指先でなく指の付け根で握る事。此れは人差し指でも同じ。指先でスロットルレバーを操作すると微妙なアクセルコントロールが出来ないから。

E藤先生の見本。右肩の位置が前だとチェンソーを構えた時に、左側の脇が相手ホールドが甘くなる。

なので、右足も右肩も後ろにすると此の形。


では、女性受講者の方の写真で観てみよう。彼女は初めてのチェンソー講習受講者。オジさんに連れられて来た。正面からの写真。まあまあ良さそうだが、右上の写真を見ると左腕が辛そう。
指導を受けてちょっと身体の向きを変えたのが下の写真。後ろハンドルをお腹で固定。此れだけで、チェンソーの重さが分散されるのと、腕の角度が楽になるので負担が少なくなる。そして、何かチェンソーが弾かれる様な事があっても身体で受けとめられる。
基本的に回っているソーチェーンは、身体の脇しか通らないので自分を切る事はない。此れが逆に、腕が開いた状態でブラブラだとチェンソーが弾かれた時には刃が自分に向かって来る事が無いとは言えない。


あとは、前ハンドルを持っている左手の位置にも注意。
90度横にして持つ場合に前ハンドルの頂点辺りを持つ人が多いが、そうすると必ず脇が甘くなる。オレンジ色の上下を着たE藤先生の持つ位置をご参考に。
さて、此の下の写真を載せた意図は解りますよね。プロでも見掛けるのだが、危ない事も何も訳も解らない素人は絶対やってはいけません。
写真の様に親指をバーに沿わせただけだと、チェンソーが暴れた時に外れる可能性が高くなるからなのだが。
つまり、常にチェンソーをコントロール下におく、という安全管理からの意味で言えば、コントロール不能に陥る可能性を誘因していることになる。何か不可知の要素が合った場合の事を考えれば、親指はバーに回して握った方がご自身のためによいことであるのは理解出来ると思う。
勿論、伐っている時に絶対に暴れないと解っている時があるけれど、結局、身体にこういう癖をつけておくと、疲れた時とか何か魔が差したときに事故へ繋がってしまう事になりかねないので、最初からリスクを背負う癖はつけない方が良いでしょ、と言う意味。
こんなページをわざわざ読むのは初心者の人たちだろうから、最初に変な癖は付けない様にしておいた方が幸せ。
山や海って言うのは、理屈では解しきれないエネルギーを持っている場というのがあって、自分のエネルギーが落ちている時には、通常考えられない様な事をやってしまう、魔が差すという事が多々あるのね。
そもそも、樹の命を頂いてお金にしている訳だから、昔の山師の様に山に対する畏れとか敬いがないと負のエネルギーに巻かれてしまうのではと考えてしまう。そういった他の生命に対するリスペクトの気持ちが持てない人は、結果観ていると怪我とか事故が多いなあ。
我々素人こそ、自然に対する畏怖の念と感謝の気持ちを携えて山の恵みを頂くと言うスタンスをもって臨みましょう。その為には、セオリーに則って作業する事が大事。




皆さん、雨の中をお疲れさま。益田の人たちはホント真剣に学んでいた。教える講師側もやりがいがあったはず。普通、何人かでチーム分けすると遊んでしまう人が出るのが常。そして自分の腕自慢度か道具自慢で別の事をやり始める人たちが居たりする事があるのだが、此処はそう言う事がない。
右上写真の手前四名がジット島根の講師方々。奥はもりふれ倶楽部事務局長の野田氏。こだま協議会の副会長でもある。
此方の下の写真は今回の研修が行なわれた益田市匹見町の山直市場。来年に匹見峡の温泉に薪ボイラーを導入するので、その薪材を住民の人たちに山から出して此処に持って来て貰うところ。右写真左の女性が受付担当&薪割り担当。
この薪ボイラー導入の為のの視察は一昨年度に関係職員で揃って、それから真砂地域の人たちとも合流して、マイクロバス2台で高知へ行って中嶋氏に案内してもらった。和紙工芸村のボイラーと土佐の森の山と日高の土場、それから佐川町の谷岡氏の山へと充実した内容だった。お世話になりました。



今回の研修では、益田市の林業水産課のY課長、匹見総合支所の支所長、そしてこちら匹見支所のM上課長も受講していた。皆さん凄い。あれっ、若手が居ないな〜。と、思ったら東京へ人探しに行っていた。


M上課長、「匹見の山はわしが守る!」。腰の調子が良くないので中腰は厳しいのに、チェンソーワークを上手にこなしていた。
さて、益田市では、森の守り人として地域おこし協力隊を募集している。確か2名は決まったはず。まだ、空きがあるので(今年度は決定したらしい)興味のある方は問い合わせしてみては如何か。但し、地域おこし協力隊という制度は任期終了後には、地域に定住して任期中に身に付けた事を生かした地域で仕事をやって行く事が前提。地域との相性も大事なので、良く確認の上検討するのも大事かと。
益田ってノンビリしていて過ごし易いし食べ物は美味しいですけどね。ただ、匹見は雪が多い。
以下は、5月の匹見での研修の模様。伐倒の際の隅切り、所謂斧目の入れ方の研修風景の画像。講師はジット島根のU島氏。


隅切りは受け口の両側に作る。木が倒れる際に両側が裂ける事を防ぐ為のもの。こういった作業を行なう際には、チェンソーの前ハンドルを動かすのではなく、前ハンドルを支点にして後ろハンドルを上下させる。それによって、ホールド性が保てるのと、腕の疲れが違う。また、力余って余計に伐り抜くことも防げる。と、U島講師。

シッティングポジションの場合には、左肘を腿に載せてホールドし、同じく前ハンドルを支点にして切る。

巾とか深さ、横の角度はこの位?って解らないですよね。木の太さや受け口の大きさでも異なるのでテキストをご参照のこと。
この写真では解らないが、動画だとバーの先端は材の右側に出ている所から始まり引いて切って来てこの写真の様に中に食い込んだところ。この位置に付ける場合には、そうやるということ。
そしてこの状態からは、バーを振らずに此処で止めて、あとは引き抜くという様になる。止めないと地面や自分の足を切る方向に抜けるから。

此方はジット島根のI田氏に教わる?公民館のTお姉様。和太鼓、笛、踊り、唄なんでも上手な信州大出身の才女。その上、チェンソーまで上手くなってどうするの。20年前に夫婦で地縁のない匹見に移住。今ではしっかり根が生えた?

伐倒方向を決めて受け口作り。チェンソーも上手なんだよな〜。あ〜、怖い怖い。
以上
講師陣はジット島根の面々。自分自身は4年前からジット島根のS氏に教わることが多くあり、また理事長の石垣氏と副理事長の米津氏にも一回だけ教わった。昨年度の仕事ではチェンソー講習会を開催していたので、ジット島根の方々に講師として来て貰いお手伝い頂いていた。
其の様なこともあり、何度ジットの講習会をご一緒しているか解らないほどだが、ジットの講習は何度見ていても勉強になる(単に覚えが悪いだけ?)。


益田のA氏は、益田の真砂地区で3年ほど前にチェンソー研修を行なった際に始めて受講されていた人。紺色の合羽を着ている人なのだが、その後益田で講習が無かったので改めて今年度から数回講習を受けている。
ポジショニングが可成り板について来ていて、講習後に講師のE藤氏に褒められていたが写真をご覧になって如何だろうか。
【チェンソーの構え】
右上の写真で前ハンドルを右寄りに持っているのは、丸太が斜めに掛けてあるためだが、腕が遊んでいない。ジットでは所謂人間工学に基づいて動作を教えているのは目立てもチェンソーワークも同様。
チェンソーワークの場合には、現場で不安定な要素を抱えた状態で材を切り進んで行った場合での、予想出来なかった張力の変化や重心の移動による材の不意な動きに対応出来る様に、このチェンソーの構え方から徹底して教えている。
つまり、以下の様な現象が起きて自分自身を切ってしまうことが発生することを防ぐため。
・キックバック:ソーバーの先端上側だけが材や枝に当たった際に跳ね上がる現象
・プッシュバック:材を切っていく際にソーバーの上部、つまり背の側が両側から締め付けられた時にチェンソーが押し戻され、自分に向かって材から飛び出して来る現象
・プルイン:初心者がやりがちだが、エンジンが低速回転の状態でソーバーを材に乗せるとチェンソーが引っ張られて人間も持っていかれる現象
カタカナなのはご勘弁。チェンソーは日本発の道具じゃないから日本語表記はないのです。
さて、詳しく書くのは今回の記事の目的ではないので端折るが、端的に言えばチェンソーを両手がブラブラの状態で持って材を切る作業をやらない、ということ。
立ったポジションならば、脇は締めてチェンソーの身体の一部に当てる。どんなポジションでも身体もチェンソーのホールドに使うだけで、手や腕の負担が軽くなるだけでなく、持ち方一つでチェンソーが暴れた場合に振れを最小限に抑えられる。
そして、不意な動きをしたチェンソーの鋸道(ソーチェーンが向かう方向)が自分に向かって来ない位置にチェンソーをホールドして材を切る。などが、あるが書くと長くなるので、別の記事で題材が出て来た際に説明する事にしよう。
詳しくは別ページにも紹介した、全林協さんから出ている「伐木造材のチェーンソーワーク」をご覧頂ければと思う。もしくはジットの講習会を受けるかですね(行政主催で各地で行なっている場合もあるし、本部の静岡でも行なっている)。講習の様子はこちら。こちらもご参考に。
自分自身がチェンソーワークの研修をジット以外の他の方々から受けた事がない(特別教育だけはあるが)ので様子が分からないのだが、こと素人が安全にチェンソーを運用していくためのポジショニングをロジカルに解り易く、そして徹底的に教えているということについてジットは非常にレベルが高いと思う。
【スロットル(アクセル)コントロール】
さてさて、ジットの研修では立てた丸太のスライスを行なうメニューがある。写真を撮って於いたので、今回はこの件について説明してみる。
この横方向のスライス研修の場合には、スロットル(アクセル)を開けずに「低回転で」丸太を切っていく。つまり、これは目立てが出来ている、出来ていないが直にバレるのだ。
目立てが出来ていないと、切れて行かないので丸太を押す事になるので丸太が倒れる。もしくは高速回転にしないと切れないので、目立てが出来ていない事が音でバレる。(^-^;;
皆さんも見た事があるでしょう?現場でチェンソーの音がワンワン唸って派手だけど、全然材が切れていないとか、出ている切り屑が粉ばかりだとか、チェンソーをノコギリみたいに前後に動かしたり、またはシーソー如く後ろハンドルを上げたり下げたりして一所懸命に材を伐ろうとしているシーンを。目立てが出来ていないのがバレバレなのね。


目立てが出来ていれば、刃がドンドン入って行って丸太は動かないし、そして最後の皮一枚のところでスロットルワークを上手にやれば伐った薄い材が飛ばずに丸太の上に乗ったまま終わる(フックがきつい刃とか、デプスを削り過ぎた刃では飛ぶが)。

また、右の写真の様に、追いヅル伐り(重心が偏っている木を伐倒するさいに、安全のために通常のツル以外に、追い口のところにツルを作っておく方法)を行なう際の突っ込み伐りで同様の構えとスロットルコントロールを行なうための重要な技術であるため。
写真は、3年前のジットの副理事長米津氏のもの。

我々素人が受け口を修正する時とか、会合線を仕上げる時とかに、切れない刃のチェンソーを使っている人はエンジンを高回転にワンワン吹かしてやっているケースが殆ど。だから受け口がグチャグチャになるし、切り過ぎたり切り足りなかったりの繰り返しで受け口がドンドン大きくなってしまったりする。
結局、切れない刃でやる作業方法しか出来ないから何時まで経っても上手にならない。要するに道具を自分のコントロール下に置いていない訳。
作業でもビジネスでも人生でも同じだけど、如何にアンダーコントロールの状態に持って行けるかどうかの精度の違いが結果に大きく響くのは当たり前。他人任せ、道具任せ、成り行き任せの依存的精神だと、結果に大きく振幅が出ること必須。
山仕事は、仲間の安全、命も預かっているのだから全てコントロールしていくことが大事。自信が持てないのだったら、引き下がる勇気も大事ね。おっと、また能書きを書いてしまった。スミマセン、わたくし元々が心理学系、哲学系が専攻だったものなのでご勘弁を。


如何だろうか。皆さん受講生。あ、オレンジ色の上下を着た人は講師のE藤先生。西日本ではジットの星マークを一番持っている方。
上写真の左側のFオジさんは、私が島根に移住して来た最初の3年間益田市の嘱託職員で仕事をさせて頂いた時の担当地域の住民の方。お久々とご挨拶。右上のお方は森林インストラクターでキノコや山菜の大先生。元西部農林振興センターの職員で、今は石見の森こだま協議会の会長を務められているT氏。
ポジションが違うのは、丸太の切り口の高さが違うから。切る位置によってポジションは変えないとならないが基本的には同じ構えだ。
先ず、上の丸太の高さの場合チェンソーの位置が低いので、スロットルは右手親指でコントロール。指先でなく指の付け根で握る事。此れは人差し指でも同じ。指先でスロットルレバーを操作すると微妙なアクセルコントロールが出来ないから。

E藤先生の見本。右肩の位置が前だとチェンソーを構えた時に、左側の脇が相手ホールドが甘くなる。

なので、右足も右肩も後ろにすると此の形。


では、女性受講者の方の写真で観てみよう。彼女は初めてのチェンソー講習受講者。オジさんに連れられて来た。正面からの写真。まあまあ良さそうだが、右上の写真を見ると左腕が辛そう。
指導を受けてちょっと身体の向きを変えたのが下の写真。後ろハンドルをお腹で固定。此れだけで、チェンソーの重さが分散されるのと、腕の角度が楽になるので負担が少なくなる。そして、何かチェンソーが弾かれる様な事があっても身体で受けとめられる。
基本的に回っているソーチェーンは、身体の脇しか通らないので自分を切る事はない。此れが逆に、腕が開いた状態でブラブラだとチェンソーが弾かれた時には刃が自分に向かって来る事が無いとは言えない。


あとは、前ハンドルを持っている左手の位置にも注意。
90度横にして持つ場合に前ハンドルの頂点辺りを持つ人が多いが、そうすると必ず脇が甘くなる。オレンジ色の上下を着たE藤先生の持つ位置をご参考に。
さて、此の下の写真を載せた意図は解りますよね。プロでも見掛けるのだが、危ない事も何も訳も解らない素人は絶対やってはいけません。
写真の様に親指をバーに沿わせただけだと、チェンソーが暴れた時に外れる可能性が高くなるからなのだが。
つまり、常にチェンソーをコントロール下におく、という安全管理からの意味で言えば、コントロール不能に陥る可能性を誘因していることになる。何か不可知の要素が合った場合の事を考えれば、親指はバーに回して握った方がご自身のためによいことであるのは理解出来ると思う。
勿論、伐っている時に絶対に暴れないと解っている時があるけれど、結局、身体にこういう癖をつけておくと、疲れた時とか何か魔が差したときに事故へ繋がってしまう事になりかねないので、最初からリスクを背負う癖はつけない方が良いでしょ、と言う意味。
こんなページをわざわざ読むのは初心者の人たちだろうから、最初に変な癖は付けない様にしておいた方が幸せ。
山や海って言うのは、理屈では解しきれないエネルギーを持っている場というのがあって、自分のエネルギーが落ちている時には、通常考えられない様な事をやってしまう、魔が差すという事が多々あるのね。
そもそも、樹の命を頂いてお金にしている訳だから、昔の山師の様に山に対する畏れとか敬いがないと負のエネルギーに巻かれてしまうのではと考えてしまう。そういった他の生命に対するリスペクトの気持ちが持てない人は、結果観ていると怪我とか事故が多いなあ。
我々素人こそ、自然に対する畏怖の念と感謝の気持ちを携えて山の恵みを頂くと言うスタンスをもって臨みましょう。その為には、セオリーに則って作業する事が大事。




皆さん、雨の中をお疲れさま。益田の人たちはホント真剣に学んでいた。教える講師側もやりがいがあったはず。普通、何人かでチーム分けすると遊んでしまう人が出るのが常。そして自分の腕自慢度か道具自慢で別の事をやり始める人たちが居たりする事があるのだが、此処はそう言う事がない。
右上写真の手前四名がジット島根の講師方々。奥はもりふれ倶楽部事務局長の野田氏。こだま協議会の副会長でもある。
此方の下の写真は今回の研修が行なわれた益田市匹見町の山直市場。来年に匹見峡の温泉に薪ボイラーを導入するので、その薪材を住民の人たちに山から出して此処に持って来て貰うところ。右写真左の女性が受付担当&薪割り担当。
この薪ボイラー導入の為のの視察は一昨年度に関係職員で揃って、それから真砂地域の人たちとも合流して、マイクロバス2台で高知へ行って中嶋氏に案内してもらった。和紙工芸村のボイラーと土佐の森の山と日高の土場、それから佐川町の谷岡氏の山へと充実した内容だった。お世話になりました。



今回の研修では、益田市の林業水産課のY課長、匹見総合支所の支所長、そしてこちら匹見支所のM上課長も受講していた。皆さん凄い。あれっ、若手が居ないな〜。と、思ったら東京へ人探しに行っていた。


M上課長、「匹見の山はわしが守る!」。腰の調子が良くないので中腰は厳しいのに、チェンソーワークを上手にこなしていた。
さて、益田市では、森の守り人として地域おこし協力隊を募集
益田ってノンビリしていて過ごし易いし食べ物は美味しいですけどね。ただ、匹見は雪が多い。
以下は、5月の匹見での研修の模様。伐倒の際の隅切り、所謂斧目の入れ方の研修風景の画像。講師はジット島根のU島氏。


隅切りは受け口の両側に作る。木が倒れる際に両側が裂ける事を防ぐ為のもの。こういった作業を行なう際には、チェンソーの前ハンドルを動かすのではなく、前ハンドルを支点にして後ろハンドルを上下させる。それによって、ホールド性が保てるのと、腕の疲れが違う。また、力余って余計に伐り抜くことも防げる。と、U島講師。

シッティングポジションの場合には、左肘を腿に載せてホールドし、同じく前ハンドルを支点にして切る。

巾とか深さ、横の角度はこの位?って解らないですよね。木の太さや受け口の大きさでも異なるのでテキストをご参照のこと。
この写真では解らないが、動画だとバーの先端は材の右側に出ている所から始まり引いて切って来てこの写真の様に中に食い込んだところ。この位置に付ける場合には、そうやるということ。
そしてこの状態からは、バーを振らずに此処で止めて、あとは引き抜くという様になる。止めないと地面や自分の足を切る方向に抜けるから。

此方はジット島根のI田氏に教わる?公民館のTお姉様。和太鼓、笛、踊り、唄なんでも上手な信州大出身の才女。その上、チェンソーまで上手くなってどうするの。20年前に夫婦で地縁のない匹見に移住。今ではしっかり根が生えた?

伐倒方向を決めて受け口作り。チェンソーも上手なんだよな〜。あ〜、怖い怖い。
以上