またまた、雲南市さんに於ける搬出講習の風景から。ご参考になるかならないか分からないが、なれば幸甚。
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 一応、講習会用の現場は下見に行って居るのだが、意外とピッタリの場所が無い。受講する市民の方々は初心者の人が多いのと、基本的な機器の操作やロープの扱い方などの習得の為に行なう講習なので、あまり立地が良くないとやり難いからだ。

 今回のところはというと、大型車も通れる林道の途中。4年くらい前につけたそうだが、路脇の林の中の松などが工事後に一気に枯れてしまい、担当者が大反省したという場所。地域的に松枯れは点在しているので、元から木が弱っていたのかも知れないけれど、其れにしても数年で一気に増えるとは。このエリアの他の場所と比較しても林道が原因としか思えないと担当者が言う。

【枯れ木の片付け講習?】
 朝、集合後に軽トラを連ねて講習現場へ行くと、下見の時には無かった枯れ木が彼方此方に倒れている。どうも、先日の大風で倒れた様子。まずはその片付けから。
 軽トラの牽引フックにロープをUシャックルを介して留めて、材を曳いて片付ける。材を曳く際に使う資材に選択肢は幾つかあり、タマコ(荷掛けワイヤー)が一般的だが、今回は搬出資機材の使用に慣れる為に、PCウィンチ社のスキッドコーンとチョーカーロープ(破断荷重7t)を使う。でも、本当は使いたくなかった。(;_;) 丁度、曳くところが土ではなくで砂利を敷いたところでコーンに細かい傷が付いてしまうから。


【枯れ木の処理に便利、スローライン】
 各種道具の使い方を説明する。ロープの結び方や応用の仕方、また安全管理などについて。PCウィンチも力のある5000と小型の3000の両方を用意したが、現場は細い木ばかりなので3000の方を使うことに。
 林内の枯損木で掛り木になったものを何本も3000で引っ張り出して片付ける。そんな枯れた木ばかりで林内が危なくて他の作業が出来ないし、またロープウィンチを使ったウィンチングに慣れる為に先ず掛り木の片付けを行なった。

 それから、実際に立木を伐倒するに際してハンドウィンチ(プラロック)による掛り木処理法、伐倒方向の制御のための使い方等を説明しようとしたら、伐倒に適当な木の直ぐ横に枯れ木が・・・ 幹を押してみると樹冠の方までユラユラと揺れる。
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 そこでスローラインとスローバッグの登場。他のページにも載せてあるが再度説明。右のものは8オンス(220g位)の重さの錘が入ったスローバッグ。そしてスローラインは、確か1.75mmのダイニーマ製で破断強度が250kgというスペックだったと思う。入れ物は100円ショップの洗濯籠。折り畳んでデイパックに入れておける。

 これとロープとプラロックがあれば、難儀な掛り木処理が超楽になる。勿論、簡単な掛り木だったならシートベルトを切った木回し用のベルトを使ったり、フェリングレバーなどでも良いが、ガッツリと枝に絡んだヒノキなどは、兎に角上方に作用点を採らないと力が掛からないからだ。
 木の上の方にさえロープが掛けられれば何とかなる。そうすれば、元玉切りの様なシリアスな事故が起きる掛り木処理をやらなくて済むでしょ。



 でもって、これを枯れ木の上の方の枝に掛けて幹に回す。わたしはへたっぴなのでWハンドで投げ上げる。
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 無事に掛かったので、PCウィンチ用の10mmの牽引ロープに接続。
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 そしてオレンジ色のスローラインを引いて来ると、お〜や不思議、枯れ木の樹上にロープが回ってしまう・・・
 スローラインを洗濯籠に戻して片付ける。
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 はい。ちゃんと掛かりましたね〜。
 この右側の木を伐倒したかったので、作業中に枯れ枝などが落ちたり、この枯れ木が作業者に寄りかかってきたら怖いでしょ。
















 それから、離れた位置の立木にPCウィンチを設置。方法をみんなで覚える。
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 こんな位置関係。


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 ロープの端は、手前に見えるアンカーを採ってある木の奥に有る太い樹に縛った。
 そしてウィンチでロープを引くと、枯れ木は敢えなく根元からボキッと折れて倒れましたとさ・・・

 本当はそこまで期待していなかった。取り敢えず樹上の方だけでも折れてくれて、隣の木の伐採作業中に痛い目に遭わなければ良いつもりだったのだが、意外と上の方がしっかりしていて、刃も入れていないのに根元から折れてしまったという訳。
 勿論、太い枯れ木だったら其れなりに段取りをして行なうが、此の様にスローラインとPCウィンチを活用すれば危なっかしい木も安全に処理出来ると言うことで。(倒れた後の画像は誰も撮らなかったので無し...)


【積込んで講習終了】
 講習会なのでロープを使ったら楽々積込み方法も行なう。今回はスロープ用の材を現場で調達してチェンソーで荷台とアオリに掛け易い様に加工した。オッサン!ヘルメットみたいな頭しているけど、ちゃんと安全用具着用しなさい!って、儂のこと?
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 時々書いていることだが、下の画像の様に軽い材なら一人でも積込める。そして、この作業者の後方に立木や車両などのアンカーになるものがあれば、オフィシャルサイトの道具で変わる世界のページの中に書いてある様に、動滑車を使って倍力、3倍力にすれば重たい材も一人で積込める。
 その際に、講習会では教えている事だが、細引きロープを使ってロープスリングを作っておき、プルージックノットで制動機能を作っておけば、牽引途中で手を離しても材が戻って転がり落ちる事もない。プルージックについては検索すれば直ぐ分かるので是非覚えて使われると良いだろう。
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 自分の場合には、沢登りの時に支点確保用に使う細引きロープで5mm(確か、破断荷重400kg)のものを使用。
 下記のICI石井スポーツさんのWebショップでは、“パワーロープという商品名”。カタログからは落ちているが扱っている。
 担当者は伊藤さん。受講生には、登山用のプーリーアルミカラビナ、細引きロープは此処が扱っている事を資料で渡している(此れ等のアイテムは動力牽引には不可)。
 また、スローラインやスローバッグも扱っているはず。クライミング用具のページなどを見て下さい。伊藤さんには、登山用具の事をあまり詳しくない人から連絡行くかも知れないので、山仕事用と言ったら、私どもが何時も買っているものを進めて下さいと伝えてある。
ICI-WebShop
http://www.ici-webshop.com
E-mail: order@ici-webshop.com

 もしくは、伐採用に色々揃えるのだったら、講習を時々お願いしている信州のアーボリストのための専門店、アウトドアショップKさんでも揃う。此方は細引きロープは、アクセサリーコードとして販売していると思う。勿論、スローバッグなどは専門店なので各種揃って居るし、重量材搬出用のプーリーやブロック、伐採用のリギングロープスタティックロープ(伸びないロープ)など各種が沢山揃っている。他に調べるならば、ページは、“スチールカラビナ”、“制動器/ウィンチ”、“ロープセッティング(スローラインなどを網羅)”、など。

 またサイトからリンクされている動画の数々には、アーボリストのテクニックが収められていて、スローラインの使い方も数種アップロードされている。またPCウィンチの使っている様子もアップされているが、此れは特殊伐採をやる人たちが資機材の安全率を考慮して行なっている事なので良い子は真似をしてはいけない。PCウィンチもあちこちで事故が起こっている事も耳にするので、ピーシー販売さんやアウトドアショップKさんたち正規販売者から買って講習を受ける事をお薦めしたい。

 さて、2t車など背が高い車に長尺材を積込みたいならば、人力ではなくて此のPCウィンチやまたは他の車両を動力としてを注意して牽引を行なえば良い。

 と言うことで、この日の搬出講習は終了。隣のエリアではジット島根のU島講師がもう一つのグループの伐倒講習を行なっていた。
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お、上方伐倒ですか。


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 玉切りの講習。ほんとはPCウィンチがあれば、全幹を下まで引き下ろしてから作業した方が手間が省けるのだが。。。わたしの方のグループがウィンチ使っていたのでゴメンナサイ。

以上