【材を摘んで移動6トング - 1
 トングは料理用だけではなく、丸太を摘まみ上げるためのトングもある。
 右画像はお料理用。スノーピークのナイロン製トング。テフロン加工などの被覆が弱く、かつ剥げると毒性の成分が出てしまう調理器具用なのだ。
 当家では日常は使っていないので、これは野宿用。


 さて、丸太用のトングは昔からあった道具だがやっと気に入ったものを手に入れることが出来て、あらためて便利だな6トングsweden3と・・・日本語ではなんて呼んでいたのだろう。
 今回手に入れたのは人力用ではなくて、バックホウなどの重機で使えるやつね。


 暮れから忙しくて記事更新もままならなかったのだが、やっと時間が作れたので沢山あるネタの中からまずは一発。

 元が60cmくらいある材を動かさなければならなかったので、其の時に使ってみた。

6トング1

【まずは鍛冶屋が作ったログトングから】
 右画像は、鍛冶屋の手打ちものトング。手打ちとは言っても、動力ハンマーと手打ちの複合技だろう。鍛冶屋の作るものはホント美しいね。
 一緒に写っている鉈は沼田鉈の五寸だから、比較すると可なり大きいことが分かると思う。

 9年近く前に、懇意にしている神奈川の相模原の金物屋さんが持っているものを撮影したもの。未だに欲しいとず〜っとお願いして来たのだが、これは博物館行きだと言って譲ってくれないでいた。

 でも、譲ってもらうとなると相当な金額になると思う。鋼の量が半端ないものね。
 それに鍛冶屋がどんどん居なくなっているしね。自分の鍛治の師匠の福生(入間)の小山氏もこの冬に病気で亡くなった。一介の町工場の親父だったが知恵と教養を併せ持つ探求の方だった。
 オープンマインドで何でも教えてくれたし、解らないことは一緒に考えてくれた。ご冥福を祈念する次第である。

6トング2【島根の吉賀町柿木村のK本氏のログトング】
 こちらは鉄工所に頼んで作ってもらったそうだ。メジャーを当てているが、本体は55cm程度。

 3tバックホウのバケットのフックにワイヤーで吊るして使う。簡易グラップル的な横回転の角度が変わらないものよりも、向きの自由度が高いので使いやすいと。

6トング3










 またタマコ(荷かけワイヤー)と違って、作業者が一人の場合にも、荷を下ろすときに外しに行かなくて良いしね。

 この辺が一人作業が多い自伐的な調和点かと思う。コスト(ランニングコストも含め)も掛からずに適度に使いやすい、まあまあの効率といった小規模林業の着地点だろうね。

 あれがなければダメとか此れがないと出来ないとか言っている奴は自伐には向かないしね。そもそも職人は道具がなければ自分で工夫して、改造するとか創り出すといったマインドがなければ仕事にならないし。

 自伐は職人性が求められる訳ではないけど、まずは自分の頭で考えられることが必要だから職人さんたちに見習うことは沢山あるはず。

 という能書きは、別に私だけが言っている訳でもなく、山仕事に対する一般的な見方だと思うよ。その点、自伐的な取り組みで自分だけで作業するのならば、向き不向きは関係なく例え利益を生み出せなくてものんびりと自分なりでやれば良いから気楽だと思う。

 しかしながら、自伐を目指すとか言って若い人たちが沢山移住してきたりしているけど、サラリーマン的な受け身マインドの、やらされている感ありありで作業に取り組んでいるのでは何も身につかないのも事実。そういうタイプから一皮剥けない人間は、色々な理由をつけて早晩やめて行くしね。

 山が好きならば事業体で仕事をするのも手だし、事業体での仕事ができてそれでも自伐的な長伐期施業をやりたければ、それからでも遅くないのでは。自分がどう思おうと山仕事に合う人間、合わない人間というのは如実にあるからね。自分自身の見極めを早く付けた方が本人のためだし、周りの迷惑にもならない。

 山の仕事を知らない人には厳しい言い方に思えるかもしれないけれど、教えても言うこと聞かない無責任なタイプの人間の其の失敗が、其の人自身が大怪我したり死んだりしても周りに波及する迷惑度も相当だが、一緒に作業していた仲間を大怪我させて障害者にしてしまったら、その人の人生に責任持って生きていけるのかということ。もしくは殺してしまったらどうするんだ、と言うこと。

 山の仕事は注意しているつもりでも、そういったシリアスな事故につながる不確定要素が多い現場なので、日頃から自分自身のスキルアップや勉強の元に、現場において何事も常に自身のコントロール下におけるかどうかに掛かっているでしょ?
 それを期待や希望で適当な作業を平気でするような依存的メンタリティの人間では、いずれ何かを起こすのは当たり前。

 此方の地方だけなのかも知れないが、指がない人、腕がないご老人も結構多く、そんな事故の話もよく聞く。男女問わずなのだが、それは昔は炭焼きから椎茸栽培、ミツマタ栽培などの山仕事を夫婦でやっていたので、ジグザグ架線での搬出を個人でやっていて危ないことも平気でやっていた様子。

 それよりも、そういった事故は農作業の際に起こっている場合が多い。やっちゃあいけないことを平気でやるしね。つまらない原因でそういったシリアスな事故を起こしているのは、想像力の欠如と依存的期待心で作業をしているから。

 怪我多い奴はしょっちゅう怪我をするし、失敗が多い奴も然り。其の人の持っているパターンであり、自分自身で認識できていない深い部分のマインドの現実化でしかない。

 説明すれば本が書けるくらいの内容になるけど、そういうパターンを脱却する気があるならサポートもするけど、自己肯定の言い訳ばっかりしていて、自分で作って膠着している低次元のプログラムを刷新する気がない人間は到底見込みがないので、其の手の人間と関わらないで済むように場を転換する、自分自身を更新する。それも自己責任。そういう人間と関わらなければならない自分の立ち位置を、もう一度見直した方が良い。

 ご縁の問題ね。だったら、ご縁を良いものに変えらるように、自分自身を高めていくしかない。そうすれば道は拓けていくしね。
 基本的に山仕事をまともにやろうとしたら、並みの能力では無理だと思う。右脳左脳ともバランスよく高度に働かせる必要がある。当然身体も俊敏である必要もあるし、感覚的にも秀れたものが必要なので、山仕事がまともにできる人たちは本当に凄いなあ、といつも感心している。

 だから自伐型林業とか言って十人募集して来ても、一人か二人、もし三人も仕事が出来る人が来たら上出来じゃないの、などと移住二年ちょっとで自伐型の山に優しい壊れない作業路開設がだいぶできる様になって来た近所のT口氏を慰めている。
 だって技術とかノウハウなんて習ったって、そんなものは出来て当たり前で、それよりもマインドの転換が出来なかったらば、山を持たない奴が道具を揃えるところから始まって、無駄に思えるようなことも含め何から何までやらなければならない自伐型の林業でなんかで食える訳ないじゃんね。

 大体、山を持たないで自伐で食っていこうなんて大それた事を考えるんだったらば、営業力という他人を説得して、其の結果で人を喜ばせる能力と責任感が無かったらダメだし、田舎で生きて行くには信頼されないと無理だから、まずは人間性が大事だし地域維持のための気持ちがあるかどうかが値踏みされると思うけどね。それも何年も掛かって。

 基本的に自伐という山と地域を守る仕事は、山や自然、其処の生きとし生けるもの、そして人を愛する気持ちがなかったら無理なんじゃないのかなぁ。逆の言い方をすれば、山に愛され地域の人に愛される人でないと、生かされるための縁が巡っていかないと言えるかもしれない。ご縁の國島根に来て丸6年経って改めて感じる。

 田舎の人たちは田畑くらいは貸してくれるけど、山を任せるとなったならば、よほど信頼されないと無理でしょう。田舎の賢い人たちは金じゃあ動かないよ。
 それも地域に溶け込めないで、行政の仕事だけしていたって、何時まで経ってもただのよそ者でお客さんでしかない。

 都会のお金中心の価値や、親に大事にされて自分が一番と言うマインドの人たちが、危険できつい山仕事に取り組んで行くには一回エゴの殻をぶち壊されなければ無理でしょ。想像力がなければ三次元空間の中で、重たい木が障害物に当たりながら 物理的にどう動くかとか、牽引の際の不確定要素に対して瞬時に反応できる様にするなんて無理でしょ。

 ましてや、相棒が何をしようとしているのか察して、危なくない様に、またスムーズに作業できる様にサポートできる態勢をとるなんてことを。
 直感で動くとか、思い計るとか、察するとか、そういった能力が必要なのね。左脳だけじゃなくて右脳も高度に働かないと、全体の作業を俯瞰してスムーズにそして安全にこなせないしね。

 それは仲間との作業だけでなくて、木や山を相手に独り作業をする時も(こそ)大事な能力だからね。チェンソーを正確に扱えるとか、道具を上手に正しく動かせるなんてのはやれて当たり前で、その上で感性が磨かれている必要があると思うのだが如何だろうか。山が好きだったら出来るという仕事の類とは違うと思うのだが。。。

 大体、搬出集材の様なチームでやる仕事の場合には、そういったリレーションが採れない人間がいたら危険極まりないものね。ノルマで動いている事業体だったら、先ずはオミットされてお終い。

6下げ荷搬出 - 1 自分の場合には、島根だけでなくて県外にも搬出・集材講習に行くことが多いのだけど、そこで思うことは農家のおじさんたちは共同作業に慣れているので、上手に連携をとって仕事をするのに長けている人が多いと言うこと。

 つまり助け合いながら生活(や美しい農山村の景観)を維持して来た農山村のコミュニティに於いて、のんびりと自分たちだけで自給自足して農的に暮らしたいなどと考えて移住する人が居たらどうやって折り合いを付けて行くのだろうかかと思うね。

 そうなると結局、都会と同じお金中心の人生観から脱却できないよね〜。

 ただ、山の保全をやりたいとか山と共に暮らしたいという若い人たちが少なからず居るのは素晴らしいこと。
 だけれども、危険作業を上手くこなせないタイプの人や、仲間とのリレーションが上手にできないタイプの人は、自伐型林業で食べようとか言わずに、ほんと副業のまた副業でボランティア的趣味的に山に関わっていけば良いだけではないだろうか。

 耕作放棄地と共に放置林が多くなって、災害や獣害の原因になって居るのだから、ビジネスではなくて生活環境を守る、山村地域を維持する、という目的のための早急な山の整備が必要な事を理解して居る若者も多いからね。

 右上の画像は、島根県雲南市でのもの。土佐の森の軽架線を張って、PCウィンチを動力に下げ荷の搬出。材が走らないようにポータラップで制御しつつ急な斜面を降ろしている。
 ここは城趾で地域のおじさんたちが景観を良くしようと補助金を得つつ市のバイオマス資源活用のチップ材にトン六千円で広葉樹を中心に持ち込んでいる。
6景観 - 1
 が、何処も同じだけど、山の木を道路まで搬出するのが大変で、50cm直径の樫の木も1m程度に玉切って小さい運搬車に乗せて急坂の農道を降りながら軽トラまで運んでいる。

 お金のためではなく地域の景観維持と田畑を日陰にしないための地道な活動である。

 関わっているオジさん達は、地域の農家の人たちだけでなく、地元の元校長先生だったり、または都会でNTTやドコモに居てリタイヤして実家に戻って田んぼをやっている人だったりする。

 子供の時に遊んだ山を綺麗にして恩返ししようと整備作業をやっているんだけど、昔取った杵柄で皆さん強いこと強いこと。急斜面を重たいし機材背負って平気でよじ登って行くし・・・
 自分みたいにひ弱な奴は、鍛えられた年寄りには付いていけない。。。

 奥出雲地方の景観が素晴らしく美しいのは、こういった地域を綺麗にしようとしている地元の人たちの地道な努力があるから。

 今のような短伐期施業を中心とする林業事業体が6トングsweden1施業している山ばかりでは美しい景観は維持できない。
 地元の人のお金中心ではない日々の積み重ねの努力と山の資源の小さな循環利用の中で、地方の美しい景色が成立している。

 ロープワークや集材の講習会に参加してくる若い人たちには、同じような動機の人たちが少なからず居る。

 自然に対して感謝の気持ちを持って、その維持のために自分が差出せるものを探っている人たちね。

 特に女性は感受性豊かなので、真剣に山を何とかしていかなければと思っている人たちが多いみたいだ。

 集材とかロープワークの講習をさせて貰っていると、地域のおっさん達よりも、女性の方がよほど真剣だし、何とかしたいと言う想いを強く持っていることを感じることが多い。


【スウェーデン製ログトング】
 あややや、また能書きをしこたま書いてしまった。ご無礼!

 さて、関西から移住してもう15年になるという美郷町の神Nさん。我々移住者の大先輩だが、一年近く前に独立して、今は一人で山仕事を回していて金回りも良さそうな方なんだけど、彼にうまく流れよくいろいろな仕事が入って来ているのもそのお人柄だと思える。
 今回のODSKさんの春の講習にもデモンストレーターで樹上作業をやっておられたが、ますます元気な様子だった。

 そして、このトングの記事は、うちと同じくPCウィンチを使っている其の神Nさんのために書いてみた。ご参考になれば幸いね(最後のPCウィンチ運用上の注意はプロの神Nさんには関係ないからね)。
6トングsweden2
 右上画像で一緒に写っているのはハスクの346XP。長さは計っていないが大凡の大きさはわかるだろう。

 資料によると、重さは4.6kg、開口サイズ55cm、荷上げ重量1.5t、トラック、重機用となっている。
 スウェーデン製、特殊焼き入れ鋼使用だそうだ。

 このタイプの下のサイズのものは、重さ3.5kg、開口サイズ42cm、引張り重量1.5t、引張りトング、となっていて、“引張り”のためのものの様子。
 こちらのものは、リンクの上に出ているハンドルは付いていない(右画像の黄色いハンドルの部分)。

 商品名は、“リフティングトング”となっている。他にも、“直角ハンドル付きトング”とか、“ロングハンドル付き”などの人力で作業する時に使いやすうそうなものがラインナップされているようだ。

 うちが購入した画像にあるハンドル付きのリフティングトングは、島根県益田市の須子町にある、何時もお世話になっている石見エコーさん先日やまびこから独立された:以前からハスク、スチールも取り扱い充実したラインナップだが共立がメイン。山陰の湿気が多い夏は国産が良いかも)で手に入れた。石見エコーさんは、地域の人たちのみ対応で通販は行なっていない。

 消費税込みで23000円弱。かなり凝った作りからすると安い。鉄工所に頼んだって、もっと掛かるだろうし、プロダクトとして売っているのならば安心だからね。
6EIAタグ - 1
 タグを外して忘れていたが、改めて見るとスウェーデンの“Edsbyns Industtri AB”(EIA)という会社のもの。WebsiteのURLも記載されていた。
 サイトの中の林業向け製品の内の、“LOGGING TOOLS”のページを開くとこのトングへのリンクが載っている。

 其のリンクページは、“Tractor Tongs”の項になるから向こうではトラクター(日本の農業用トラクターよりも機能満載で走るスピードも速いやつ?)などで吊り下げるのに使っているのかな。他にも面白いトングがあるから勉強になる。

6ログ用リフティングトング2種 - 1



 該当機種は、其の“No.1432”。これより大きいタイプもあって開口サイズが70cmの機種“No.1434”もあった。付いていた画像のタグには、アプリケーションの欄に“Not intended for skidding.” と、書いてあったので、リフティングのみで牽引を意図しての製品では無いということだった。






※4/11追記:長さを計ってみた。全長で77cmくらい。先端からリンク部のシャフトまでが40cm弱。
このタイプのもう一つ下のもの二つを元森林組合の人が買っていたそうだ。
 二つを溶接して連結して使うためらしい。ログハウスでも作るのだろうか。
 比較で一緒に写したものはハスクのリフティングトング。確か大きい方だったような記憶が。
6グレンスフォッシュブロード2 - 16グレンスフォッシュブロード1 - 1










 スウェーデン繋がりで、こちらは斧で有名なグレンスフォッシュのブロード。ログビルダー用の鉞(まさかり)型のもの。当然スェーデン鋼。他の記事にもリンクを貼った“Traditional Finnish Log House Building Process”という動画を観て影響されて手に入れてしまったもの。
 うちの協議会の設備は、動力ものもあるけれど、基本は石油がなくても木を伐って出して加工できるところまでを目指しているのでこういった手道具を着々と揃えている。鍛冶屋が好きなのも、道具を創り出す(修理、再生も可能)仕事だから。

 以前、東京の日野市にあった露木鍛冶屋のオヤジさんに戦後金属供出で何もない中から鉄の切れっ端を集めて再生して農機具や刃物を作っていたと言われた。今の時代、何でも揃っている上での自給自足なんてのは経済の上でのものであって、元から崩れたら実は自立なんて出来ていないことがわかる。

 そんな砂上の楼閣のような思い込みではなくて、道具の自給、修理、再生をできるだけ自分で出来るようになりたいな・・・というのが基本精神で立ち上げた協議会。島根はたたら製鉄、ヤスキ鋼の伝統の地。でも、鍛冶屋が居ないんだよね〜・・・

 ところで、このブロードの斧頭側(ハンマーになる側)には、製作者のイニシャルが刻印されている。“KS”:シェル・オーケ・シェールンドさん作。つまり鍛冶屋さんね。日本の鍛冶屋も銘を入れることも多いが、自分の仕事に責任持つという姿勢。

 工業プロダクトもこのトングの様にスウェーデン製ならば安心かと。ネットを検索するとここにピックアップしているトングとまるきり同じ形のパチもんを輸出業者が売りたがっているが、産出国?を見るとパクリで有名な某国製・・・危ない仕事には使えないでしょう。
6トップカット - 1

【実際に使ってみようと...】
 ハスクと同じスウェーデン国製ならばと、オレンジ色も入れてお化粧してみた。でも、塗料が悪かったのすぐに剥げそう。

 早く記事にしたいネタの一つ、3月にアウトドアショップKさん(以下ODSKさん)の恒例島根講習で二日間のリギング講習があったが、その1日目は30m弱の五四年生の杉のトップカットをやった。










 講習会の際には時間切れで倒したままになっていた元玉を片付けなければならなかったので、時間ができて一人で片付けに行った。

6元玉 - 1

 その際に、ちょうどいいから使ってみようと新しく手に入れたログトング持っていたので、今回記事にできたという次第。





 使ったのは牽引ではなくて、材を上の広場に上げてからのちょっとした移動と、枕を入れる際のリフトアップ。リンクにバネが入っているせいか、爪の形状が良いのか、爪を叩かなくてもしっかりと爪が食い込んで一度も外れることなくいい仕事をしてくれた。

 此のリフティングトングは、PCウィンチを使っている人にもオススメかもしれない。牽引はもし外れたら危険なので使わない方が良いが、しっかりとした立木の脇ならば、材のはい積みやトラックの荷台への積み込みに活躍しそうだ。
6トングsweden36ログトングsweden4









 此の得物は末口が50cm、元が60-50cmの変形。長さが6.6m強。杉なので材積から行くと1.5t程度か。かなり重たい。

 ほんとは講習時の断幹している時に、「そこで止めてくれれば8mになるんだけど...」、と言ったら、講習のお手伝いに来ていた安田林業の社長に、『下で色々言っているとクライマーが迷うから伐ることにしようよ。』、との一言で半端な数字に・・・

 で、8mあったらもう一回玉切るか、五倍力にしなかったら山の上にあげられなかっただろう。自分は横着者なので面倒だから一発で引揚げようなんて思ったり、またPCウィンチがどの位の能力があるか試してみようなんて考えたのが動機で下記の様な作業になった。


【二倍力でダメだったので三倍力で】
 駐車場脇の斜面に倒れている此の元玉を、上の広場まで引き上げるのが目的。移動距離は20mも無いので作業自体は大したことは無いけれど、材が重たいので先ずはやってみてから考えようと。

 先ずはスローラインを掛けて樹上にアンカーを作る作業。一昨年の島根県の県林研の研修の際にODSKの木下氏に来て貰って教えてもらった技。
 今回の講習でも、下記と同じところにアンカーを採って、山の下の駐車場に落とした枝やカットした幹を、ロープ架線とスキッドコーンを使って山の上に揚げていた。その時のレポートはまた後日、、、アップの予定。(^-^;;
6三倍力1 - 16三倍力4 - 1



















 三倍力なので樹上アンカーとなるロープの末端にロープを通したプーリーが二つ。そのアンカー用のロープを引っ張って、プーリー二つが付いたロープを地上から引っ張って、樹上高くに引き上げる。

 材の方には、引き上げ用のロープの始点と行って来いしたロープをプーリーに通す。
6三倍力2 - 1

 こんな感じね。
















6三倍力3 - 1

 伐倒は雲南市のイケメンクライマーの堀E氏が、材が転がらない様に切り株で止めてドンピシャと寝かせてある。











6三倍力5 - 1





 今回は材が重たいので、PCウィンチの上位機種であるPCW5000を使った。




 5000の牽引力は1tちょっとだから三倍力にすると3tを超えることになる。
 と同時に樹上のアンカーポイントにも同様の力が掛かるので、あまり高いところは止めて、下の木の股にした。木が可哀想だしね。

 設置は架台を使わずにベルトスリングでPCウィンチを設置。
6PCウィンチ1 - 16PCウィンチ2 - 1











6三倍力6 - 1





 最初は二倍力でやったが全然歯が立たずに、エンジンがストールした。
 そこで一旦アンカー用のロープを樹上から降ろして、前出の画像の様にプーリーを一つ足して、ロープの始点を材の頭に架け替えた。

 三倍力でもPCW5000の力ではギリギリ山の上に上げた感じだった。


 此の材は一本ばかり市場に持って行けないし木の駅に出しても勿体無いので、チェンソー製材することにして貰っておいた。

 と言うことでリフティングトングのご紹介と梯子を使わないで設置する樹上アンカーのお話はお終い。

 で、記事を書いていたら勢いで下記の件について勝手に手がキーを打っていた。周りに教わる人もなくPCウィンチを使っている人たちが居るので、再確認の意味で整理してみた。お役に立てば幸甚。


【PCウィンチ運用上の安全対策】
 さて、PCウィンチは、使い方も然程難しくは無い様に思えるが、基本的なことを踏まえてないと、それでも事故は起きる。

 ロープとキャプスタンドラムの間に指が入ってちょん切ったとか、ロープが破断して複雑骨折をしたという話も流れてくる。簡単だからこそナメて掛かるとそういった事故が起きる。人間には到底敵わない動力を使っているのだから、当たり前の安全対策を行わなければならないのに、想像力を働かせないためにつまらない怪我をする。

 だから、総輸入元のピーシー販売さんは講習会付きのセット売りしかしないし、ODSKさんも講習会を行っている。また、島根県下では私の方の協議会が各地の行政に頼まれてやっている。

 注意点としては・・・当たり前のことだけど、守っていない人が意外と多いので、、、と言うか、PCウィンチの使い方をろくに知らない人が平気で他の人に教えているし・・・というよりも、何の仕事でもパクリ程度の浅いレベルで済ませて居るから、結果仕事が粗かったり汚かったり、結果が出なくても社会のせいにして終始していたりするマインドの人たちが多いよね。補助金漬けだからなかぁ。

 だから、子供たちが見切って地域から出ていってしまうんだけどね・・・さて、気を取り直してPCウィンチの作業上とメンテの注意点。
6PCwinch-rope-rock - 1
・内角に入らない。作業者はPCウィンチの牽引ラインに対して直角にロープを引く。その場合、PCウィンチ本体に付いているロープフック(キャプスタンドラムから作業者方向にロープの方向転換しているフック)から1m以上離れて、逆に引かれた時に指が巻き込まれない様にする。
 5000の場合には、ロープフックとハンドルを使ってロープをロックしておける。外すときは必ず上方にテンションを掛けながら、ロープが戻らないように・・・

・リダイレクト(方向転換)を必ず間に入れて、PCウィンチから直接材を牽引しない。架台にPCウィンチを乗せて、谷下の下方にある材を引くと架台を壊すし、ロープやカラビナ、チョーカー(タマコなど)の牽引システムの途中が破断すると作業者に向かって飛んでくる可能性がある

・ロープは摩擦熱に強いポリエステルダブルブレードの専用ロープを使用。同様の仕様のものでもキャプスタンドラムが削れやすいロープがあるので適正なものを選ぶこと

・プーリー・ブロック(滑車)は、ロープ専用のものを使用。鋳物のオタフク滑車などは面取りしていないために ロープが傷むので使用不可。Uシャックルはプーリーと相性が悪いので使わないが、使用するカラビナは必ずスチール製のものを使う。アルミ製は強度も足りないが一気に破断する。スチール製は最初に変形するので、破断前にシステムの限界を受け止めてくれる

・キンクは常に手入れして直してからロープバッグへ。濡れた場合には日陰干しで乾燥。ロープは一方向ばかり使わずに、前後を入れ替えて様子を見ながら使用する

・ワイヤーと違いロープは擦れや鋭利なものに弱いので、地面を擦らせない、岩も御法度は誰でも解るが、切り株の角が立っていても傷む。特に竹の切り株は危険

・ロープは汚れたら洗濯機などで洗って泥や砂利を取る。また、無理な牽引をしているとキャプスタンドラムのアルミが削れてロープがねずみ色になる(ポータブルウィンチ社の純正でも)ので、それはロープにアルミコーティングをしている状態になっていて、滑りやすくなりパワーロスが多くなるのでロープをよく洗う。それでダメだったら交換時期(他の用途に転用)

・そもそも、ロープがねずみ色になるのは、牽引システム自体に無理があり、材の重量に負けてキャプスタンドラムが空回りしているから。エンジン音や手応えで無理が掛かっていることがわかるはずなので、即刻作業をストップして、大トビなどで材を動かしたりして材が引っかかっていないかを確認すること。または、重量に負けている場合には、滑車の原理による倍力を増やすことで牽引力を増やすなどで対応する。または、若干の牽引方向展開で済むならば、片持ち滑車のオープンサイドブロックを一時的に設置して、材の進行方向(上方も含め)を制御する。その際にオープンサイドブロックは、ロープが鋭角になる設置はせずにあくまでも鈍角に設定する

・ロープの結び目に負担の掛からない様なノットを使う。もやい結び(ボーライン)だったら、最初に作る輪をWにする。ロープの途中の結びはバタフライノットにするなど。アーボリストが常用しているノットに倣う

・ロープの途中に支持点を作りたいときは、上記のバタフライノットか、プルージックコードを使ったフリクションノットを使う。重たい材を牽引する場合に、ロッククライミングで使うツメのついたアッセンダーや器具でロープを挟み込むロープグラブやレスキューセンダータイプのもの(ワイヤーで使うキトークリップの様な器具)は使わない。ロープの破断につながる

・地引牽引の場合にはプーリーのシーブとプレートの間に泥が入ったり、シーブに泥が固着するので手
入れをする。また、作業中に地面の土の上に置かない

・ポータブルウィンチ社純正のプーリーは、プレートの角が立っていてロープを傷める場合があるので、ダイヤモンドヤスリなどで角を丸くする(※ODSKさんに言われた。CMI社のプーリーはプレートの型取り断面は丸く処理してある)

・スキッドコーンを使う場合には、タマコ(荷掛けワイヤー)を使うとコーンの口が裂けるので、専用の金属チェーンタイプのチョーカーか、破断強度7tのダイニーマ製のロープタイプのチョーカーを使う

・PCウィンチ、PCW5000&3000を架台ではなくてベルトスリングで立木などに設置する場合には、バーチカルで固定してベルトスリングを二度巻きしない。牽引方向の移動に対応するために向きが自由に振れる様にしておく

・滑車を使っての倍力システムを構築すれば、アンカーを採る立木などには牽引力の2倍力、3倍力などの倍力システムに準じた応力が掛かるので、機材の破断強度が対応しているものを使う。また、安全なパートにボトルネックを作って、そこが最初に破断する様にする

・使用する資機材の破断強度を考えて適材適所に使うが、安全率から破断強度の1/5以下の応力になる様にする

・立木をアンカー設置に使う場合には引き倒し強度を考慮しつつ控え索を設置する。また、広葉樹が根が深く強いとは限らないので樹種を考慮する

・エンジンオイルの交換をマメにする。農家のおじさんたちは2stの混合油を使ってばかり居るし、メンテをお店任せにして居る人が多いので4stエンジンのオイル交換を自分でやる人が少ないけど、PCウィンチはオイルが汚れるとやばい。
 自分が津和野町の地域おこし協力隊の募集育成担当だった時にPCウィンチの5000の調子が悪くなった。住民に貸し出ししていて、誰もメンテしていなかった様子。
 ピーシー販売さんに修理して貰ったが、此のエンジンはカムが樹脂製なので、オイルが悪くなって熱を持つとカムが変形するそうだ。それで吸気や爆発のタイミングがおかしくなって音が変になりパワーダウンしたというわけ。
 マニュアルに100時間ごとに交換と書いてあるけど、重たい材で負荷をかけることが多いんだったら、もっとマメにやった方が良い。うちの協議会のものは、マメにやって居るし添加剤のナノワークスを入れてあるので、メンテして貰ったら美しいとお墨付きだった


 などなどがあるが、作業として一番危ないのが、材を下ろすときと、揚げ荷の際に止めた材が重さに負けて斜面を滑り落ちそうになった時。
 特に重量材がヘッドアップしていて、それを地面に下ろすときが油断大敵で、危険度が高い。


6三倍力7 - 1
 つまり、こういった場面だ。










 この状態から、材を下ろすにはロープを引く力を緩めて、キャプスタンドラムに巻いてあるロープ同士の摩擦力を緩和してあげれば良いのだが・・・


 ところが、ロープが戻っている時にキンク癖が付いていると、キャプスタンドラムのところでロープが入れ子になって絡んでロックする場合がある。それを解こうとロープの巻きを外そうとした場合に、“いきなり逆戻りする”ときがある。
 または単純にロープ同士がが仲良くくっ付いていて、ちょっと手元を緩めた拍子に“いきなり逆戻りする”ことがある。

 その時に、前述のロープフックに近い位置やキャプスタンドラムの近くでロープを持っているとそのまま巻き込まれて指を挟むか、悪い場合には切断することになる。


 もしくはそんな近くになくても、ロープが高速で引き戻されるので、ロープを強く握っていると手に火傷を負う・・・って、今回うっかりして緩めすぎたために革手の上からでも超熱かった〜!
 ネタの写真を撮っていて、片手作業をしていたのが緩め過ぎた原因ね。アブねぇ、危ねぇ〜!

 兎に角、材を引いているときや吊るしている時には、ロープフック、キャプスタンドラムの近くのロープを持たないのは絶対ね。それから、ロープを手繰ったら足元に溜めないで、離れたところに投げて集めること。
 逆流れした時に、足ごと絡まれて持っていかれるからね。これはなんの作業でも同じ。伐倒作業の際に、足元は整備して余計なものは置かない様にするのも当たり前。

 そして作業現場は綺麗に片付けながら仕事を進める様にして場を整えることが大事。山の保全整備というは、生命体や様々なエネルギーフィールドの場を整えて、調和したフィールドを造るのが目的なのだから。

 さて、上記の様なことを注意していても、キャプスタンドラムにキンク気味のロープが絡みそうになるときがある。その時は・・・
※1:ロープをロープフックに掛けずに、上方にロープにテンションを掛けながら瞬間技で、ロープを一巻きずつ様子を診ながら外す。必ず常に上方にテンションを掛けて逆戻りしない様にすること・・・使っている人たちは解るよね。

※2:スタックした車両の牽引に使う場合には、車両の方はエンジンを切っておき自車で駆動しない方が良い。以前、雪の林道でスタックしていた8t車をPCウィンチで引いた時に、8t車もエンジン掛けてもがいたので、PCウィンチの巻き取り速度よりも前に出るタイミングがあった。するとロープのテンションが緩んだり張ったりを繰り返すのでキャプスタンドラムのところでロープが入れ子になって絡まった。そして、8t車の重量が掛かって緩まなくなってお終い。仕方なくチルで牽引して外したという顛末。


【逆流れへの危険対策措置は】 
 自伐的な抜き取り間伐や近距離の材の移動に機動的で便利なのが此のPCウィンチだが、他にもアーボリストの道具である樹上高くに作用点を採れるスローラインは、伐倒方向の制御のための事前処理や、掛かり木が発生してからの該当木の上方に作用点を採ることができる優れものだ。

 此のスローラインと細いリギングロープ。それから軽量プーリーとプルージックコード(プルージックループでも可)を使ったフリクションノットと合わせてプラロックなどのハンドプーラーを使用すれば、低い位置で作用点を採って重たいチルホールを必死に漕いでいるのが馬鹿らしくなるくらいの効果がある。
 これらのアーボリストグッズを応用すれば、チルとワイヤーとオタフク滑車とベルトスリングのセット重量の1/3くらいで済むのではなかろうか。

 でもって私が3年くらい前から自伐型にアーボリストの道具と知恵を導入すれば、飛躍的に安全度が高まり作業が楽になると本やWebに書いてきた訳だが、PCウィンチの運運用にも此れは応用出来ることをさらに教えてもらっている。
6逆流れ防止システム - 1
 因みに、PCウィンチの下位機種のPCW3000はリフティングには対応してないとメーカーで明記している。これは作業者が引っ張るためのロープフックが、PCW5000の鋳物製と違って、ステンレスの棒を曲げただけのものだからだろう。
(※右画像ではPCW3000に逆走防止システムを設置してある。上から写したのだが、ロープフックが丸棒を曲げたものなのが分かるだろう)



 フリクションノットで、牽引ロープに戻り方向だけ制御がかかる様にしてある。

 牽引用のメインロープに巻かれたフリクションノットはカラビナで小型プーリーと繋がっている。

 牽引方向にメインロープが引かれている場合だと小型プーリーがロープガイドにあたるのでフリクションノットが緩んでいるために抵抗にならない。


 しかし、いざロープが逆戻りした場合には、フリクションノットが摩擦でメインの牽引ロープを締め込んで逆流れを防止するという仕組み。

 そのフリクションノットは制御用のロープに結ばれ、そのロープはポータラップに巻かれている。ポータラップは立木にスリングで固定されているというシステムである。

 そして、もし逆流れした場合にはフリクションノットが牽引ロープを締め込んでストップするが、ポータラップに巻いたロープを緩めれば、必要に応じて人力でゆっくりと牽引ロープをリリースすることができる。

 ああ〜、言葉で説明すると大変!

 お金がある人は、ODSKさんの「ウィンチロープ逆走防止システム」を手に入れて使うと一挙に解決。でも、節約したい人はそれぞれのパーツをグレードダウンしてもシステム構築できるので工夫されればいいと思う。

 うちも丸5年PCウィンチを使ってきてかなり便利して居るが、一番最初は基本的なことしか教えてもらえなかったので(ワーカーじゃ無いからね)、結構危ないこともあった。
 その後、ツリーワークの専門ショップのODSKさんが扱い始めたので、樹上伐採用のツールと知恵を教えて貰って、かなり安全性が高まったのでここにシェアする次第である。

 さてさて、ほんとは去年の早いうちにPCウィンチの記事を途中まで書いてデポしたまま。できるだけ早いうちにリリースしましょうね。作業ご安全に・・・
終わり