歳を食い、デスクワークの時期が続いたりすると山歩きが辛くなってくる。その上、腰が悪くて立ち上がるのにも「よいこらしょ!」と掛け声を掛ける様では、重いチェンソーを持っての枝払いも厳しい。
もともと街で育ったひ弱な人間が、人生の後半になってから地方の山村に来て山の仕事をしているなんて、、、昔の仲間が知ったら、“驚く?” or “羨む?” or “アホかと思う?”の何れかだろうが、意外と、『良いよね、あんたは自由で!』、とか言われる。
そ〜ね。お金には昔から不自由しているけれど、振り返ってみれば好きなことしかやってきて居ない様な気がするね。
歳食ってあの世に召される時が近づいて来て、「あの時にああしとけば良かった!」、なんて後悔することが多かったらつまらんもんね。
でも、自由を確保するには、その分の付帯する義務や、今の社会のお金を基準とした損得勘定とは次元の違うエネルギーの仮想的貯金が必要だ。
ただの気まま勝手なエゴレベルでの振る舞いは、どうせ長続きはしない。
持続的自由の担保は、自らが差し出せる引き出しをどれだけ持っているか、また、それを実行しているか、他の存在を活かすために活用しているか、といったお金以外のエネルギー貯蓄があるかどうかにかかってくる。
そもそも自由なんて、突然やってくるわけもなく、本来は自由なのに自己保存のための屁理屈が自分の意識を固定し、自分で創り出している殻やパターンに閉じこもっているだけ。
(心理学的に)エゴという殻は自分を守るための機能だけれども、その殻を屁理屈でどんどん厚くしていっている人が多く、行動しないことによる怖ればかりの妄想に支配されて、他人や社会やシステムに対しての批判的妄念に囚われているからなんだろうね(主に左脳の機能ね)。そしてどんどん分離していく。
つまり、感じること、精妙な信号を受け取ることができないレベルまで自分自身を矮小化させてしまったから繋がることが出来なくなっているわけ。
他人や、他の存在(動植物など?)と分離してしまい、リレーションが採れない位までにドツボにはまった人が、自らを不自由にしているだけに思えるのだが・・・
田舎暮らしや山造りは、分離意識に囚われた人には難しいだろうなあ。自分の気持ちさえ(元手も掛からず、損もしないものさえ)も差し出すつもりのない、(自分の権利ばかり主張する依存的な)物貰い根性の人は、作物も植物も育てられないだろうし(ってなことを書くのも自然農法だとか自伐だとか言って移住してくる人たちの身勝手さが地元での評判が芳しくないから。貰うことばかりで、地域になんの恩返しもせず、そして挨拶もなく去って行く人たち、という経験を島根中の人たちから長年聞いている)。。。
植物って地面からの栄養と水分、そして光だけでも育っていくけど、いざ作物を育てようとしたら人の心からの栄養も大事だと思うよ。育ち方が全然違うよね。山だって心籠めて整備すれば生命力に溢れて来るもんね。
「All My Relations !」 アメリカのネイティブ、ラコタ族の言葉だそうだが、“わたしは全てと繋がっている!”、ということ(昔、スウェットロッジとかやったなぁ)。
これは世界中のネイティブの人たちもそうだけど、当然アイヌの人たちや日本のネイティブの人たちもそうだろう。
分離した意識の中に、本当の自由は無いよね。
さて・・・初っ端から能書き全開、、、フルスロットル!?
【最先端軽量ソーバー:オレゴン社のスピードカットバー】
大分時間が経った話だが、昨年の夏頃に18インチのスピードカットシステム(バー&95TXLチェーン)をハスクの346XPに付けてみた。
アルミコアのラミネート式の軽いバーと共に、ハスク標準よりもゲージの幅が薄く食い込みの良い刃が、そのまま.325ピッチのスプロケットを変えずに装着できるというので、いつもの益田市の石見エコーさんへ頼んでみたのだ。
わたしはお金が無いけれど、我が協議会は新しい道具類を導入することには躊躇がない。困ったもんだ・・・
その上、新しい道具ばかりでなく古い道具をリペアして蘇らすのも大好きなもので、ますます収拾がつかなくなっている。
でもって、1年ちょっと前に広島の神石高原町の依頼で町民向けのロープワークとPCウィンチを使っての搬出講習を行った際に参加された東広島市のO村女子(画像右の方。左は助手に来てもらった広島出身のY川女子:今では石垣氏のジットのランク4保持者)に、「そのチェンソー要らなくなったら買い取るから連絡してね!!」、と頼んでおいた。
O村女子は、かつてのハスクの名機242XP(スタンダードのままで15500rpmまで回るという多分1991年頃の前期モデル)を使っていたのだが、重たいしチェーンオイルはダダ漏れだしと、少し持て余している様子だったからだ。
その242XPが、1年後のこの2月に手に入ったのだ。「ありがとう。O村さん!」
ところが、毎年年度末は行政の都合であちこちの搬出講習が行われるし、他にもバイオマスイベントもあって忙しい。付随して書類の処理もあるし、Webページ作るなどのデスクワークも多いので、これがストレスになる(単に事務仕事が嫌いなだけ...)。
その上、3月にはODSKさんの恒例の春の島根ツリーワーク講習のサポートもあるものだから、受け取った242XPを整備する時間が全然とれなかった。
でも、そういった忙しい合間でも(ストレスが溜まって来ると逃げが入って?)チェンソーを弄りたくなる時がある。
すると、手元には幸い(?)程度のかなり良い242XPの前期モデルが・・・(42系は他に4台もバラして置いてあるのにも関わらず...)
堪らず手を出してしまう。先ずは全体を掃除してから、錆びたマフラーを焼いて塗装をし直したり、また傷んでいる部品交換と簡単に整備をするだけなので、手間も掛からずに短時間に結果が出て、良い気分転換になったとさ。
そして、調子よく動く様になった242XPを早く使ってみたいものだから、ODSKさんのリギング講習に持って行き、降ろした枝の処理をやってみたのだけれど、、、この242XP・・・意外と重たい(本体乾燥重量4.7kg)。
42ccなのに後継機の、45ccのタイプの346XP(本体乾燥重量4.8kg。346XPはその後50ccになって継続販売中。ただし重量増で5.0kg)と大して変わらないじゃないか。
んでもって、ひ弱なわたしは妄想する。
「スピードカットの短いバーを入れれば軽くなるんじゃないか?」
そんな古いものにコストかけてどーするの? などと思われる方も居られるかもしれないけれど、6年ちょっと前に立ち上げた当協議会の設立目的は、都市部の若い人向けの森林資源活用や田舎暮らしのため(うちの協議会はマナーにはうるさいよ)の様々な講習運営をコアにした活動なので、道具のチェンソーや刈り払い機は何台あっても良いのね。
先日も、東京から自動車会社の企画の方と、そのコーディネータのコンサル会社の若い人たちが3人飛行機で来られて、自伐型の山仕事のヒアリングと体験をして行かれた。
場所は温泉宿の裏山だから超便利なロケーション。その際にも、この242XPが活躍していたからね。
そして、自動車会社の方は、わたしと同じく昔オフロードバイクのレース(福島の羽鳥や富士の本栖などですれ違っていたみたい)をやっていたので、昔のハスクのオフ車の2stエンジン音と同じだ〜、と喜んでおられたし・・・
242XPのスロットルレスポンスの良いレーシーな音。痺れまっせ。
だから、チェンソーは何台も要るわけだけども、プロ用の高価な新品を揃えるほどの資金はないし、だからと言って安いホームセンターものじゃあ、受講される人の意識レベルが下がるから、出来れば質の高い道具を使ってみて欲しいわけ。
食べ物もそうだけど適当なごまかしもの“ばかり”を摂取したり、仕事の際にもどうでも良い様な道具“ばかり”を使っていると人間もインチキになりがちだからね。
持論としては素人ほど良い道具を、本物を使った方が良いと思っている。刃物などは、切れないものを使っても良い仕事は出来ないし、使いにくければ辛いだけ。
なんでも最初が肝心ね。最初の印象が人生の分岐点となることは多々ある。そして、当然の事ながら、身の回りにも一つでも良いから本物があるといい。
誰にでも言えることだが、本物を視る目を身につけておかないと。。。人間を観る目でもそうでしょう。そうでないから詐欺に遇う。望ましくないご縁ができる。
その上、うちの協議会の搬出用の道具類は、林内作業車&土佐の森軽架線だけでなくて、高強度の化繊ロープを使用するポータブルウィンチも2タイプ揃えているし、また14mmの破断強度5トンの特殊ロープでも軽架線が張れる。
その上、アーボリストの道具類など最先端のものを揃えているから、掛かり木の処理方法もいろいろな手が使えるしね、、、この様に小さい林業に於ける集材・搬出道具類は一通り揃えているから、もう道具代が大変!
だからと言う訳では無いけれど、チェンソーは古い機種でも、未だに道具として優れた良いものがあるので、それにお金かけてレストアしていると言ったところ。。。
ホントかぁ?ただの趣味じゃないのか〜。
さてさて、昨年の夏に346XPに18インチのスピードカットバーを付けた後に、手持ちの他のバーもソーチェーン込みで重量を測定しておいたデータがある。
この去年の秋から溜め込んでいたデータを公開してみよう。ちょっと偏った機種ばかりになるけれど、参考になる人もいるかもしれないし・・・
【200グラム違うと、持った時の体感が変わる】
重量を測るのに使ったのは、いつもそば打ちの際の粉の重さを図っている電子秤。他に使う機会がないが、カラビナとかプーリーなどのアイテムを調べる時には重宝している。
この秤は2g単位なので、二つの重量の比較をすると最大4g近くの誤差が出ている可能性があるけれど無視。
わたしは共立のチェンソーは好きだけれど、なぜかうちの協議会で持っている(いや、貰ったりしているものも多いから私個人のものかな)中型小型のものはハスクかスチール製。だから上の様な表になってしまう。でも、トップハンドルのCS251Tは重宝していますよ〜。
共立の開発の人には、何度も何度もCS42RSを軽くしてね、そうしたらプロもそうだけど一般の人たちがメチャクチャ買う様になるからと言っているんだけどね。わたしだって、CS42RSが軽くなって再登場したら絶対に買う。
農家や薪取りの人たちだって、ホームセンターバージョンの耐久性のあまりない製品を買うんだったらプロ用の機種を買っておいた方が絶対お得だからだ。
42RSは10万円を切った実売価格も可能だから、3万円くらいのホームセンターチェンソーを買って、すぐにダメにして、それでまた買ったり、直したりすることを考えればけっして高い金額ではないはず。
ところが、この42RSの本体乾燥重量が4.5kgもある。
ざけんなよ! 上位機種の50cc、CS500(右画像)は4.7kgだぜ。
※これから山仕事をやろうかという方々に念のため書きますと、本体乾燥重量以外に、ガソリン、チェーンオイル、そしてソーバーとソーチェーンが入ると更に重量が増加する。
この4.7kgという数字は、同じ50ccクラスのハスクやスチールのチェンソーよりも断然軽い(以前の346XPは4.8kg)。
まず、持った感じからして違う。エンジンの方はと言うと、低回転からのピックアップがちょっとモッタリとしているけれど、そんなのはどうでもいい。
それよりも、欧州製のものと違って熱間再始動性に問題がないので、日本の暑い地域で使用するにも安心して使えるし・・・エンジンが掛からないと体力の消耗が激しいので、熱間始動性が良いのは、体力の温存にもつながるからね。
暑い時期でなくても、エンジンが掛からなくてスタータを何回も引いているだけで汗だくに・・・
さてさて、右画像の手前から、ハスクの550XP、スチールのMS261のMトロ二クス、共立のCS500、ハスクの346XPの現行50ccクラスの4台。
何時もお世話になっている島根県益田市の石見エコーさんでは、時々全部機種が揃っているチャンスがあるので持ち比べしてみた。
と言うことで、この4.7kgという重量で、同クラスの中でも最軽量のCS500(記事追加)があるわけだから、その下位機種であるCS42RSを、今よりも200g軽くしてくれれば4.3kgになる。
200g軽いと持った感じが全然違うから、本体で200g、バー&チェーンで200g弱を削れたら、全然違うマシンになってしまうと思う。
2年続けて林業機械展の時にもやまびこの開発の人に言って来たけど、先日、やまびこ本社の社長が、前述の石見エコーさん(元やまびこ西日本のパイロット店:全国唯一のやまびこのお店。共立の新機種のプロトタイプテストも受けていたが去年から独立した)へ来られるというので、石見エコーの奥さんに(夜に社長をご接待とのことなので)、やまびこの社長には、「42RSを軽くすると森林ボランティアとか自伐型とか言っている人たちにもっと沢山売れる様になりますよ!」、と必ず言って欲しいとお願いした。
「伐木造材のチェンソーワーク」テキストを全林協さんから出しているジットの石垣氏は、共立のCS500の愛用者だが、CS42RSも使っている。
その42RSにはちょっといたずらをしてあって、25APのソーチェーンに換装している(42RSは、標準では91VXLか21BPのどちらかを選択できる)。
その石垣氏の42RSを使わせて貰ったが、自分のいい加減な目立てをした21BPのソーチェーンを装着した346XPよりもよく切れた。
プロ相手に目立ての技法を教える石垣氏のマシンだからだが、切れる刃ならば一つサイズが下のチェンソーでも、目立てがいい加減な、大きなチェンソーよりもよく仕事をするという良い証拠ね。
だから体力もあり、そして腕の良い山師はバリバリのでっかいチェンソーでも良いけれど、ランク下の我々みたいな者は、少しでも軽いチェンソーで軽いバーとソーチェーンを付けて、あとは目立ての腕をあげる様に頑張るというスタンスが有っても良いのでは?
というか、こう言ったスタンスで仕事している山師の人って結構居る。が、大げさに言わないだけ・・・
それをネットとかでちょこちょこと検索しただけの、所謂“情報”ってやつでわかった気になっているとホントのところまで辿り着けないのは、よくある話。
わたしも自分で得たささやかな知恵(失敗して、自腹切って、痛い目に遭って得た)を人に伝えることがあるが、その時に「情報をありがとう!」、って言った奴は到底物事を身に付けられるレベルまでたどり着けない程度の取り組み姿勢しかなく、ただ情報に踊らされているだけの知恵のない人だったことばかり。
自分の頭も手も金を使わないで楽して答えを欲しがるやつほど「情報・情報・・・」、とか言っているからね。情報って、人を操作する場合にも活用されているんだぜ。
そして、情報が大事なんて思っているやつは、田舎のおじいちゃんおばあちゃんの智恵に出逢っても、頭で考えるだけで身体で感じられないから心からの智恵(相手の人生)に対するリスペクトができないので、結局何も身につかない(受け取れない)という・・・自然の中に来ても感性が閉じたままの人間じゃあ、自然相手の仕事はできないだろ〜。
自然の恵みっていうけれど、人間が搾取・収奪しているだけだと、持続性はないんだよ。景色の良い田舎に来たら、地域の人たちと同じ様に地域の景観維持、獣害対策のための草刈りくらいは一生懸命やらなくちゃ仲間にはなれないと思うのだが如何。
それにしても燃費の良いチェンソーは、持って歩く燃料とオイルも少なくて楽だよね。燃費が良くないチェンソーだと、持って歩くガソリンもオイルなどの液体ものが途端に増えてマジ大変。
自伐型林業とか言って作業路から近いところばかりの楽な仕事だったら良いけど、山を1時間くらい登って現場に入る様な場合には、チェンソーの重さと共にそういった性能も大事だということ。
多分、42RSの前身だったであろう新ダイワのE1039S(やまびこの開発の人がそう言っていた記憶が...)は、その点バランスがすごく良かった。
上の1039Sの画像は、8年位前に丹沢山塊で横浜市の水源林保全の仕事を行なっている事業体にちょこっとだけ所属していたときのもの。その時に使っていた機種だったが、排ガス規制前のものだったので、軽くてパワーがあってさらに燃費も良かったのですごく使いやすかった記憶がある。
39ccで本体乾燥重量4.3kg。画像は、別記事に書いたちょっと変わったエンジンオイル添加剤ナノワークスを入れているところ。これは燃料にも添加して使っていたので、他の1039Sよりもパワーがあるとか同僚に言われていたが、試しにチェーンオイルにも添加して使ってみていた。
そのせいか分からないが、トラックに積み込んだ枝葉を交代で刻んでいた時に前に作業していた(今は八王子で空師をやっている)奴が自前のチェンソーを置いて降りた際に、その共立のチェンソーの上に他の作業員が更に枝葉が積み込んだもんで、それを知らずに私が荷台に乗り枝葉を刻んで行って奥に隠れていたチェンソーのアルミの前ハンドルとボディカバーまでぶち切ってしまったのは、目立てが良かったのかナノワークスが効いていたからなのか・・・閑話休題
さて、前に日本人向けのチェンソーワークとチェンソーの使用方法の記事を書いたけど、現場での運用に関して、作業路や経路などろくに整備されていない急峻で分断された(そして湿度が高くて夏暑い)日本の山においては、40cc前後の軽い日本製のチェンソーで熱間始動性が良いものが優位な現場も少なからずあるということ。
エンジンが掛からなければ、時間の無駄になることもそうだが、エンジン始動を何度もやっていると体力の消耗が激しいからね(将来はバッテリーチェンソーの性能がもっと良くなるから期待している人もいるかも知れないけれど、ハイブリッド車と同じで、モータの電磁波障害が怖いんだからね。※ハイブリッド車は測定器で確認している)。
【重量測定画像いろいろ】
さて、能書きが長くなったがどんなバーなのか、その画像も載せておこう。
まずはスチールのバー。手持ちに14インチと16インチがあり、ソーチェーンはPM3(ピコマイクロ3)か、PS3(ピコスーパー3)を装着している。
自分が18年くらい前に買った021Cや、島根に来てから貰った021C、020、020T(これって田舎暮らしの醍醐味?)などのスチールの35cc用のバー。
あとは、ハスク用の15インチバーが色々。
スギハラのからハスク純正、変わり種としては丸ヤスリも製造しているバローベのオレンジ色のバーもある。
バローベのバーは頑丈すぎて圧倒的に重たい。それに先端のRが大きいため突っ込み伐りの際にキックバックが発生しやすい。
15インチバーは他にもあるが、取り敢えず代表的なものだけ。
18インチは、今回紹介しているスピードカットバーのBK095タイプ。BK095はハスクのマウントに着くタイプだ。
このスピードカットバーの縦縞は、伐倒用のガンマーク。ジットの石垣氏が教えてくれた技。
それから以前持っていた45ccの346XPに着いているハスクの名が書いてあるツムラのOEM製の18インチバーの画像。
この機体は別記事に書いている雲南市の市民や林業事業体が搬出する原木を受け入れ、市内の木質バイオマスボイラーを稼働させている各施設へのチップ納入を行う事業者、グリーンパワーうんなんに譲ったもの。
修理のために預かってきて手元にあったので重量測定してみた。
他に18インチのバーは、スギハラのハードノーズバーとハスク純正のローラートップバーがある。
そして、ツムラの20インチとスギハラの25インチバー。何も21BP(H25)のソーチェーンを装着。
【16インチスピードカットシステム】
それから、今回の題材の16インチのスピードカットバー。新しく仕入れたもの。
画像からは秤の数字が見えにくいので、前述の表を見ていただけたらと思うが、16インチのスピードカットシステム(バー&チェーン)の重さは、“762g”。
そしてハスク純正の15インチバーと21BPのチェーンの組み合わせで“940g”。その差は、“180g近く”ある。
そうすると、組み込んだチェンソーを持っただけで、「軽くなった!」、と実感できるくらい違うんだよね。
さらに18インチバーだと、ハスクの純正とスピードカットバーでは250g以上違う。
あと面白いのは、表の表記を赤字でバックが青のところに記載した16インチのスピードカットシステム(バー&95TXLチェーン)と、緑のバックの表にあるスチールの16インチバーとPM3(もしくはPS3でも同じ)のセットの重さがほとんど同じであること。
やっぱり優秀なのかスチール? そもそもスチールは自社でソーチェーンも製造しているが、昔からスチールの刃は長切れするのを実感するくらいだし。
さてさて、今回16インチを導入した理由は、バーとソーチェーンのコンボパッケージが15インチのものはオレゴン社のラインナップになかったため。
ほんとは15インチで統一したかったんだけど、コンボのセットでないと高い高い! 実は、前回18インチのセットを導入した際に、よく確認をせずにお店に頼んだらバラで取り寄せになってしまい高くついたのだ。
オレゴンではチェーンとバーのコンボセットで売っているのは、18インチと16インチしかない。セットで買えば安いが、これをバラで買うとかなり高めにつく。他にも13インチ、15インチ、20インチのラインナップがあるのだから、全部コンボのセットで買えればいいのにね。
使ってよければ、その上でリールチェーンを買うことになるだろうし・・・
あと注意点。アルミコアのラミネートバーは柔らかめなので、18インチの場合にはバーがたわみやすいこと。余計な力を入れるとたわんで木口が曲がる場合がある。
なので、強度的に木に挟まれて抉る様な運用の仕方をしている人にはどうなんだろうか。未だあまり使っていないが、16インチバーの場合にはそういったたわむ様なことは感じられない。
それにしても標準の21BPチェーンと比較すると刃の入りがかなり良い。伐木に関しては大した経験は無いので、あまり偉そうなことは書けないが、今回スピードカットシステムの16インチコンボを導入するきっかけとなったハスクの242XPには特に相性が良さそうな感じ。
先輩方の記事を拝見すると242XPはショートストローク(ボア×ストローク比)の高圧縮高回転型のエンジンで回転数で稼いで伐るタイプということなので(実際すごく良く回る:整備ついでにポート研磨をやったので恐ろしい位)、当然低速トルクが強い訳ではないから負荷に弱いということになる。
その場合には、1.3mmの狭いゲージの薄い刃は、21BPの1.5mmゲージより抵抗が少なく切削負荷が掛りにくいから、結果よく切れるということだろう。
右画像は、3月のODSKさんの島根リギング講習時に、リクエストして枯れ赤松樹上にスローラインかけて、そのロープをポータブルウィンチのPCW3000で引いて折り倒すのをやって貰った際のもの。
枯れ木の下に入る際の事前処理として、高いところにスローラインを掛けて揺さぶって、落ちそうになっている枝を落としてしまってからの方が安心だからだ。
また、松なんかだったらスローラインから高強度のスタティックロープ(ポリエステルWブレードの)に架け替えて、PCウィンチなどで引っ張れば、枯れて危ないところから途中で折れてしまうので、下で伐倒作業に入るのにも安心してできる。少なくとも揺らすことで危なそうな枝は落としてしまえる。
受講の方々にもこの技を知って欲しかったのもあるが、自分だけだと撮影ができないものだから、講習を幸いに実際の写真を撮らせて貰ったということ。
その時に、折り倒した赤松を玉切りしていたら、ツリースリーのホセ・カルロス・トデ講師が、「スピードカットどうですか?買おうかと迷っているんすよ。」、と言うのでエンジンが掛かったままの346XPを手渡した。
枯れ赤松に突っ込み伐りしたホセ・カルロス・トデ講師は、「いいっ!良いっすね〜。俺も買おうっと・・・」、とのご感想。
と言うことで、.325のスプロケットを変更しないで、そのままゲージが狭いソーチェーンが装着できるスピードカットシステムは、目的と使い方が合う人にはとても良いかも。
【新品と中古のソーチェンの重量差】
秤を出したので、ついでに磨り減ったチェーンと新品のチェーンの重量差がどのくらいあるのか計ってみようなどと思いついた。
画像は明るくなる様に処理したのだが、画面では分かりにくいので数字を書いてみる。上左は磨り減った方で、“288g”、上右は新品のもので“294g”。その差6gだが、先に書いた様にこの電子秤は2g単位なので、実際にはもう少し多い可能性もある。
右画像をご覧いただくと判る様に半分近くに研ぎ減りしたものと新品を比べて見た。
ものはハスクのH25(21BP)の76コマ。20インチバー用のもの。この位長いチェーンだと減った時に結構重さが変わるものなんだね。
【16インチスピードカットシステム装着】
ということで、妄想が実現化して、晴れて導入した16インチのスピードカットは、242XPに無事装着された。
良いね〜!いい感じになった。とても27年位前のものとは思えないでしょ? 古くても価値あるものを復活させるとすごく嬉しい。
そして、妄想通り持った時の感じが軽くなっている。ああ!記事の最初から、此処までの長かったこと・・・
実は、以前住んでいた東京とか神奈川はリサイクル屋さんや古道具屋さんがかなり有って、中にはゴミみたいなものの中からお宝を発見することも多々あったのだ。
それを駆け引きしながら、もの凄く安く手に入れリペアすれば質の高い良いものが復活するなんてことばかりやっていた。
特に昔の刃物は質の高い鋼を使っている場合もあるし、鍛冶屋の腕もよく、今のホームセンターで売っているナタなどには足元にも及ばないレベルの質の高いものが出てくるときがある。
そういった古くても良い山仕事の道具を再発掘してリペア・リサイクルする、こういった話は、全林協さんの本に詳しく書いてあるので興味ある人は手にして欲しい。
さて、こちらでは農家の納屋にお宝があることが多くて、前出のスチールの020も程度の良いものを前に住んでいた集落のお婆ちゃんに頂いたからね。他にも、ハスクの39の300周年記念モデルとか、エコーの綺麗なものも違うお年寄りから譲って貰っている。
これもリレーションの賜物でしょ?
話を戻すけれど、この前期型の242XPは、すごく調子が良くて始動性もアイドリングも安定しているし、そして回転のピックアップも鋭い。
持っている45ccの346XPや560XPと比較してもスロットルの付きが良くて、回転の上がりも、そして落ちも鋭く、ほんとレーシングエンジンの様。上の方も気持ちよく回るしね。
ただ、今後オイルポンプ周りを開けないとダメで、チェーンオイルがダラダラなのね。
これってこの頃のモデルの持病らしいのだが、後期モデルとのパーツスワップもメンドくさそう。落ち着いて取り組まないとダメみたいだな〜(42マニアの方々はご覧になって居るだろうけど、こんな先輩たちの情報はほんとありがたい。これこそ、自らの投資と失敗を含めての経験の智恵のシェアだからね。でないと新規参入した者には訳が分からないままになりそうだからね。感謝! この記事を書き上げた時点では98年モデルのポンプとスワップ済み。このこともまた記事にしてシェアしようかなと)。
【トータル重量と総括】
さて、この前期型の242XPにスピードカットバーと95TXLソーチェーンを装着した際のトータルの重量は何キログラムになったのだろうか?
燃料とオイルもフルに入れた状態で「6.2kg位」
位というのは、体重計で計っているから。実際の重さとは誤差あるだろうね〜。
他の40cc近辺の機種も条件揃えて比較してみたいね。共立のCS42RSとかね。
因みにスチールの昔の35ccの020の14インチバーのものが同じフルタンクで、「5.0kg」、というメモがある。この機種の本体乾燥重量は3.8kgだったのではないかと思う。
そして、同じ35ccのスチールの現行モデル。最初出たMS201が同じ体重計で計測して、フルタンクで5.0kgちょっとくらいだったと思う。
この機種は本体乾燥重量が3.9kgというもの。
それから共立のCS251T(本体乾燥重量2.3kg)トップハンドルチェンソー、ローラートップの10インチ25cmバーのもので3.3kgとメモされていた。
他にも何台か計測してみたのだったが、燃料とオイルを満タンにせずに測った数値なのであまり参考にはならない。
ところで、この記事と関係ないが、メモにチルホールT-7の重量計測値がある。本体7.5kg、20mワイヤー7.5kg、バー0.5kgと。都合15.5kg。
これと、チェンソーが6kgくらい。あとは燃料とオイルと工具持って、腰袋下げて急斜面を昇り降りしていたのかと思うと、いまさら無理だねと結論。
でも、今はいい道具や手法が増えたから相当楽になっているけど、時々聞くところによると未だに掛り木処理のためにチル持っていってエッチラオッチラやっている事業体ってあるんだよね。
特殊伐採などに使うロープ用小型プーリーや10mmで破断強度2.8tをもつ高強度の繊維ロープならば、持ち運びが軽いのはもちろんのこと、手間のかかるワイヤーロープの片付けとは比べられない位にスピーディで作業製が良い。
スローラインやケーブルキャッチャーなどを上手く活用できれば、地上に居てもロープを樹上高く掛けられる。そのロープは、ブロックを複数使えば何倍力でも作れるので、人力でも相当楽になるが、プラロックを併用したり、またガッツリ掛かった木ならばPCウィンチの小型の可搬性が高いものを使えば良い。チルのセットを持って歩くことを考えたらば、PCW3000のセットでも同じ。
木に登らなくても高いところにロープが回せれば、低い位置でチルとワイヤーで大汗かいているよりもはるかに楽に掛り木が外せる。元玉伐りなんて、材の価値を失う上に危険度も高いことを作業方法を行わなくても安全に作業ができる。
これは、単に勉強不足でしょ。
うちの協議会で教えている各地の素人住民の方々たちの方がよっぽど楽に安全に作業をしているくらいだ(みんな結構助成金を活用して最新の機材を揃えつつあるしね)。
話しを戻して、今回のスピードカットシステムに関係ありそうな機種だけフルタンクにして重量を計測してみた。まずは、346XP2台の内の1台目。これは、たしか2010年製。
これは、前出のオレゴンの18インチスピードカットシステムを着けたもの。体重計の目盛りから読み取ると、
これが6.4kg強くらい。
それからもう一台のグリーンパワーうんなんに譲った346XPは、多分ツムラ製のハスクバーと21BPソーチェーンのもの。 こちらは6.6kg弱位が表示された。
それから前に記事にした560XPも計測。ツムラの20インチバーと21BPの組み合わせ。7.4から7.5kgの間くらい。
さすがに60ccクラスになると重たいよね。
でも意外と持ちやすいのは巾が狭めのデザインだから?
こんな機種を1日振り回しているチェンソーマンの人は凄いなと思うけれど、持つときにどこか身体の一部に支点を作って重量分散したり、木に重さを預ける様な使い方をすれば、腕力に頼らずに作業ができる。
その点、ハスクの新しいタイプのデザインは人間工学的にも使い勝手がよいよね。
さてさて、何も体重計での計量だから、誤差も入っていて多少は違うと思うけれど、機種ごとのそれぞれ重さの差は少し見えてきた。
実際のところ持ちやすいデザインの機種は、それだけでも体感する重量が違うけれど、今回計ってみて改めて感じたのは、200g位違うと持った瞬間の感覚の違い。それから慣性モーメントのことだ。
242XPのスペック上の本体乾燥重量が4.7kg。それに対して自分の一世代前の346XPの本体乾燥重量のスペックが4.8kg。
それらを体重計で計って、それぞれバー・チェーン込みで、242XPのフルタンク重量が6.2kg位。346XPのフルタンク重量が6.4kg強。
先の表にある様に、バー&チェーンの重さの差はたった86g。あとは燃料タンクとオイルタンクの大きさの違いによるものだが、
200gくらい違うだけで、持ち上げたときに感ずる重さは明らかに違うということ。
そして振り回した時の楽さが違うということ。要するにバーが短めのこともあり、それによって重心が中央寄りになったことによる慣性モーメントによる負荷が少なくなったこともあるのだろう。
これは、共立のCS251Tを持ったときに感ずることだけど、巾が狭くて真ん中に重心が寄っていると、重量は同じくらいでも他の巾が広めの機種よりも可なり手首が楽と感ずることに通じていると思われる。
ということで、軽量バーとゲージの細いソーチェーンの組み合わせは、よく切れる上に、装備重量の軽減以外にもメリットがあるという費用対効果が高いという結論に・・・
そして、作業時間が積み重なれば、その分かかる負荷エネルギーも大きい訳だから、どんな形にせよ身体に負担が掛かっている。若いうちは、力自慢ですむけれど、長年こういった山に関わっていく作業を続けて行く上では避けた方が良いと考える(大体、自伐的に山に関わって長年安定した仕事をしている人達って、大凡マッチョというタイプではないことが多い。つまり、力ではなくて道具と智恵と経験で仕事をしているということ。それを浅ましく何も差し出さないで情報をとか言って教えて貰おうとする人が多いんだよね〜。何考えているんだろー。自分のことは参考にならないかもしれないけれど、、、タダ働き:最初はなんの役に立たないから邪魔なだけなので誠意と情熱で手伝わせて貰うなど、、、してでも、または授業料を払ってそういうものを学んで来たけど、今の人たちは、何でも貰えると思っているのかなぁ。)。
その上、我々の様な一般人は、道具は消耗品ではないし使い捨てでもなく、道具を大事にし、そして愛着もあるので、プロではない人たちも如何だろうかスピードカットシステム?
おおっと!イカンイカン、営業畑40年近くの習い性が出てしまった・・・ もっとも、目立てがちゃんと出来ないと、宝の持ち腐れどころかマシンを傷めることに通じるので、まずは目立てを精進することをお勧めしよう。
ということで、自腹で道具を買う人や自伐の人たち(労災もない)こそ道具にこだわろうの巻でした。
あとは、どこかのメーカ側がプロ向けの42ccクラスの機種で、本体乾燥重量が4.3kg以内?、共立タイプ燃料オイルキャップ、紙フィルター、燃費が良いタイプを出してくれるといいなあ!
それにスピードカットシステムがつけば総重量が軽くなって(5.5kgを実現!)、95TXLの能力でチェーンオイルの消費量も少なめなんてことにならないでしょうか?軽くて扱いやすければ疲れにくく、そして安全性につながりますからね。もちろん、共立(やまびこ)さんが出してくれれば良いですが。
これは、商品アピールがしっかりと出来れば相当売れるよね。と、長年にわたり高品質商品を売ってきた元営業マンは妄想します。
そして、その道具を上手く運用するのは、智恵と経験ね。情報だけじゃないんだよね。技術だけじゃないんだよね。自分の頭と身体と心を使わないと智恵は身につかないし、経験は薄っぺらなものとなり空疎な時間が過ぎて行くだけでしょう。
などと、いろいろ偉そうに書いているけれども、200gで持った感じや操作感が違うなんてのも、私だけが感じているものかも知れないし、移住して自然相手の仕事をしようとしている人たちの心の姿勢の話なども、単なる情報でしかない可能性もあるでしょうし、また書いた人間の勝手な思い込みで間違っている可能性もあるわけね。または、書いている奴の自己満足という側面もあるものね。
だから、結局はその行為の意図、動機がどこにあるかが問題で、それを見抜けない、感じられないタイプの人は、その閉塞された感性や直感を鍛えない限り、何処に行っても何をやっても地に足が着いたステージまで辿り着けない可能性が高いのは仕方がないのはご本人様の自己責任ということで・・・
でも、危険度が高い山仕事は自分だけの問題じゃあ済まないからね。山仕事は他人を怪我させたり、また山が崩れるなどの他への影響があるけれど、聞くところによると農業の方が林業よりも事故が多いとのこと。
統計的にそうらしいよ。その代わり巻き込み事故じゃなくて単独が多いみたいだ。
実際、農業事故で障害者になった人たちは周りにたくさん居られるし・・・その内容を聞くと、「なんで、そんなことするかなぁ?」、というものだけど。
ということで、農山村で仕事をこれからやりたいという人は、感性や直感を大事にすることと、挨拶やお礼を欠かさずに、自分自身が役に立てることを自分の中に育てて行くという感謝やリスペクトの気持ちが大事かと。
結局、その心の姿勢が最終的にリレーションの能力を高め、そして奥深くからの信号を受け取れる様になる大事な要素なので、そういった今まで疎かにしてきた目に見えない素養を身につけることによって、安全に持続的に自然の中で暮らして行くことができる様になるでしょうね。
事故は理由なくして起きません。人間関係の摩擦もです。必ず縁があることは自分自身にも原因があります。事故に巻き込まれたとしても、そこに居合すこと自体が、そういうご縁ということです。
そういったアクシデントにつながらない様にするには、日頃の心がけやセンスの問題、そして意識的に生きているかどうかにもよりますね。
事故を起こしやすい、または怪我をしやすいタイプの人と言うものはあります。日頃のインシデント(事故につながらないミス)にも浮き上がってこないレベルのものがあって、その人の思考の偏向性や行動パターンなどに素養の全てがにじみ出て来ます。
気づかなかったけれど、アクシデントになったかも知れない(自分では気づかない)芽というレベル程度のもののことです。
そういった些細なことに気づく能力というものがあります。右脳的なイメイジ力も必要ですが、それよりも自分の内側から湧いて来るふとした信号をピックアップできるかどうかですね。
トラブルが起きた場合に、相手を非難するよりも自分自身にも引き起こした原因がないかを内観することが大事です。そして自分自身を高めることがまずは大事かと思いますが如何でしょうか。
トラブルやアクシデントに巻き込まれる次元に波長が遭っていること自体が問題です。そういった視野は客観的に対象者と自分自身を俯瞰するのに有効ですね。
そういった視点を持つことは、道具が良くないと道具のせいにしているだけでなく、道具を工夫して使いやすくするマインドにもつながります。
職人さんは、道具を作るための道具、治具も自分で工夫して作ります。自伐型の林業ってのも、世の中に流布されてる定型的なものだけでなく、様々な道がありますからね。
いずれにしてもリレーションが大事ですよね。お互い精進いたしましょう。終
でもって、1年ちょっと前に広島の神石高原町の依頼で町民向けのロープワークとPCウィンチを使っての搬出講習を行った際に参加された東広島市のO村女子(画像右の方。左は助手に来てもらった広島出身のY川女子:今では石垣氏のジットのランク4保持者)に、「そのチェンソー要らなくなったら買い取るから連絡してね!!」、と頼んでおいた。
O村女子は、かつてのハスクの名機242XP(スタンダードのままで15500rpmまで回るという多分1991年頃の前期モデル)を使っていたのだが、重たいしチェーンオイルはダダ漏れだしと、少し持て余している様子だったからだ。
その242XPが、1年後のこの2月に手に入ったのだ。「ありがとう。O村さん!」
ところが、毎年年度末は行政の都合であちこちの搬出講習が行われるし、他にもバイオマスイベントもあって忙しい。付随して書類の処理もあるし、Webページ作るなどのデスクワークも多いので、これがストレスになる(単に事務仕事が嫌いなだけ...)。
その上、3月にはODSKさんの恒例の春の島根ツリーワーク講習のサポートもあるものだから、受け取った242XPを整備する時間が全然とれなかった。
でも、そういった忙しい合間でも(ストレスが溜まって来ると逃げが入って?)チェンソーを弄りたくなる時がある。
すると、手元には幸い(?)程度のかなり良い242XPの前期モデルが・・・(42系は他に4台もバラして置いてあるのにも関わらず...)
堪らず手を出してしまう。先ずは全体を掃除してから、錆びたマフラーを焼いて塗装をし直したり、また傷んでいる部品交換と簡単に整備をするだけなので、手間も掛からずに短時間に結果が出て、良い気分転換になったとさ。
そして、調子よく動く様になった242XPを早く使ってみたいものだから、ODSKさんのリギング講習に持って行き、降ろした枝の処理をやってみたのだけれど、、、この242XP・・・意外と重たい(本体乾燥重量4.7kg)。
42ccなのに後継機の、45ccのタイプの346XP(本体乾燥重量4.8kg。346XPはその後50ccになって継続販売中。ただし重量増で5.0kg)と大して変わらないじゃないか。
んでもって、ひ弱なわたしは妄想する。
「スピードカットの短いバーを入れれば軽くなるんじゃないか?」
そんな古いものにコストかけてどーするの? などと思われる方も居られるかもしれないけれど、6年ちょっと前に立ち上げた当協議会の設立目的は、都市部の若い人向けの森林資源活用や田舎暮らしのため(うちの協議会はマナーにはうるさいよ)の様々な講習運営をコアにした活動なので、道具のチェンソーや刈り払い機は何台あっても良いのね。
先日も、東京から自動車会社の企画の方と、そのコーディネータのコンサル会社の若い人たちが3人飛行機で来られて、自伐型の山仕事のヒアリングと体験をして行かれた。
場所は温泉宿の裏山だから超便利なロケーション。その際にも、この242XPが活躍していたからね。
そして、自動車会社の方は、わたしと同じく昔オフロードバイクのレース(福島の羽鳥や富士の本栖などですれ違っていたみたい)をやっていたので、昔のハスクのオフ車の2stエンジン音と同じだ〜、と喜んでおられたし・・・
242XPのスロットルレスポンスの良いレーシーな音。痺れまっせ。
だから、チェンソーは何台も要るわけだけども、プロ用の高価な新品を揃えるほどの資金はないし、だからと言って安いホームセンターものじゃあ、受講される人の意識レベルが下がるから、出来れば質の高い道具を使ってみて欲しいわけ。
食べ物もそうだけど適当なごまかしもの“ばかり”を摂取したり、仕事の際にもどうでも良い様な道具“ばかり”を使っていると人間もインチキになりがちだからね。
持論としては素人ほど良い道具を、本物を使った方が良いと思っている。刃物などは、切れないものを使っても良い仕事は出来ないし、使いにくければ辛いだけ。
なんでも最初が肝心ね。最初の印象が人生の分岐点となることは多々ある。そして、当然の事ながら、身の回りにも一つでも良いから本物があるといい。
誰にでも言えることだが、本物を視る目を身につけておかないと。。。人間を観る目でもそうでしょう。そうでないから詐欺に遇う。望ましくないご縁ができる。
その上、うちの協議会の搬出用の道具類は、林内作業車&土佐の森軽架線だけでなくて、高強度の化繊ロープを使用するポータブルウィンチも2タイプ揃えているし、また14mmの破断強度5トンの特殊ロープでも軽架線が張れる。
その上、アーボリストの道具類など最先端のものを揃えているから、掛かり木の処理方法もいろいろな手が使えるしね、、、この様に小さい林業に於ける集材・搬出道具類は一通り揃えているから、もう道具代が大変!
だからと言う訳では無いけれど、チェンソーは古い機種でも、未だに道具として優れた良いものがあるので、それにお金かけてレストアしていると言ったところ。。。
ホントかぁ?ただの趣味じゃないのか〜。
さてさて、昨年の夏に346XPに18インチのスピードカットバーを付けた後に、手持ちの他のバーもソーチェーン込みで重量を測定しておいたデータがある。
この去年の秋から溜め込んでいたデータを公開してみよう。ちょっと偏った機種ばかりになるけれど、参考になる人もいるかもしれないし・・・
【200グラム違うと、持った時の体感が変わる】
重量を測るのに使ったのは、いつもそば打ちの際の粉の重さを図っている電子秤。他に使う機会がないが、カラビナとかプーリーなどのアイテムを調べる時には重宝している。
この秤は2g単位なので、二つの重量の比較をすると最大4g近くの誤差が出ている可能性があるけれど無視。
わたしは共立のチェンソーは好きだけれど、なぜかうちの協議会で持っている(いや、貰ったりしているものも多いから私個人のものかな)中型小型のものはハスクかスチール製。だから上の様な表になってしまう。でも、トップハンドルのCS251Tは重宝していますよ〜。
共立の開発の人には、何度も何度もCS42RSを軽くしてね、そうしたらプロもそうだけど一般の人たちがメチャクチャ買う様になるからと言っているんだけどね。わたしだって、CS42RSが軽くなって再登場したら絶対に買う。
農家や薪取りの人たちだって、ホームセンターバージョンの耐久性のあまりない製品を買うんだったらプロ用の機種を買っておいた方が絶対お得だからだ。
42RSは10万円を切った実売価格も可能だから、3万円くらいのホームセンターチェンソーを買って、すぐにダメにして、それでまた買ったり、直したりすることを考えればけっして高い金額ではないはず。
ところが、この42RSの本体乾燥重量が4.5kgもある。
ざけんなよ! 上位機種の50cc、CS500(右画像)は4.7kgだぜ。
※これから山仕事をやろうかという方々に念のため書きますと、本体乾燥重量以外に、ガソリン、チェーンオイル、そしてソーバーとソーチェーンが入ると更に重量が増加する。
この4.7kgという数字は、同じ50ccクラスのハスクやスチールのチェンソーよりも断然軽い(以前の346XPは4.8kg)。
まず、持った感じからして違う。エンジンの方はと言うと、低回転からのピックアップがちょっとモッタリとしているけれど、そんなのはどうでもいい。
それよりも、欧州製のものと違って熱間再始動性に問題がないので、日本の暑い地域で使用するにも安心して使えるし・・・エンジンが掛からないと体力の消耗が激しいので、熱間始動性が良いのは、体力の温存にもつながるからね。
暑い時期でなくても、エンジンが掛からなくてスタータを何回も引いているだけで汗だくに・・・
さてさて、右画像の手前から、ハスクの550XP、スチールのMS261のMトロ二クス、共立のCS500、ハスクの346XPの現行50ccクラスの4台。
何時もお世話になっている島根県益田市の石見エコーさんでは、時々全部機種が揃っているチャンスがあるので持ち比べしてみた。
と言うことで、この4.7kgという重量で、同クラスの中でも最軽量のCS500(記事追加)があるわけだから、その下位機種であるCS42RSを、今よりも200g軽くしてくれれば4.3kgになる。
それにスピードカットバーを付けられれば(マウントとオイル穴を改造?)、もの凄く使いやすいチェンソーになるだろうね。そして共立は燃費もいいしね。
(2018/10/21追記:共立用のマウントのスピードカットバーがリリース予定らしい。画像は此方の記事に載せた)
200g軽いと持った感じが全然違うから、本体で200g、バー&チェーンで200g弱を削れたら、全然違うマシンになってしまうと思う。
2年続けて林業機械展の時にもやまびこの開発の人に言って来たけど、先日、やまびこ本社の社長が、前述の石見エコーさん(元やまびこ西日本のパイロット店:全国唯一のやまびこのお店。共立の新機種のプロトタイプテストも受けていたが去年から独立した)へ来られるというので、石見エコーの奥さんに(夜に社長をご接待とのことなので)、やまびこの社長には、「42RSを軽くすると森林ボランティアとか自伐型とか言っている人たちにもっと沢山売れる様になりますよ!」、と必ず言って欲しいとお願いした。
「伐木造材のチェンソーワーク」テキストを全林協さんから出しているジットの石垣氏は、共立のCS500の愛用者だが、CS42RSも使っている。
その42RSにはちょっといたずらをしてあって、25APのソーチェーンに換装している(42RSは、標準では91VXLか21BPのどちらかを選択できる)。
その石垣氏の42RSを使わせて貰ったが、自分のいい加減な目立てをした21BPのソーチェーンを装着した346XPよりもよく切れた。
プロ相手に目立ての技法を教える石垣氏のマシンだからだが、切れる刃ならば一つサイズが下のチェンソーでも、目立てがいい加減な、大きなチェンソーよりもよく仕事をするという良い証拠ね。
だから体力もあり、そして腕の良い山師はバリバリのでっかいチェンソーでも良いけれど、ランク下の我々みたいな者は、少しでも軽いチェンソーで軽いバーとソーチェーンを付けて、あとは目立ての腕をあげる様に頑張るというスタンスが有っても良いのでは?
というか、こう言ったスタンスで仕事している山師の人って結構居る。が、大げさに言わないだけ・・・
それをネットとかでちょこちょこと検索しただけの、所謂“情報”ってやつでわかった気になっているとホントのところまで辿り着けないのは、よくある話。
わたしも自分で得たささやかな知恵(失敗して、自腹切って、痛い目に遭って得た)を人に伝えることがあるが、その時に「情報をありがとう!」、って言った奴は到底物事を身に付けられるレベルまでたどり着けない程度の取り組み姿勢しかなく、ただ情報に踊らされているだけの知恵のない人だったことばかり。
自分の頭も手も金を使わないで楽して答えを欲しがるやつほど「情報・情報・・・」、とか言っているからね。情報って、人を操作する場合にも活用されているんだぜ。
そして、情報が大事なんて思っているやつは、田舎のおじいちゃんおばあちゃんの智恵に出逢っても、頭で考えるだけで身体で感じられないから心からの智恵(相手の人生)に対するリスペクトができないので、結局何も身につかない(受け取れない)という・・・自然の中に来ても感性が閉じたままの人間じゃあ、自然相手の仕事はできないだろ〜。
自然の恵みっていうけれど、人間が搾取・収奪しているだけだと、持続性はないんだよ。景色の良い田舎に来たら、地域の人たちと同じ様に地域の景観維持、獣害対策のための草刈りくらいは一生懸命やらなくちゃ仲間にはなれないと思うのだが如何。
それにしても燃費の良いチェンソーは、持って歩く燃料とオイルも少なくて楽だよね。燃費が良くないチェンソーだと、持って歩くガソリンもオイルなどの液体ものが途端に増えてマジ大変。
自伐型林業とか言って作業路から近いところばかりの楽な仕事だったら良いけど、山を1時間くらい登って現場に入る様な場合には、チェンソーの重さと共にそういった性能も大事だということ。
多分、42RSの前身だったであろう新ダイワのE1039S(やまびこの開発の人がそう言っていた記憶が...)は、その点バランスがすごく良かった。
上の1039Sの画像は、8年位前に丹沢山塊で横浜市の水源林保全の仕事を行なっている事業体にちょこっとだけ所属していたときのもの。その時に使っていた機種だったが、排ガス規制前のものだったので、軽くてパワーがあってさらに燃費も良かったのですごく使いやすかった記憶がある。
39ccで本体乾燥重量4.3kg。画像は、別記事に書いたちょっと変わったエンジンオイル添加剤ナノワークスを入れているところ。これは燃料にも添加して使っていたので、他の1039Sよりもパワーがあるとか同僚に言われていたが、試しにチェーンオイルにも添加して使ってみていた。
そのせいか分からないが、トラックに積み込んだ枝葉を交代で刻んでいた時に前に作業していた(今は八王子で空師をやっている)奴が自前のチェンソーを置いて降りた際に、その共立のチェンソーの上に他の作業員が更に枝葉が積み込んだもんで、それを知らずに私が荷台に乗り枝葉を刻んで行って奥に隠れていたチェンソーのアルミの前ハンドルとボディカバーまでぶち切ってしまったのは、目立てが良かったのかナノワークスが効いていたからなのか・・・閑話休題
さて、前に日本人向けのチェンソーワークとチェンソーの使用方法の記事を書いたけど、現場での運用に関して、作業路や経路などろくに整備されていない急峻で分断された(そして湿度が高くて夏暑い)日本の山においては、40cc前後の軽い日本製のチェンソーで熱間始動性が良いものが優位な現場も少なからずあるということ。
エンジンが掛からなければ、時間の無駄になることもそうだが、エンジン始動を何度もやっていると体力の消耗が激しいからね(将来はバッテリーチェンソーの性能がもっと良くなるから期待している人もいるかも知れないけれど、ハイブリッド車と同じで、モータの電磁波障害が怖いんだからね。※ハイブリッド車は測定器で確認している)。
【重量測定画像いろいろ】
さて、能書きが長くなったがどんなバーなのか、その画像も載せておこう。
まずはスチールのバー。手持ちに14インチと16インチがあり、ソーチェーンはPM3(ピコマイクロ3)か、PS3(ピコスーパー3)を装着している。
自分が18年くらい前に買った021Cや、島根に来てから貰った021C、020、020T(これって田舎暮らしの醍醐味?)などのスチールの35cc用のバー。
あとは、ハスク用の15インチバーが色々。
スギハラのからハスク純正、変わり種としては丸ヤスリも製造しているバローベのオレンジ色のバーもある。
バローベのバーは頑丈すぎて圧倒的に重たい。それに先端のRが大きいため突っ込み伐りの際にキックバックが発生しやすい。
15インチバーは他にもあるが、取り敢えず代表的なものだけ。
18インチは、今回紹介しているスピードカットバーのBK095タイプ。BK095はハスクのマウントに着くタイプだ。
このスピードカットバーの縦縞は、伐倒用のガンマーク。ジットの石垣氏が教えてくれた技。
それから以前持っていた45ccの346XPに着いているハスクの名が書いてあるツムラのOEM製の18インチバーの画像。
この機体は別記事に書いている雲南市の市民や林業事業体が搬出する原木を受け入れ、市内の木質バイオマスボイラーを稼働させている各施設へのチップ納入を行う事業者、グリーンパワーうんなんに譲ったもの。
修理のために預かってきて手元にあったので重量測定してみた。
他に18インチのバーは、スギハラのハードノーズバーとハスク純正のローラートップバーがある。
そして、ツムラの20インチとスギハラの25インチバー。何も21BP(H25)のソーチェーンを装着。
【16インチスピードカットシステム】
それから、今回の題材の16インチのスピードカットバー。新しく仕入れたもの。
画像からは秤の数字が見えにくいので、前述の表を見ていただけたらと思うが、16インチのスピードカットシステム(バー&チェーン)の重さは、“762g”。
そしてハスク純正の15インチバーと21BPのチェーンの組み合わせで“940g”。その差は、“180g近く”ある。
そうすると、組み込んだチェンソーを持っただけで、「軽くなった!」、と実感できるくらい違うんだよね。
さらに18インチバーだと、ハスクの純正とスピードカットバーでは250g以上違う。
あと面白いのは、表の表記を赤字でバックが青のところに記載した16インチのスピードカットシステム(バー&95TXLチェーン)と、緑のバックの表にあるスチールの16インチバーとPM3(もしくはPS3でも同じ)のセットの重さがほとんど同じであること。
やっぱり優秀なのかスチール? そもそもスチールは自社でソーチェーンも製造しているが、昔からスチールの刃は長切れするのを実感するくらいだし。
さてさて、今回16インチを導入した理由は、バーとソーチェーンのコンボパッケージが15インチのものはオレゴン社のラインナップになかったため。
ほんとは15インチで統一したかったんだけど、コンボのセットでないと高い高い! 実は、前回18インチのセットを導入した際に、よく確認をせずにお店に頼んだらバラで取り寄せになってしまい高くついたのだ。
オレゴンではチェーンとバーのコンボセットで売っているのは、18インチと16インチしかない。セットで買えば安いが、これをバラで買うとかなり高めにつく。他にも13インチ、15インチ、20インチのラインナップがあるのだから、全部コンボのセットで買えればいいのにね。
使ってよければ、その上でリールチェーンを買うことになるだろうし・・・
あと注意点。アルミコアのラミネートバーは柔らかめなので、18インチの場合にはバーがたわみやすいこと。余計な力を入れるとたわんで木口が曲がる場合がある。
なので、強度的に木に挟まれて抉る様な運用の仕方をしている人にはどうなんだろうか。未だあまり使っていないが、16インチバーの場合にはそういったたわむ様なことは感じられない。
それにしても標準の21BPチェーンと比較すると刃の入りがかなり良い。伐木に関しては大した経験は無いので、あまり偉そうなことは書けないが、今回スピードカットシステムの16インチコンボを導入するきっかけとなったハスクの242XPには特に相性が良さそうな感じ。
先輩方の記事を拝見すると242XPはショートストローク(ボア×ストローク比)の高圧縮高回転型のエンジンで回転数で稼いで伐るタイプということなので(実際すごく良く回る:整備ついでにポート研磨をやったので恐ろしい位)、当然低速トルクが強い訳ではないから負荷に弱いということになる。
その場合には、1.3mmの狭いゲージの薄い刃は、21BPの1.5mmゲージより抵抗が少なく切削負荷が掛りにくいから、結果よく切れるということだろう。
右画像は、3月のODSKさんの島根リギング講習時に、リクエストして枯れ赤松樹上にスローラインかけて、そのロープをポータブルウィンチのPCW3000で引いて折り倒すのをやって貰った際のもの。
枯れ木の下に入る際の事前処理として、高いところにスローラインを掛けて揺さぶって、落ちそうになっている枝を落としてしまってからの方が安心だからだ。
また、松なんかだったらスローラインから高強度のスタティックロープ(ポリエステルWブレードの)に架け替えて、PCウィンチなどで引っ張れば、枯れて危ないところから途中で折れてしまうので、下で伐倒作業に入るのにも安心してできる。少なくとも揺らすことで危なそうな枝は落としてしまえる。
受講の方々にもこの技を知って欲しかったのもあるが、自分だけだと撮影ができないものだから、講習を幸いに実際の写真を撮らせて貰ったということ。
その時に、折り倒した赤松を玉切りしていたら、ツリースリーのホセ・カルロス・トデ講師が、「スピードカットどうですか?買おうかと迷っているんすよ。」、と言うのでエンジンが掛かったままの346XPを手渡した。
枯れ赤松に突っ込み伐りしたホセ・カルロス・トデ講師は、「いいっ!良いっすね〜。俺も買おうっと・・・」、とのご感想。
と言うことで、.325のスプロケットを変更しないで、そのままゲージが狭いソーチェーンが装着できるスピードカットシステムは、目的と使い方が合う人にはとても良いかも。
【新品と中古のソーチェンの重量差】
秤を出したので、ついでに磨り減ったチェーンと新品のチェーンの重量差がどのくらいあるのか計ってみようなどと思いついた。
画像は明るくなる様に処理したのだが、画面では分かりにくいので数字を書いてみる。上左は磨り減った方で、“288g”、上右は新品のもので“294g”。その差6gだが、先に書いた様にこの電子秤は2g単位なので、実際にはもう少し多い可能性もある。
右画像をご覧いただくと判る様に半分近くに研ぎ減りしたものと新品を比べて見た。
ものはハスクのH25(21BP)の76コマ。20インチバー用のもの。この位長いチェーンだと減った時に結構重さが変わるものなんだね。
【16インチスピードカットシステム装着】
ということで、妄想が実現化して、晴れて導入した16インチのスピードカットは、242XPに無事装着された。
良いね〜!いい感じになった。とても27年位前のものとは思えないでしょ? 古くても価値あるものを復活させるとすごく嬉しい。
そして、妄想通り持った時の感じが軽くなっている。ああ!記事の最初から、此処までの長かったこと・・・
実は、以前住んでいた東京とか神奈川はリサイクル屋さんや古道具屋さんがかなり有って、中にはゴミみたいなものの中からお宝を発見することも多々あったのだ。
それを駆け引きしながら、もの凄く安く手に入れリペアすれば質の高い良いものが復活するなんてことばかりやっていた。
特に昔の刃物は質の高い鋼を使っている場合もあるし、鍛冶屋の腕もよく、今のホームセンターで売っているナタなどには足元にも及ばないレベルの質の高いものが出てくるときがある。
そういった古くても良い山仕事の道具を再発掘してリペア・リサイクルする、こういった話は、全林協さんの本に詳しく書いてあるので興味ある人は手にして欲しい。
さて、こちらでは農家の納屋にお宝があることが多くて、前出のスチールの020も程度の良いものを前に住んでいた集落のお婆ちゃんに頂いたからね。他にも、ハスクの39の300周年記念モデルとか、エコーの綺麗なものも違うお年寄りから譲って貰っている。
これもリレーションの賜物でしょ?
話を戻すけれど、この前期型の242XPは、すごく調子が良くて始動性もアイドリングも安定しているし、そして回転のピックアップも鋭い。
持っている45ccの346XPや560XPと比較してもスロットルの付きが良くて、回転の上がりも、そして落ちも鋭く、ほんとレーシングエンジンの様。上の方も気持ちよく回るしね。
ただ、今後オイルポンプ周りを開けないとダメで、チェーンオイルがダラダラなのね。
これってこの頃のモデルの持病らしいのだが、後期モデルとのパーツスワップもメンドくさそう。落ち着いて取り組まないとダメみたいだな〜(42マニアの方々はご覧になって居るだろうけど、こんな先輩たちの情報はほんとありがたい。これこそ、自らの投資と失敗を含めての経験の智恵のシェアだからね。でないと新規参入した者には訳が分からないままになりそうだからね。感謝! この記事を書き上げた時点では98年モデルのポンプとスワップ済み。このこともまた記事にしてシェアしようかなと)。
【トータル重量と総括】
さて、この前期型の242XPにスピードカットバーと95TXLソーチェーンを装着した際のトータルの重量は何キログラムになったのだろうか?
燃料とオイルもフルに入れた状態で「6.2kg位」
位というのは、体重計で計っているから。実際の重さとは誤差あるだろうね〜。
他の40cc近辺の機種も条件揃えて比較してみたいね。共立のCS42RSとかね。
因みにスチールの昔の35ccの020の14インチバーのものが同じフルタンクで、「5.0kg」、というメモがある。この機種の本体乾燥重量は3.8kgだったのではないかと思う。
そして、同じ35ccのスチールの現行モデル。最初出たMS201が同じ体重計で計測して、フルタンクで5.0kgちょっとくらいだったと思う。
この機種は本体乾燥重量が3.9kgというもの。
それから共立のCS251T(本体乾燥重量2.3kg)トップハンドルチェンソー、ローラートップの10インチ25cmバーのもので3.3kgとメモされていた。
他にも何台か計測してみたのだったが、燃料とオイルを満タンにせずに測った数値なのであまり参考にはならない。
ところで、この記事と関係ないが、メモにチルホールT-7の重量計測値がある。本体7.5kg、20mワイヤー7.5kg、バー0.5kgと。都合15.5kg。
これと、チェンソーが6kgくらい。あとは燃料とオイルと工具持って、腰袋下げて急斜面を昇り降りしていたのかと思うと、いまさら無理だねと結論。
でも、今はいい道具や手法が増えたから相当楽になっているけど、時々聞くところによると未だに掛り木処理のためにチル持っていってエッチラオッチラやっている事業体ってあるんだよね。
特殊伐採などに使うロープ用小型プーリーや10mmで破断強度2.8tをもつ高強度の繊維ロープならば、持ち運びが軽いのはもちろんのこと、手間のかかるワイヤーロープの片付けとは比べられない位にスピーディで作業製が良い。
スローラインやケーブルキャッチャーなどを上手く活用できれば、地上に居てもロープを樹上高く掛けられる。そのロープは、ブロックを複数使えば何倍力でも作れるので、人力でも相当楽になるが、プラロックを併用したり、またガッツリ掛かった木ならばPCウィンチの小型の可搬性が高いものを使えば良い。チルのセットを持って歩くことを考えたらば、PCW3000のセットでも同じ。
木に登らなくても高いところにロープが回せれば、低い位置でチルとワイヤーで大汗かいているよりもはるかに楽に掛り木が外せる。元玉伐りなんて、材の価値を失う上に危険度も高いことを作業方法を行わなくても安全に作業ができる。
これは、単に勉強不足でしょ。
うちの協議会で教えている各地の素人住民の方々たちの方がよっぽど楽に安全に作業をしているくらいだ(みんな結構助成金を活用して最新の機材を揃えつつあるしね)。
話しを戻して、今回のスピードカットシステムに関係ありそうな機種だけフルタンクにして重量を計測してみた。まずは、346XP2台の内の1台目。これは、たしか2010年製。
これは、前出のオレゴンの18インチスピードカットシステムを着けたもの。体重計の目盛りから読み取ると、
これが6.4kg強くらい。
それからもう一台のグリーンパワーうんなんに譲った346XPは、多分ツムラ製のハスクバーと21BPソーチェーンのもの。 こちらは6.6kg弱位が表示された。
それから前に記事にした560XPも計測。ツムラの20インチバーと21BPの組み合わせ。7.4から7.5kgの間くらい。
さすがに60ccクラスになると重たいよね。
でも意外と持ちやすいのは巾が狭めのデザインだから?
こんな機種を1日振り回しているチェンソーマンの人は凄いなと思うけれど、持つときにどこか身体の一部に支点を作って重量分散したり、木に重さを預ける様な使い方をすれば、腕力に頼らずに作業ができる。
その点、ハスクの新しいタイプのデザインは人間工学的にも使い勝手がよいよね。
さてさて、何も体重計での計量だから、誤差も入っていて多少は違うと思うけれど、機種ごとのそれぞれ重さの差は少し見えてきた。
実際のところ持ちやすいデザインの機種は、それだけでも体感する重量が違うけれど、今回計ってみて改めて感じたのは、200g位違うと持った瞬間の感覚の違い。それから慣性モーメントのことだ。
242XPのスペック上の本体乾燥重量が4.7kg。それに対して自分の一世代前の346XPの本体乾燥重量のスペックが4.8kg。
それらを体重計で計って、それぞれバー・チェーン込みで、242XPのフルタンク重量が6.2kg位。346XPのフルタンク重量が6.4kg強。
先の表にある様に、バー&チェーンの重さの差はたった86g。あとは燃料タンクとオイルタンクの大きさの違いによるものだが、
200gくらい違うだけで、持ち上げたときに感ずる重さは明らかに違うということ。
そして振り回した時の楽さが違うということ。要するにバーが短めのこともあり、それによって重心が中央寄りになったことによる慣性モーメントによる負荷が少なくなったこともあるのだろう。
これは、共立のCS251Tを持ったときに感ずることだけど、巾が狭くて真ん中に重心が寄っていると、重量は同じくらいでも他の巾が広めの機種よりも可なり手首が楽と感ずることに通じていると思われる。
ということで、軽量バーとゲージの細いソーチェーンの組み合わせは、よく切れる上に、装備重量の軽減以外にもメリットがあるという費用対効果が高いという結論に・・・
そして、作業時間が積み重なれば、その分かかる負荷エネルギーも大きい訳だから、どんな形にせよ身体に負担が掛かっている。若いうちは、力自慢ですむけれど、長年こういった山に関わっていく作業を続けて行く上では避けた方が良いと考える(大体、自伐的に山に関わって長年安定した仕事をしている人達って、大凡マッチョというタイプではないことが多い。つまり、力ではなくて道具と智恵と経験で仕事をしているということ。それを浅ましく何も差し出さないで情報をとか言って教えて貰おうとする人が多いんだよね〜。何考えているんだろー。自分のことは参考にならないかもしれないけれど、、、タダ働き:最初はなんの役に立たないから邪魔なだけなので誠意と情熱で手伝わせて貰うなど、、、してでも、または授業料を払ってそういうものを学んで来たけど、今の人たちは、何でも貰えると思っているのかなぁ。)。
その上、我々の様な一般人は、道具は消耗品ではないし使い捨てでもなく、道具を大事にし、そして愛着もあるので、プロではない人たちも如何だろうかスピードカットシステム?
おおっと!イカンイカン、営業畑40年近くの習い性が出てしまった・・・ もっとも、目立てがちゃんと出来ないと、宝の持ち腐れどころかマシンを傷めることに通じるので、まずは目立てを精進することをお勧めしよう。
ということで、自腹で道具を買う人や自伐の人たち(労災もない)こそ道具にこだわろうの巻でした。
あとは、どこかのメーカ側がプロ向けの42ccクラスの機種で、本体乾燥重量が4.3kg以内?、共立タイプ燃料オイルキャップ、紙フィルター、燃費が良いタイプを出してくれるといいなあ!
それにスピードカットシステムがつけば総重量が軽くなって(5.5kgを実現!)、95TXLの能力でチェーンオイルの消費量も少なめなんてことにならないでしょうか?軽くて扱いやすければ疲れにくく、そして安全性につながりますからね。もちろん、共立(やまびこ)さんが出してくれれば良いですが。
これは、商品アピールがしっかりと出来れば相当売れるよね。と、長年にわたり高品質商品を売ってきた元営業マンは妄想します。
そして、その道具を上手く運用するのは、智恵と経験ね。情報だけじゃないんだよね。技術だけじゃないんだよね。自分の頭と身体と心を使わないと智恵は身につかないし、経験は薄っぺらなものとなり空疎な時間が過ぎて行くだけでしょう。
などと、いろいろ偉そうに書いているけれども、200gで持った感じや操作感が違うなんてのも、私だけが感じているものかも知れないし、移住して自然相手の仕事をしようとしている人たちの心の姿勢の話なども、単なる情報でしかない可能性もあるでしょうし、また書いた人間の勝手な思い込みで間違っている可能性もあるわけね。または、書いている奴の自己満足という側面もあるものね。
だから、結局はその行為の意図、動機がどこにあるかが問題で、それを見抜けない、感じられないタイプの人は、その閉塞された感性や直感を鍛えない限り、何処に行っても何をやっても地に足が着いたステージまで辿り着けない可能性が高いのは仕方がないのはご本人様の自己責任ということで・・・
でも、危険度が高い山仕事は自分だけの問題じゃあ済まないからね。山仕事は他人を怪我させたり、また山が崩れるなどの他への影響があるけれど、聞くところによると農業の方が林業よりも事故が多いとのこと。
統計的にそうらしいよ。その代わり巻き込み事故じゃなくて単独が多いみたいだ。
実際、農業事故で障害者になった人たちは周りにたくさん居られるし・・・その内容を聞くと、「なんで、そんなことするかなぁ?」、というものだけど。
ということで、農山村で仕事をこれからやりたいという人は、感性や直感を大事にすることと、挨拶やお礼を欠かさずに、自分自身が役に立てることを自分の中に育てて行くという感謝やリスペクトの気持ちが大事かと。
結局、その心の姿勢が最終的にリレーションの能力を高め、そして奥深くからの信号を受け取れる様になる大事な要素なので、そういった今まで疎かにしてきた目に見えない素養を身につけることによって、安全に持続的に自然の中で暮らして行くことができる様になるでしょうね。
事故は理由なくして起きません。人間関係の摩擦もです。必ず縁があることは自分自身にも原因があります。事故に巻き込まれたとしても、そこに居合すこと自体が、そういうご縁ということです。
そういったアクシデントにつながらない様にするには、日頃の心がけやセンスの問題、そして意識的に生きているかどうかにもよりますね。
事故を起こしやすい、または怪我をしやすいタイプの人と言うものはあります。日頃のインシデント(事故につながらないミス)にも浮き上がってこないレベルのものがあって、その人の思考の偏向性や行動パターンなどに素養の全てがにじみ出て来ます。
気づかなかったけれど、アクシデントになったかも知れない(自分では気づかない)芽というレベル程度のもののことです。
そういった些細なことに気づく能力というものがあります。右脳的なイメイジ力も必要ですが、それよりも自分の内側から湧いて来るふとした信号をピックアップできるかどうかですね。
トラブルが起きた場合に、相手を非難するよりも自分自身にも引き起こした原因がないかを内観することが大事です。そして自分自身を高めることがまずは大事かと思いますが如何でしょうか。
トラブルやアクシデントに巻き込まれる次元に波長が遭っていること自体が問題です。そういった視野は客観的に対象者と自分自身を俯瞰するのに有効ですね。
そういった視点を持つことは、道具が良くないと道具のせいにしているだけでなく、道具を工夫して使いやすくするマインドにもつながります。
職人さんは、道具を作るための道具、治具も自分で工夫して作ります。自伐型の林業ってのも、世の中に流布されてる定型的なものだけでなく、様々な道がありますからね。
いずれにしてもリレーションが大事ですよね。お互い精進いたしましょう。終