【特殊伐採やレスキュー用品の専門店による講習開催】

今回第7回目の講習では、樹上伐採のプロだけではなく、自伐型や薪材の収集を行う人たちが安全に作業を行うためにも役に立つW(二本)のランヤードを使ったポジショニングの講習をやってもらえそうです。
このWランヤードの技術は、針葉樹の樹上でアンカーを採るなどの作業をする場合もそうですが、低木の広葉樹の枝を落としたい時、また急斜面で足場がない木の根元で受け口を作りたいときなどにも体制を保持するのに役に立ちます。今回行う予定のメニューを確認しましたので列記してみます。
・法規は、高所作業は、庭師さんなど造園屋さん達が使ってきた脚立や梯子などが認められなくなるので、高所ロープ作業について。これは枝打ちなども関連してくるのでその解釈などについて。他には数年後にハーネスはフルボディタイプを要求されるので、今後の方向について。
・ポジショニングは、Wランヤード、ランヤードとショートロープ、メインロープを使うもの。アンカーについては、「安全なアンカーとは?」から始まって、応力の考え方など基礎的なことから机上と実習で行う。また、先日マーク・ブリッジ氏のポジショニング講習の際に非常に分かり易い説明を受けたので、その内容をお伝えする。
・クライミングの基礎、スパークライミング、SRTクライミングの内容は受講者の要求に合わせて対応可。
・リギング講習は、カッティングについて、エレファントウィンチの実習、M字リグなど。
・他には道具の販売も行うとのこと。
大凡、以上の内容を考えているとのことでした。内容については、直接、木下氏に“電話で”確認された方が良いと思います。また、他に希望するものがあれば、問い合わせをしてみて頂ければと思います。
その様な内容に関連して今までの経緯を含めつつ、初めて耳にしたという方々のために基礎的な話を書いてみましょう。
ODSKさんには、島根県林業研究グループ連絡協議会の総会でもクライミング体験をやって貰いましたし、島根県林研所属の当協議会運営で、島根県林研の会員(市民)向けの搬出講習も2回ほど。
また造園協会の島根支部さんのご要望で数回開催しています。
ツリーワークの需要は、林業関係の人たちばかりではなくて造園関係の人も多いですね。
また、前回ビックリしたのは、趣味の薪材採集の方が3名も参加されたこと。裾野が広がっているんだな〜、と実感します。
さて、恒例ながら次の講習の予告がてら、前回春の講習内容もレポートさせていただきます。(^-^; いつも遅くてスミマセン。参加検討中の方はご参考にしてください。
前回は、現場の関係もあり初心者の方にクライミングをして貰えませんでしたが、今回のメニューには予定されておりますので、ご希望の方は是非参加されると良いと思います。
それでは、本記事でODSKさんの「第7回島根県ロープクライミング・リギング体験会 開催のお知らせ」のページの補完的な内容をお伝えしましょう。
開催日は、2018年3月の3〜6日までですね。書いておきましょう。3、4日がクライミング講習(木に登ったことが無い人もOKなのか確認された方が良いですね)です。

また、今回の内容は、ポジショニングと安全なアンカーの採り方ということになっていますが、このポジショニングの内容の一つに、Wランヤードというランヤードを二本(一本は長いもの)だけを使い、クライミングロープを使わないで樹上で作業する方法があります。
このWランヤードの手法が使えると、樹上伐採の人たちだけでなく、造園業や自伐型の林業、薪材収集の人たちにも役に立つものなので、本記事ではその点を詳しく書いてみたいと思います。

5、6日のリギング講習の方は、春に行った神社での枝下ろしなどの作業が、新しいODSKさんオリジナルのエレファントウィンチの正式リリースを兼ねて行われるはずです。この機材についても最後の方に書いてみましょう。
そして、リギング講習では、松乃湯さんの裏山の檜のトップカットを行い、M字リグで長いまま移動させるという内容もやると木下氏が言っていたはず。
以上の他にも現場によって違うことも出来るので当日対応もあり得ます。
おっと、今回リギング講習は平日なので、毎回サポートに来てくれている広島の安田林業の安田社長は来られないかなあ・・・仕事は若い人に任せてのお出でをお待ち申し上げております。(^-^)
目的の木にハシゴを掛けて樹上に登って作業をするというのは一般にもよくあるシチュエーションです。
が、一般のH型の二本ハシゴって山では安定悪いんですよね。林業では殆ど使いませんね。
使うのは、地面に二本のツメを突き刺して安定させ、木の幹に細いロープを縛り付けて動かない様にして使うロッキーラダーなどの一本ハシゴ。
ロッキーラダーは、一本が2mなので、継ぎ足していけば高いところまで上がれます。針葉樹の様な真っ直ぐの木ならば3段に繋いで6m。
そうすれば、先端のステップに立って手を伸ばせば8m位のところまで手が届きますけど、曲がった広葉樹では幹に縛り付けられないし、体重で曲がるしで怖くて使えません。
でも、良くあるのは、右上画像の様に一番下の枝まで一本ハシゴを掛けて登ってから、あとは枝伝いに樹上に上がって作業を行う様なシチュエーション。

ツリークライミングと言うと、大抵は、大きな木の樹上にスローライン(&ウェイト)を投げて枝に掛け、メインロープを引き上げて枝に回して、そのロープを登るという方法が主ですが、そうでない方法もあるわけです。
造園業では、この様なハシゴを補助に使う方法の方が需要が高いでしょう(此処では高所作業車が入れない場所の話が前提ですね)。
あと、自伐型の林業の様な小さな林業では、広大な人工林を相手にするよりも、放置林や里山の混交林などが相手のことも多いでしょうから、広葉樹も相手にしないといけない時が多いと思います。
また、薪ストーブ用の薪材を採集している人たちこそそうでしょう。広葉樹がターゲットですからね。

一応、裂け止めのロープも巻いてあります。こんな作業をする際にもランヤードが二本あると身体が安定するでしょう。
それにしても、広葉樹伐倒は難しいですよね。その上、今は放置されて大きくなってしまった広葉樹が沢山あります。
それを、針葉樹ばかり相手にしてきた人が、広葉樹伐採をジックリと経験せずにいきなり樹上伐採は超危険でしょう。
地面の上でしっかりと広葉樹伐採ができて、かつ複雑な要素がある枝払いに慣れてからと自分的には考えます。樹種による繊維の違いとか、長い枝の重心、重量とか伐った後のモーションとか諸々が見極められないと危ないでしょー。ツル絡みとかもありますからね。
下の画像は、重心が掛かっている枝を何も考えずに切って、木に襲われたところ。こういう性格の人は樹上伐採には向きません(と言いますか、実際に民家の枝下ろしもやばいことを沢山やっていましたね。チェンソーを枝に持って行かれて壊していたり、私たち補助三人も危ない目に遭わされたり。いやあ、今思い返しても技術も安全管理もレベル低すぎだったな〜。<--- 神奈川の割と有名な事業体:そのお陰で今はレベルアップに勤しんでおりま〜す)。
それにしても、そんなところをよく撮っていますよね。私ってイヤな性格かも・・・
キックバックを起こしにくい刃で突っ込み伐りをする様な手法は、急斜面の足場がない場所で斜めに生えている木を追いヅル伐りを使って伐る様に様々なシチュエーションで安全作業の後押しをしてくれます。
放置林などには広葉樹がすでに大きくなっていて、倒すにしても周りを全部伐り倒して整備してからで無いと伐採もできない状況が多々あります。
でも、枝を落とせるだけで、伐倒方向に自由度が高まります。大きな広葉樹が他の広葉樹の枝の間にガッツリとハマってしまったらどうしようもないですから。
広葉樹の枝が落とせるだけで、他の作業が楽になり、また安全性も高まります。

そうでなくとも、植生のための母樹として残しておきたかったり、マザーツリーの様なその地域の出来事を何百年来も記録してきた守り樹であったりして、枝の剪定だけで済ませたい場合もありますものね。
樹上伐採の様な、そこまで大袈裟な作業でなくても、ちょっと登って安全に作業したい場合はいくらでもあります。庭木の片付けでもそうですね。
と言うわけで、このWランヤードを活用したポジショニングは、樹上伐採のプロのみならず、山づくりや森林資源活用をしている方達には、結構大事な手法かと思われます(ただし、低木の枝を何も考えずに落とすと枝のたわみで、元が作業者に向かって飛んできたりする場合もあるのでしっかりとした対策の上の作業が必要です)。
画像は、ODSKの木下氏が登っているものですが、この木はハシゴなしでも登れる低い木です。
登ってからのワークポジションをどうやって採るかという説明をしているのが上画像ですが、手法はWランヤードというもので、メインロープ無しで、ランヤードを2本使ったもの。
ただし、一方のランヤードは長いものを使っています。
わたし?わたしはミーハーで、直ぐに飛びつく素直なタイプなので、速攻で長いランヤードを作る材料を仕入れ済み。クライミングロープのタキオン11.1mmを10mの長さと他に必要な機材を買ってあって、長いランヤードが作れる様に準備してあります。(^^;;
えっ、道具を持っていれば安心するタイプ? まあ、そうなんですけど、アイスプライスが自在に出来るほどに上達していないので、なかなか時間がとれなくて・・・
ということで、この様な道具と技術を使えば、ランヤードだけである程度の下降は出来るために低木だったらメインロープを使わないで作業する方法があるんですね。
また、このツリーワーク用のランヤードは、プラスアルファのアタッチメントを設定すれば、下の画像の様に高所作業用の安全帯よりも遥かに安全に使えます(※法令改正で、労災に入っている林業事業体や造園関係の人たちはメインロープが必要に...)。
荷重が掛かればランヤードを回した幹を締め込んで、それ以上落ちません。ところが、安全帯でバランスを崩した場合に体と幹との空間が多ければ、そのまま滑落する可能性も無きにしもあらずです。顔面制動して大変な目に遭ったという人もいます。髭を生やしているのも伊達じゃないんですね。↓
幹にフリクションを掛ける方法はいろいろありますが、この様な機能的道具を使えば、ハシゴで針葉樹に登った際に使ってもより安全ですし、また、2本のランヤードを架け替えつつ枝の上へのアクセスが安心して行えます。
で、只今この秋の講習用の初心者の人が登り易い枝が横に張った木が沢山ある現場を確保するために宿屋の近くで探し中です。
木を切って良い場所の確保が必要なリギング講習と連続にやるので現場確保が大変なんです。春に開催した場所だと初心者の方々が登るのに時間が掛かりそうですからね。
【机上講習の風景】
樹上伐採に於いて事前の計画、打ち合わせは必須事項でしょう。初心の方達は先ずは理論と数字の上でのシミュレーションに慣れる必要があります。
今回は、ロープ高所作業特別教育は行わないので、ロープの構造や扱いなどには触れないで実戦的な内容になると思いますが、安全確保について重点をおいて進められるでしょう。


前回の講習では初めて参加された方がが多かったので、基本
的なところから説明。Uシャックルの本体に表示されているはずのWLL規格もチェックしました。

この春は、神社のお堂の中をお借りしての机上講習となりました。今度の秋の講習はどこになるでしょうか。
リギングの理論については、一日中でも話していたいという戸出講師がおりますので、時間外でも質問をぶつけてみると良いと思います。
前回春の講習では、カッティングの理論やそれぞれの人の考え方について真夜中になっても熱い話が続いていました。(^^)
【宿泊とお昼について】
さて、宿泊の件です。毎度同じことですが、整理して書いておきますね。
・オススメの宿泊場所は松乃湯さん。薬効の高い源泉がすぐ裏山に。毎度講習に使わせて貰っている裏山はすぐ横。今回はこの現場を今回使うかどうか分かりませんが、もし使うのであれば超楽な裏山温泉付き講習となります。そんな講習ないと思いますよ〜。ただ、お風呂は夜の7時半まで。朝は7時から入浴可です。
・宿泊費は夜と朝の食事がついて7900円。部屋は6部屋。全部確保してあります。六畳と八畳の部屋がありますけど、相部屋でご勘弁を。前回ご夫婦で同室をご希望された方、スミマセンでした。柿木村は他にも宿屋がありますから、前回はそちらに泊まられた方もおられました。
ただ、初日の夜(3日の夜)は、懇親会を松乃湯さんで行いますので参加希望の方で、他の宿に泊まられる場合には、送迎の確認を。たしか柿木村はタクシーは無かったはず。
懇親会の費用は、宿泊費にプラス3000円を予定しています。
・講習日のお昼ご飯について:現場によって変わります。現場が松乃湯さんの裏山ならば、食堂で定食750円、または肉ウドンなどが可能。天気が良ければ現場で、オニギリセット(汁、お新香付き)650円位が可能かも。他の現場ならば、柿の里さんのお弁当800円が可なり美味しいので配達して貰います。
柿木村は40年くらい前から有機農法の里として独自路線を貫いてきたところです。食べ物は大抵美味しいですが、松乃湯さんと柿の里さんは、化学調味料なども殆ど使わずに丁寧に作る料理ばかり。
また、柿の里の女将さんは鹿児島出身の味にこだわりのある方。その上、シェフは神戸、フランス、香港で和洋中を修行してきて田舎料理にも自信があるという人。お弁当も美味しいです。
お昼については、講習会の朝に希望を取ってから手配をします。
また、朝早く現地に来られる方へ。こちらには朝早く開いているお店はありませんし、コンビニもありません。中国道の六日市ICから来られる方は、降りて近くのローソンで調達してきてください。
【今年の春のリギング体験会のレポート】
さて、本年2018年の3月の17日〜19日に島根県鹿足郡吉賀町柿木村で開催された第6回ODSK島根講習のリギング体験会について報告しましょう。
此方は、リギングなので経験者向けなのですが、木に登らないで地面(グラウンド)でサポートをする作業者向けの体験会です。リギング講習の際には実作業をやっている方は一緒に登ってスキルアップを行いますけど、初心者が殆どだったので地面からのサポートの講習となりました。
でも、実際は地面でサポートする側の人の方が、スキルの高い経験者が付いた方が安全性も作業性も高い様です。
6回目の島根講習では、クライミングの講習は行われなかったので、今度開催される第7回の11月3、4日のクライミング講習は1年半ぶりということ。

でも、最終日の集合写真には写らずに帰られた方もおられます。
第6回も前年に引き続き、神社と松乃湯の裏山が現場となりました。
受講者は、林業関係の方が殆どですが、この中に趣味?の薪ストーブ用の薪材を山から採るのに受講された一般の方が3名居られました。
あ、九州の方が一人帰られた後の撮影だったかも。
【初日】
最初は机上講習。神社の拝殿というのでしょうか。貸して頂けたので、ちゃんとお挨拶をしてから講習の開始です。
今回は、初めての人が多いので道具の説明から。
カラビナの形から種類、強度などについての説明や様々な道具をどの様な時に使うかという話からリギング時の木の枝に掛かる応力についてまで。
新しい道具についても説明があります。それぞれの長所や使いにくい点なども色々教えてくれます。新しく扱おうとする商品は購入してテストしてからラインナップに載せていますからね。
ODSKさんの場

因みにODSKさんのワーキング館入口の右側ドアは、「株式会社マルイチ技術開発本部」、になっていますね。
余談ですが、マルイチさんの上記サイトに、アンダーウェアについての座談会が掲載されています。ODSKさんでも扱う(スポーツ館オンラインショップ)国産のファイントラックのレイヤードシステムが、夏だけでなく極寒の冬で役に立っている話は非常に参考になりますね。えっ、ドライレイヤーはわたしも使っていますよ。汗をかいた時にサラサラなので助かります。閑話休題。
上の右画像では、従来のスマートウィンチとオリジナルに開発しているエレファントウィンチを一緒に写してみました。ボディの大きさも違う(細い木にもマウント出来る)のですが、一番違うのは重量。
スマートウィンチは重量23kgあるのに、オリジナルのアルミボディのウィンチは7.5kg(プロトタイプ)しかないんですよね。可搬性がまるきり違います。
そう言えば全林協さんの林業現場人のブログに、このオリジナルウィンチのモニター募集の記事が載っていましたね。お、こちらは7.6kgとなっている。違ったバージョンかも知れません。春の講習で使ったこのウィンチは安田林業さんがゲットしていますから、またバージョンアップを施したものなのでしょう。
午前中は拝殿の中で机上講習、そして近くのお食事処の柿の里さんに配達して貰った美味しいお弁当を食べてから、午後は直ぐ周りの木でリギングの基本実習です。


先ずはデッドアイスリングを使ったポータラップの設置から。カウヒッチを使って縛りマウントします。そして受講者全員で3チームに分かれて、それぞれしっかりと縛り方をマスターします。

ここで、是からこの様な作業をしようと考えている人たち、それは自伐や薪材収集の人たちもそうなんですけど、此れらの道具が必要なシチュエーションが出て来ますから、少し説明を加えておきます。
右は切り売りのテネックスのロープを使って自分でアイスプライス(アイを編んで作る方法を教えて貰いながら...)をやって作ったものです。
アイ(輪)を造るのは、結んで輪を作る(もやい結びや8ノットなど)と、強度が落ちるからですね。スプライスしてアイを作れば、ロープの強度の70〜80%を保てると言います。
このスリングもそうですし、この後に登場するブロック(滑車)も日本にはないものです。欧米は訴訟問題に対応できる様に安全基準が厳しいですからね。
右画像のブロックは、樹上伐採用ではなくて普通の林業用のものです。日本のものではなくて、スイスかオーストリアのものです。
日本の林業事業体は相変わらずオタフク滑車ですか。でも、オタフク滑車も色々出してきていますから、これから変わっていくのでしょうか。
日本って、工芸品のレベルは繊細で質が高いけれど(道具から進化した?日本刀など)、プロダクトとしての道具類ってどこかセンスが今一に思えるのは私だけ?
なんか違うんだよね〜。それは、例えば山陰地方の湿度100%になる様な地域、それも37度とかの炎天下で作業するには、欧州のチェンソーパンツやブーツなんかでは死にそうな思いをするから、昔ながらの、作業ズボンと地下足袋が最高〜!っていう風土文化と通じる様な気がしませんか。。。
その方が朦朧としてフラフラとチェンソーを持つよりも却って安全なんじゃね? という風土には、欧州の格好いいブロックよりも、塗装が剥がれてサビが乗ったオタフク滑車の方が景色に溶け込んだりして・・・やっぱり日本の暑い時期は、地下足袋がいいっすよね〜。
さて、林業やちょっとした山仕事の場合には、アンカー(滑車を使った支点)を設置するのにベルトスリングを使います(まさか、木が傷む荷掛けワイヤーなんか使っていませんよね...)。下の画像の左側のものですね。




このベルトスリングは、カナダのポータブルウィンチ社製の2mのもの。破断強度は2トンだったと思います。右は16mmのデッドアイスリングの2mのもの破断強度は8.5トンです。重さはあまり変わりませんね・・・
此れらに使うブロックは以下のものになります。左はワイヤー用のオタフク滑車の4インチ、スイベル付きです。重量は2.3kgぐらい。破断強度は分かりません。
ロープ用のブロックは色々ありますが、うちの協議会にあるのは、こちらのもの。ISC社のスプリングブロック。破断荷重は分かりませんが、使用荷重は1.7トンとなっていますから強力です。重さは、512g。
使い方としては下の画像の様になります。
設置時の接続方法は、
・おたふく滑車の場合:ベルトスリング(繊維)---Uシャックル(金属)---オタフク滑車(金属)---ワイヤロープ(金属)
・リギングブロックの場合:デッドアイスリング(繊維)---リギングブロック(金属)---ロープ(繊維)
と、なります。
つまりリギングのシステムの場合には、金属同士の接続がないんですね。
もちろん、通常のウィンチ集材などには、ロープ用のプーリー(滑車)をスチールカラビナ(Uシャックルは孔を通らないので使えない)を付けてベルトスリングに接続してアンカーを設置することが殆どです。
ですが、この組み合わせでハードな使い方、例えば斜面に斜めって生えている広葉樹の上の方にロープをかけた上で、振り子にして樹を横倒しにする様な伐倒方向の制御などをやると、樹が倒れた時にバウンドするショックで金属で繋いでいる部分に一番負荷が掛かることが分かります。
何故ならば、点で接触していますからね。
ですから、集材搬出の様な、どちらかと言えば静荷重的な負荷が掛かる使い方では未だ大丈夫なのですが、動的な瞬間荷重が掛かるリギングの様な作業の場合には、テネックス素材のスリングやリギング用ブロックの方が高荷重に対応できるのが理解されるでしょう。
そして軽いブロックを使うので樹上での作業には楽なわけです。
右画像は樹上で伐った枝---とは言っても350kgはある---を、地面に落とさずに、そのまま空中移動で、20m強をPCW3000のロープウィンチで引っ張り込んでいるところ。
2017年のリギング講習の時のものです。
画像が小さくて見難いですが、巻いてある赤のデッドアイスリングに付けてあるのが、前出の緑色をした512gのISC社のスプリングブロック。
この枝は、神社の宮殿の上のものでしたが、実際に伐り落とした瞬間はかなり暴れて他の立木にぶつかっていました。
こういった作業には、金属同士で接続する道具は怖いものがありますね。
その様な瞬間的に高荷重が掛かる作業の場合のスリングの縛り方は大事です。カウヒッチでも技術者によって最後の処理が違ったりしますし、ティンバーヒッチ(日本語では巻き結びでしょうか)を使う場合もあり、注意点も色々あるので講習が必要ということに。

ま、難しいことをやろうとするとこの様に道具も良いものを使わないと危ないですし、通常の林業用のものでは重たくて労力が半端ないですから道具代が掛かるのは仕方がありませんね。
なので、こちらの地域でも特伐も仕事に取り入れていこうという若い人もいますけど、安い仕事はするな、と常々言っています。
この様な安全な特伐の内容を知らない地域の人に対しては意識醸成からやっていかないと、費用を出してくれませんからね。
小さな林業こそ人柄と営業力が大事です。見積書の作り方だってノウハウがあるんですよ。
良い仕事をすれば評価は得られますけど、お金は出してくれません。適正な費用が得られない仕事ばかり来てしまっては持続的な事業からは程遠いでしょう。
総じて道具代をケチる人、使うべきところに使わない人は、その人自身に対してもお客さんはケチってお金を出してくれないものなんです。これは、ご縁の問題なんですね。お金の有る無しではなくて、どこに使うかの問題ですね。
無駄遣いばかりして肝心なところに生きたお金の使い方をしていない人は、セコイお客さんをそういうものだと受け入れてしまうものみたいです。自分自身の奥底の本心が自分自身の生き様を判っていますから、ツマラナイ人間関係から脱却できないのでしょう。
マーケット(市場・レイヤー)は無限です。自分次第ですからね。仕事が無ければマーケットを創るという手もあります。林業という枠組みだけで考えていると厳しいでしょうけれど・・・ちょっと飛躍し過ぎ??? でも、自伐とか言っても、そんな枠組みに捉われないで食べていっている人が此方でも何人も居ますからね。
ところで、右上画像は横浜市神奈川区にあるケヤキが沢山生えている林です。わたしがかつて住んでいたところの目の前ですが、地主さんは辺り一帯を持っている(住宅街になった土地を持っていた...)人で大金持ち(のはず)です。
で、八王子の特伐をやる仲間を地主さんに紹介したら毎年手入れに行っているとのことなんですけど、お支払いの方は渋いらしいです(生活も質素でおられますから)。ま、お金持ちほどそうなんですけどね。
自分の意識レベルが低ければ、意識が低いお客さんしか縁ができませんから自分自身を様々な面から高めていくことが必要です。
これは、質の高い製品・受注開発製品の営業歴40年の経験です(学生の頃から営業職をやっていましたから。
誰でもできる様な仕事、誰にでも知られている商品を価格競争で商売する様な修羅の世界とは反対の、良いお客さんとご縁を作っていくWin Winのビジネスの世界の法則は、Take ではなくて、Give Give とShare の精神から生まれるご縁の展開ですね)。
皆さん、フォーカスする視点(問題点)を間違えて誤努力しておられませんでしょうか。お金は必要ですけれど、そればかりにフォーカスしていると全体が観えなくなりませんか。

確かに、今は山が伐期を迎えていますけれど収奪ばかりの林業で、育てることを考えて施行をしないとその反動は大きいものがあると思いますよ。
もっとも、杉檜の収穫ばかりを考えた植生自体を推進した山づくり自体にも問題が大きいですから、一般市民の問題意識をさらに高めていかないと、突然街の生活も脅かされることになるわけです。
其の上、命まで持って行かれたら誰に怒りをぶつけるのでしょう。国や自治体に文句を言ったって何か戻ってくるのでしょうか。
経済やお金や利権などにしがみ付いていると失われていくものの中には代え難い大事なものが沢山あるのでは、と思ってしまいます。
今の時代は知らなかったでは済まないことが多発しています。知らなかったではなくて、知る義務を破棄しているだけに視えるのですがどうでしょう。その結果を、自分自身と縁者が背負ってから反省しても遅いということ。
大災害に遭って生活がガラッと変わってしまった方々は多いことでしょう。わたしたち夫婦は、311での被害は被害と言うほどのものではありませんでしたが生活はガラッと変わってしまいました。妻は自家製の美味しい無農薬の野菜を使う様にしていて流行っていたお店を(ホの字が相当来ていたので)畳んでしまいましたからね。
山仕事もそうですけれど、想像力を巡らせて、今やっている作業の結果をイメイジして全てをコントロール下におく工夫をするわけですが、其の中で危ないところを探って知ろうという“確認”という作業の手を抜いたら、其の結果はどうなるでしょうか。

奥深く難しい山仕事は、自分自身の意識改革や能力開発にはうってつけだと思います。自分自身の頭で考える(結果に責任を持つ)ことや、直感や閃きもふくめた感覚(身体の反応)を鍛えることが必要です。
理論(左脳)とイメイジ(右脳)と感覚(身体意識)を統合して行なった結果が直ぐに答えが返ってくるのが山仕事。かなりレベルが高いスリリングでリアルなゲームとも言えます。
そういった意味では、樹上でのワークはさらにレベルが高いでしょう。いい加減な期待だけで作業をすれば、即時怖い目にも痛い目に遭うでしょう。そもそも逃げ場がないですからね。
なので、安全性について確固たる知見を持っている指導者による講習の受講は必要だと思いますよ。
これは、山仕事全般に言えることだと思いますけど、技術やノウハウ、道具ってのは有り難いですけれど、それよりも考え方や心の姿勢を教えてくれる人たちはもっと有り難いですね。以下、別の記事からの引用です。
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縄文時代のコミュニティの精神は、樹上伐採の連携作業にも繋がっているかも知れません。アウトドアショップKの木下氏は、講習会時にこの様な内容のことを言います。
「経験が多いとか、技術が上とか、そんなことは関係なしに、自分が他人の作業を見ていて危ないなと思ったら直ぐに声を上げて相手や周りに伝える様に。」、「人任せにしない。どちらが上とか下とか無いんだから、作業者自身が気がつかないこともある。だから、気がついた事は声に出してから作業をすること!」
これは、我々一般市民が仲間と作業をする上で安全管理のために非常に参考になることですね。機会がありましたら遠くからでも樹上伐採の現場を見学させてもらうと勉強になります。
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おっとっと、また話が膨らんでしまいました。数年前に某行政の自伐型林業のコーディネーターを委託でやってみて、???が付くことばかりだからなんです。いやいや、それだけじゃないかも。
さてと、話を戻しまして、講習の際には神社の参拝場所の屋根に掛かる杉の太い枝を何本も処理をしたり作業が色々あります。
こちらは、脇を通る道路の上にある枯れ枝の処理について。何本もあるので、どの様に作業を進めるのかを皆で考えてからデモンストレータが樹上に登ります。
受講者がポータラップ(制動器)を使ってロープを操作して枝を降ろします。
初日の日中の講習は、この様な具合でした。
さて、此処からが本番?


松乃湯さんの調理場裏の流しを借りてカニの処理をするのは、鳥取の会社の社長N氏。
電力会社の支障木伐採の仕事を請けている会社を経営している。N氏の会社は良い会社で毎年社員のクライマーの人と一緒に来られていますが、今回はお一人だけだった。カニを境港で仕入れての参加。
技術的には充分なので、まさか差し入れに来られたとか・・・こういう事が毎回ある訳ではございませーん。
あと、大勢の方から自慢のお酒の差し入れがありました。九州熊本から球磨の泉。旨い焼酎です。他には有名な山口の獺祭。もう一本は、ん〜、思い出せない。飲み過ぎたか。それから岡山の天寶一の純米酒。これがまた旨い。
ビールがアサヒのドライしかないのが残念だが、料理も地元田舎料理の美味しいものが沢山あって、差し入れのカニまでついて、美味しいお酒も豊富。
いや、皆さんありがとうございます。
赤くなった首筋のODSK木下氏と話をしているのは熊本からこられた林業会社の若い社長。同級生や若い人たちでやっている。3年前にも福岡の会社の方も来られたが、そこも若めの社長だったのだけれど、皆さんしっかりとしておられることに感銘を受けました。
此れから技術と安全管理向上にしっかりと目を向けている人たちが底上げをしていってくれればと願う次第。
皆さん、あちこちで話が盛り上がっているが、おばちゃん達の片付けの都合もあるので10時くらいにはお開き。あとは部屋で・・・
【二日目】
二日目には、神社の下の段。ここでリギングの講習です。

使うのは此方です。ODSKオリジナルの人力ウィンチ。中身がハーケンなのは他と同じですが、ボディが可搬性が高く作られていることと、あとは使い勝手とさらなる安全性を考えているというもの。
既製のものでは、ちょっと???と考えた人たち(ODSK&マルイチ)が自分たちの道具を作ってしまった、ということですね。
広島の安田林業の安田社長が使い方を教えます。安田さん、エレファントウィンチを気に入った様子で、こいつをゲットしましたね〜。
枝を伐って降ろします。
松乃湯の裏山には赤松がありますが、何本か枯れてしまっていて、それが作業道の脇にあるのです。モノによっては通行者を直撃しそうなものが・・・
一応危ないからと言ってあったのですが、もし松乃湯のオヤジさんが通った時に折れたらと気が気ではありませんでした。
一本は傾いている方角にしか倒せないけれど、どこに向けても下の梅の木のどれから潰しそうなもの。
もう一本は、重心方向に倒すとどの向きでも掛かり木必至のもの。でも、重心方向の反対側へ起こし木にすれば空間はある木の、これら2本です。
この二つ目の方の木は、自分一人でやってしまおうかと考えて居たのですが、講習会の題材に面白いかと思い取っておきました。
さて、一本目。こんなやつです。クライマーが登っていますが枯れ松です。どこまで腐れが入っているか叩いて音を聞いてから登っていきます。
システムはこんなです。
頭から順番に伐り落としていくだけですから簡単です。観ているだけの人は・・・はい。
それからもう一本! やりたかったのはこれですね〜。樹上にロープを掛けて引っ張り、折れるところまで折ってしまおう作戦。
以前、「枯れ木にスローラインを掛けて、PCウィンチで引っ張ってぶっ倒す!(^^;;」、という記事を書いていますが、もうちょっと参考になるのを載せたかったんです。でも、自分で作業してしまっては撮影ができませんから、講習会をこれ幸いと使わせて頂きました。
先ずはスローラインを掛けるところから。上手な人たちにやってもらうと気が楽です。スローラインを投げているのは、鳥取のN社長。広島の安田社長と交互にやっていました。
二人とも社長ですからね。社長がバリバリに木に登る会社。良いんじゃないでしょうか。

で、寝ている枯れ赤松を起こしつつ、ぶち折ってしまう牽引側にはPCウィンチのPCW3000をセット。このPCW3000は、牽引力が直で750kg。牽引速度は上位機種の5000よりも遅くて8m/min。なので、30m以上引っ張るとなるとまだるっこしいけれど、こんな小さな仕事には可搬性が高くて充分。林業現場人という林業の本にも一昨年だかに記事を書いた通りです。
でも、4年くらい前にカナダのポータブルウィンチ社のサイトを観ていて、これは山仕事に良いな〜、とずっと考えていたんですよ。PCW5000だと、マウントとか一式持って山に入ろうとすると、何度も機材を分けないと運べないんですね。一人で作業するのには面倒すぎて有りえないと。
それで、輸入元(6年前にPCW5000を買っている。それもロープの軽架線の資機材と一式ね。多分、一番最初)にこのPCW3000を売ってくれと言ったら、「これは北海道のエゾシカ猟に仕入れたもので、林業なんかには使えないから売らない!」、と今までカナダの可搬型の超小型の高性能消防ポンプセットと併せて150万円くらい買い物をしているのにも関わらず、冷たくあしらわれました〜。

他にPCウィンチを扱う代理店が日本にないので、仕方なくODSKさんに泣きついたら手配して貰えたという経緯でもってうちの協議会にPCW3000がやっと来たんですね。
それで島根県では、良さそうだということで住民講習用にと二つの自治体がPCW3000を買おうとしましたんですけど、うちと同様に断られたので、結果ODSKさんから購入しました。
使ってみれば、案の定小さい林業にはぴったりです。重たい長い材でも倍力を掛ければ充分動かせます。事業体でもスイングヤーダで届かない場所の横引きなんかピッタリだと思うんですけどね。
それに5000と違って、左右に傾いても前後に急角度でもエンジンは動くんですよ。だから、大抵は金属のマウントなしでベルトスリングだけで固定できるんですね。
それで右画像も載せた機動的ワンパックウィンチセット記事を書いたということです。
ODSKさんにはそんな困ったお客さんたちが最後の砦として辿り着いていて、皆さんカナダから直に取って貰っていたけれど、そのポータブルウィンチ社としては、ちゃんと代理店を作る様にということで輸入元にその後指導が入ったらしいです。
それで、日本でも3000を販売リストに載せることになったという経緯でしょう。そして、今は林業関係で可なり売れている様子ですけど、それなのに何故かお気に召さないみたいですね〜? 自伐型林業の本に紹介を書いて上げたし、オフィシャルサイトにも紹介しているし、商品をあちこちで褒めているのにね〜。男心は判らないッスね。愛と憎しみは表裏一体か〜、なんちゃって。
で、ちゃんとリダイレクトのアンカーを二箇所設置して牽引の体制を。
ちょっとロープが見えにくいですけれど多分10m位の位置に牽引点があります。
そして折れて倒れて、バラバラになりましたね。
反対側から見ると、こんなです。6m位のところで折れましたね。
この写真が撮りたかったんですよ。安全に枯れ木の処理が出来るでしょ。ただし、この時のやり方だと、木が折れなかったらロープの回収が出来なくなります。
ですから、自分の場合には前述の記事に書いた様に、ランニングボーラインで末端を締めこまずに、ロープの末端を降ろして来たら、其のまま他の立木に縛ります。そうすれば、例え木が折れなくても末端を回収できますからね。そして、手間だけど、次はもっと上の折れるところからやり直しということです。
あ、思い出しました。末端をランニングボーラインでやって折れなかった場合の処理方法にもう一つありました。オフィシャルサイトに載せているページリンクからダウンロードできるファイルがありますが、その中の一つに掛かり木処理や牽引の際に使う3倍力システムの道具リストが載っています。そこにZリグシステムの絵を描いておきましたので、それをご覧ください。
こちらは、ウィンチから直引きで折れなかったら3倍力を掛けて、無理やり折ってしまう手法です。
枯れ木の処理の一つの方法として良いと思うのですが如何でしょうか。また、ODSK木下氏は、自分自身が現場をやっていた時(JR沿線の支障木処理)には、スローラインだけで枯れ枝を折って落とす作業を延々とやっていたとのことです。手が痛そうですね。
でも、この様に枯れ枝を処理しておいたり、枯れ木の上の方だけを折っておいたりしておけば、その下で伐木、集材、積み込みなどの作業が安心して出来るので、樹上伐採の技術は地面の上での山仕事や小さな林業(大規模林業は重機でガンガンやって下さいね)の役に立つと思いませんか?
【三日目】
三日目の題材は針葉樹です。終日雨でしたが講習の内容は盛りだくさんです。テーマは、スパークライミングの際のWランヤードを使った確保技術各種。やらない方がいい手法など経験豊富な戸出講師が幾つものパターンを展開して見せてくれました。
それから、檜の枝を落とす時にスピードラインを使って流して、枝を集積する方法。トップカットの際のポータラップを使ったリギング。立木を上から順にカットしていく時に、いちいち地面に下ろさずに、そのまま集積のところまで宙吊りで材を引き寄せる方法。最後は、残って立っている木の伐倒方向制御のための小技を教えてもらいました。
Wランヤードの使い方を何パターンも説明してくれました。画像は他にもあります。
次はクライマーが登る前にポータラップの設置をします。カウヒッチの最後の留め方の技も教えてもらいます。
ODSKのスタッフ中原氏からも設置の際の注意点を教えて貰いながらリギングシステムを仕上げて、ロープの端を携えクライマーが樹上に登っていきます。
次は樹上の枝を落として行くわけですが、そのまま自由落下させるのではなく、スリングで縛ってスピードラインに乗せて流して降ろします。
で、グラウンドの人が集めておけば、あとの処理が楽ですね。山の中ならば、林床に散らすかまとめて置いておけばいいですけど、片付けなければならない街での仕事には必要な技です。
そうしましたら、上から順にカットしていきます。受け口をクライマーの向こう側に作ってから追いを入れます。ツルの厚さは確認しつつ丁寧な仕事ぶりです。
そして、グラウンドでロープを握っている相棒に合図をして確認の後に上の材を手で押して倒します。
すると、折れ曲がって落ち掛けますが、赤いリギングブロックでロープが折り返して止まります。が、完全ストップではありません。この時に、グラウンドの相棒がロープを緩めて落ちて行く材を流します。
ここで、完全にロックさせてしまうと、落ちて行く材の荷重が赤のブロックから木に掛かってしまって立っている木を揺らすからですね。
酷いとクライマーが振り落とされる程に揺れます。そんな下手な相棒と組んだ日にはクライマー受難。恐ろしいことになります。
ところが、戸出講師は、リギング講習の際のクライマーですから、下でロープを握るのは全て初心者です。先ずはODSK中原氏が見本を見せます。
はい。じゃあやってみましょう、と受講者が交代で落ちる材のスピード制御の練習をします。


え〜、大変です。大抵揺れます。
去年だったか、大きな杉の一番トップのカットをした時に、ポータラップからのロープの長さが長すぎて重量で流れなかったのか、ロックしてしまって大揺れしたことがあります。
その時は、「俺を殺す気か〜!」、と怒鳴っていたのは誰だったでしょうか? でも、ODSK木下氏は、「だから、もっと上の方で短く切ればいいと言っているのに・・・」、と言っていましたが。。。
カットした材は、PCW3000で引き込んで材の集積場所へ空中移動します。その際はポータラップを制御する人との呼吸を合わせる必要があります。つまり全部で3名が必要な技です。
外での実習が一通り終了したので、雨脚が強くなって来たこともあり室内での講習に切り替えて、外では落ち着いて説明できない細かいことや安全管理について質疑応答が行われました。
以上を持ちまして、この春に行われた第6回目のODSK島根講習の報告を終わります。講習の内容は参加者のレベルに応じて臨機応変に変わることがありますので、色々なパターンで対応が可能ではないかと思います。
あとは、現場の状況次第ですから、場所の確保を更に広げられる様にして参りましょう。皆様の安全作業を祈念して報告を終わりにします。以上