今年もお世話になりました!無事に年を越せそうです(22万kmを走った車の修理もあって年末に懐がスッカラカンになりましたが)。
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 今は大晦日の夜の8時半を過ぎましたが、まだまだ夕食は食べられそうもありません。さっき、年越し蕎麦を配達して帰って来たところなのです。

 当家では、年末の29日から31日までは朝から夕方まで蕎麦打ちをやって、お世話になった人たちに配ったり、また関東の親や仲間、お世話になっている方々(沢山居られるので超限定で)に発送したりで時間に追われて過ごすのが恒例になってしまっています。

 移住する前から年末は蕎麦打ちでしたけど、7年半前に島根に来てからは、その量が一気に増えて大変なことになっています。
IMG_1224 (1) 記事を書いていて懐かしくなり画像を探してみたところ、2004年に蕎麦打ちを始めたのでした。信州上田のこんなお蕎麦を出すお店に、お蕎麦が好きな人たちで蕎麦打ちを習いに行った事があります。
 もっとも、自分自身、今では習った打ち方ではないですが・・・

 右画像には、多分島根の人が見たこともない色のお蕎麦が器の右端にあります。これは更科蕎麦ですね。玄ソバの芯の部分だけ使っている真っ白なお蕎麦です。

 関東で更科蕎麦と謳っている蕎麦屋さんがありますが、それとは違って正真正銘の更科粉のお蕎麦です。
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 其のお蕎麦を出しているお店へ、上田市の知り合いの材木屋さんのお嬢様に頼んで貰って蕎麦打ちを習いに行ったのでした(後述する益田市のご夫婦がまだ横浜に住んでいる頃のお仲間と一緒に。リタイヤ後に山梨の道志村に移住して田舎暮らしをしているご夫婦と。懐かしいなあ、14年前の話ですね。)。

 その後、あちこち蕎麦粉を取り寄せて打ってみましたが、結局、嫁さんのお蕎麦屋さんで使っている蕎麦粉の質が良いことを悟って、それを使っています(嫁さんのお店は機械打ちでしたが美味しい蕎麦でした。そして本枯れ節も良いものを使っていたので、おツユも超ん旨い!)。

 8年近く前に島根に来たその後もそば粉は、その東京の製粉会社の方に頼んで送って貰っています。蕎麦屋向けの専門の会社(北東製粉株式会社)のものなので毎年ほぼ粉の状態が安定して美味しいからです。通販もやっておられますが、事業者向けなので少し蕎麦粉選びが分かりにくいかも知れません。うちは、手挽き風石臼粉と田舎風石臼粉、それから割粉は“あさぎり”、あとは打ち粉と甘皮を頼んでいます。

 今回送って下さったのは新そばで、上記の手挽き風と田舎風の北海道音威子府の玄蕎麦の粉ですね。此の会社では大きな電動の石臼を低回転で製粉しているので質が良いです。
 また、商品の内容表示にありますが、北東製粉さんだけでなく、どこの専門の蕎麦粉の製粉会社では、外国産の粉も混ぜて使っているものがあります。
 何故ならば、国産の蕎麦だけだと新そばの時期から次の蕎麦の収穫の時期までに最長で1年近く経ったものを使うことになるからですね。時期によっては国産のものだけだと質が落ちるので海外産のものも併用するという訳です。
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 昔、江戸ソバリエが始まったころの講習も受講したことがあります。その時に、そういう話を伺いました。
 思い出して江戸ソバリエの講義の画像を探したらありましたね。どうやら2004年だった様です。

 日本の食文化他、講義では色々なことを教えて貰いました。ソバリエは、好きな方には非常に勉強になると思います。

 その中で、日本で流通している玄ソバの産出国についてのお話を伺った事があります。オーストラリアやカナダ、それから中国(モンゴル)などで技術移転して蕎麦栽培を行っているという話でした。可なり質の高いものが栽培されているそうです。

 こちらでも地粉とか言って売っていますけど、製粉が悪いので熱が入り過ぎ、また保管が悪いために砂みたいにサラサラして酸化した粉しか手に入らないからです。ビニール袋に入れただけで粉は静電気で酸化し易くなりますよね。

 それ以前に、蕎麦は水はけの良い土地でないと良いものが出来ませんし。。。本当は九州の椎葉村の様に焼畑で行う循環農業の場所が蕎麦栽培には良いでしょうね。焼畑やりたいなあ!
 うちは他の記事に書いた様に、裏の畑でマダニにやられましたから、獣害、マダニ対策にもボサ山を焼いて再生をした方が土も山も良くなると思います。

 大体、今までの日本の歴史にないくらいに里山の広葉樹林がボサボサになりすぎて(薪炭林として活用しなくなったために)大木になってしまい、そしてツルが樹上で大木同士を繋げてしまい、非常に危険な森になってしまっていますから。
 それに、獣の住処になって日本中で獣害が酷くなっていますし、こちらの集落では、年寄りたちの生産物に被害が及んで、自給生活にも影響を及ぼしています。

 これは奥山の原生林の話ではありません。一旦、人の手の入ったところは放置してしまうと植生のバランスが崩れて大変なことになるからですね。原生林という状態が成立するには、植物のせめぎ合いの中でそのエリアの植生が安定するまでに500年〜1000年掛かると聞いた事があります。
 だから(例え自然林に見えたとしても)植生が人工的な里山資源は順繰りに上手く利用して行くのが、結果的に環境の保護にも生態系の維持にも良いわけです。その中で、焼畑を上手に行うことで山里の自然が保たれます。そもそも灰は大事です。日本は特に酸性土壌の上、酸性雨が多く降る現代に於いては、山間部でも土壌改良と土中菌の活性化を考えないとならないでしょう。

 さてさて、話は戻して、例え蕎麦は自分のところで一生懸命栽培しても、製粉が悪ければ一発でダメになります。先に書いた様に、取り寄せている製粉会社さんは、嫁さんがやっていた蕎麦屋(義父と義母の三人で)で取引があったところで、義父は半世紀くらいはお付き合いしていたのではないでしょうか。
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 今住んでいる地元でも、可なりの収量がある蕎麦栽培をやっていて、以前集落の人が石臼で手挽きしたものを頼まれて、新そばの収穫後に蕎麦打ちしましたけど、前述の粉屋さんの田舎風蕎麦に近いもの(星が入ってしまっている:外皮の欠片がどうしても入ってしまうので喉越しが悪いんですけど味は近い)になりました。

 つまり、専門の製粉屋さんの蕎麦粉は、低温低速で行う石臼手挽きの粉と同じものである上に、食べやすくなっているということに。
 おっと、また能書きが長くなりそうなので止めましょう。

 で、島根住のわたしが打つ蕎麦は黒い出雲蕎麦ではありません。(^-^;; 江戸蕎麦です。でも、こっちの人たちは、色が黒く無いと美味しくないというので、地域の皆さんに配るのは色の黒い田舎蕎麦風のものを打っています。それも太めに・・・
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 でも、自分たちが食べる分と、それからこちらに来るきっかけになった益田市のお世話になっているお家(一緒に信州上田に蕎麦打ちを習いに行った)に差し上げるお蕎麦は、江戸蕎麦の、それも細いものを打っています。

 蕎麦切り包丁の上に載せて撮影してみましたが、細いでしょ。

 細いのが美味しいか?と言われてもどうか分かりませんが、喉越しが良いのは確か。蕎麦ツユとのバランスも大事ですね。

 でも、あまり細いと茹でるのが超難しいです。お蕎麦を投入して沸き上がってから1分茹でたらダメになってしまうくらい。

 横浜や東京の人たちに送る分はもうちょっと太めです。が、それでも細めのお蕎麦ですね。皆さん一般家庭の方々ですが上手に茹でている様です。もう、何年も送っているので上手く茹でられる様になったのでしょう。

 義父は東京の蕎麦屋で60年くらい前に修行を始めて、その後相模原に自分の店を持った人ですが、蕎麦屋では蕎麦を茹でる人が一番格上で、釜前と言ったかな、、、その茹でる腕で蕎麦が変わってしまうのだそうです。
 と言うか、実際の話、ほんと茹でで蕎麦が美味しくも不味くもなりますからね。勿論、水で締める(水の質も大事)のも入れてですけど。これは温かいお蕎麦の場合にも茹でた後に洗いが入るので、其処まで含めた作業が必要ですね。
 家のガス台でまともな蕎麦を(何人前も)茹でようとしたら小技を使わないと難しいくらい。

 さて、益田市のお世話になった方(仕事で横浜に30年以上住んでいて、蕎麦の名店巡りをしていたご夫婦)のお家には、今年は木の舟のもろぶたに入れて持っていきました。蒸れないから良いんですよね。

 IMG_0871のコピー (1)真ん中が江戸蕎麦の細いもの。右側は田舎風のお蕎麦を細く打ってみたもの。色が違いますよね。どちらも蕎麦の原産地は、北海道の音威子府産の新そばの粉です。
 義父母が長年お世話になっていた北東製粉株式会社の担当のTさんにお願いして分けて頂いているものです。だから美味しいんですよね。

 それからもろぶたの左の方は、此方の人たち向けに田舎蕎麦タイプの奥出雲蕎麦風の太さに打ったもの。

 こちらの石見地方の山奥でも同じく、このくらいの太さのお蕎麦を食べています。蕎麦切りの時に駒板も使わずに切るから太いのね。

 ほんと。食べると言うのがこちらのお蕎麦の感じ。江戸蕎麦の手繰る(たぐる)というのと食べ方が違うんですよね。でもね、それはそれで美味しかったりします。噛みながら食べる蕎麦ね。

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 前に住んでいた集落のお婆ちゃん達が、私たちが差し上げる蕎麦のお礼にと、自分たちが昔から食べているお蕎麦を打って食べさせて下さった時があって、それがこんな感じのもの。右側の画像は、鮎で出汁を採った鮎蕎麦ね。

 その時は、最初見てビックリしたんだけど、食べたら美味しいのね。何が違うのかというと、薪で焚く大きな羽釜で一気に茹でてくれたから・・・
 太いお蕎麦でも短時間で茹でられる火力と遠赤外線。絶対にガス台の上の大鍋では美味しく茹でられないくらいの太さ!
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 ここのお宅はお家を直して台所も今風になっているけれど、納屋の作業部屋にはちゃんと薪の釜があるのです。そこで太いお蕎麦を一気に茹でてから本宅に持って来て温かいお蕎麦で頂いたもの。


 調理して貰っている最中の画像を載せてみますけれど、そのお蕎麦の太さがわかると思います。
P1040849のコピー (2) こちらのお婆ちゃん達には、今でも毎年年越し蕎麦を届けています。
 と言うよりも仲良しなので、此方のお婆ちゃん達の集落にはよく行っています。






 この集落のお婆ちゃん達は、もう何年前だったか、漫画美味しんぼにも登場した人たち。昔ながらの木灰でアク抜きした栃の実をたくさん使った美味しい栃餅を作るので採り上げられていましたね。
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 あとは、たしか匹見の島根ワサビもフィーチャーされていたはずです。広葉樹の森から湧き出る水で栽培された島根ワサビは、素晴らしい風味と味がしますからね。

 そう、此処は匹見町。過疎という言葉が最初にメディアで使われたので過疎発祥の地といわれているところです。
 わたしたちが移住した年に、ソトコトという雑誌に集落の人たちがフィーチャーされた記事が掲載されました。仲良くして頂いている竹ちゃんがページ1枚にアップで載っています。島根県が100歳以上の長寿比率2年連続で日本一を達成した年だからです。
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 ソトコトの1ページを飾った竹ちゃんは、此処の集落(内谷:うつだん)に嫁入りする時に嫁入り衣装で下駄を履いて20km以上(多分)を山越えして来た人です。今年はたしか91歳ですから70年近く前の事でしょう。
 当時、ここの集落には電気が通って居なかったので、嫁に来るのが嫌だったとか。そして、集落で開かれた結婚の儀の時も暗くて旦那さんになる人の顔が見えなかったそうです。

 そう、旦那さんの顔を見たのが、初めての床の中だったって、面白おかしく話をしてくれました。皆さん、下ネタの話は好きで、夜這いの話とかすると可なり盛り上がります。

 ここの載せた人たちは、栃の実会(集落に住んでいる時は嫁さんも手伝いに行っていた)という前述の人たちですが、栃餅の作り方を山越えして来て伝えたのが、こちらの竹ちゃん。

 栃の実会の親玉は巴さん。ここは民泊もやっています。素朴な田舎料理ですがお米は農薬一回散布だけのヘルシー米ブランドのもの。標高600mくらいのところで作っています。
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 そうそう、巴さんの沢庵は自分が今までに食べたもの(一応日本中あちこち行っているけど)の中で一番美味しいもの。
 醗酵が進むのでタイミングが大事だけど、ほんとショックなくらい美味しい。絶品!!! 栃の実会では、大阪の高槻市で開催される地方物産展みたいなイベントで漬物や栃餅を出すと知っている人たちが買いに来て一瞬で無くなるらしいし、こちらの方のイベントには定番で栃餅や白餅を出すと、殆ど前半で売り切れてしまうくらいに人気があるんですね。

 野菜は無農薬。島根はワサビも美味しいけど、イノシシも旨い。これも広葉樹の山の恵ね。色々な人に猪肉あげて食べさせても旨いと言われる。処理をちゃんとやったのは柔らかいだけでなく何も臭くない。美味しい豚肉の更に超美味しいものという感じ。
 関東に居た時も猟師やら知り合いに貰ってソコソコ美味しい猪肉(伊豆のミカンを食べている猪は美味しかった)を食べていたけど、こちらはそれよりも美味しくて、全般にレベルが高い。

 前の記事(マダニ対策の)に書いたかもしれないけれど、現在私たち夫婦が住んでいる津和野町の旧日原町地区にイノシシを扱う専門店があって、先方の丹波地方のイノシシよりも美味しいので大量にイノシシを送っています。

 今日、そば打ちをしている最中に其処の大将が猪肉を届けてP1020846のコピー (1)くれたけれど、その時にこの間頼まれて40頭も送って大変だったとか言っていました。

 と言うことで、此方は山のもの田畑のものも美味しい(交流で中四国の人たちが来ることあるけどみんな美味しいと言うからね)。
 また、対馬海流に乗ってくる萩沖から益田沖の魚介類も旨いね。
 多分、松江、出雲方面よりも美味しい。何故なら、鮮魚店だけでなく街のスーパーに並んでいる魚類を食べ比べても此方の方が美味しいからね。それも安くて・・・
 だから魚好きの嫁さんは、関東に帰りたいなんて一言も言わないし。。。

 さて、巴さんの家は民泊をやっているのだけど、先のソトコト(2011-11号)の記事に、記者の人が書いていたこと。

 それは、丁度、巴さんのところに着いた時が台風で集落全域が停電になっていた話です。それでも、普通に生活ができたと記者さんが記事中に書かれていました。
 水は沢水(水道なし)があり、野菜や米は豊富。そして旦那さんの峰雄さんがランプを灯してくれたと・・・。7年ほど前のことなのですが、確かに停電があった記憶があります。

 電気がなくても大丈夫な生活、いいでしょ? どこの家も炭や薪は持っているし竃もあるから大丈夫なのね。冬だったら掘りごたつもあるし(ところが竹ちゃんちは、掘りごたつは潰してしP1090440 (1)まってあるし、暖房がファンヒータと電気炬燵なので、そんなんじゃ身体に良くないし、電気止まったらダメじゃんと言っている)。

 私たちは、巴さんのところの一つ下の集落(標高450m)だったけれど、其処は同じ川の川底の岩盤層からIMG_2935のコピー吸い上げた水を大きな枡に貯めてから集落全体に送っています(写真の川の画像は、台風通過直後だけど殆ど濁っていない)。集落の水道管理費として一人月に五百円。二人以上でも月に千円だけ。で、お水は使い放題(他にも一家に一本みたいな感じで小沢があったりして...)。

 自分たちで山に登って設備の掃除をする必要はあるけれど、安心な山水が飲めます。なので今も水を可なりの頻度でもらいに行っているというお付き合いをしています(道刈りとかの草刈りも手伝いに行きますが)。

 おっとっと・・・もう夜の9時を過ぎてしまった。嫁さんが呑みタイムになったと呼びにきたので、この続きは来年!!!(正月に追記済み)
 では皆さま、良いお年をお迎え下さい。ありがとうございました!
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P.S.お蕎麦は日頃の御礼に配っているだけなんだけど、行くと(お断りしても)色々お土産を頂いてしまうことが多いんです。野菜から餅、お米、手作りの美味しい食べ物からスペシャルな猪肉、果物、から刺身まで。。。なんとわらしべ長者状態で帰って来たりして。
 けっして、それが目的ではないのですが、物々交換、気持ちのやりとりも含めて、これが田舎の醍醐味かと。通貨に頼らない経済の真骨頂。なんとも申し訳ないやら。懐が寂しくなった反面、食べ物は超豊かに。感謝感謝でまた来年。