林内作業車は、狭い山道だけでなく広いところでも活躍の巻?(+ 自分たちでもできる林内作業車=走行集材機の安全教育・特別教育の企画開催のこと。自伐型に取り組む皆さんも同様に開催をお勧め)

 うちの集落は割と綺麗な方だ。草刈りも丁寧にしているしね。集落が位置する標高は高くはなく、穏やかな起伏がある田園風景であり、また、周りを山で囲われている。
うちの集落2 (1)
 南側には、高津川という清流日本一に何度か選ばれ、でも、そんなに綺麗でもないと住民自身が認識しているダムの無い川が流れている(都市部の川に比べれば超綺麗だが、津和野の激甚災害の補修工事で土砂やセメントなどが大量に流れ込んで鮎の遡上が更に少なくなってしまったし、もとより生活排水、合成洗剤ダダ漏れ状態。流域には、森林から変える・・をテーマに活動する有名人を抱えた団体も存在するが、助成金を使った啓発イベントの様なものを役場とタイアップでやるだけで、現場部隊も居ないから模範的な山造りをやっている訳でもなく、そして、前時代的ローテクノロジーのバイオマス発電景気のための業者の乱伐皆伐で山が壊れていくのを傍観している様な気がするんだけど何か良いことになっているんだろうか)

 川の近くの高台なので縄文時代の遺物が出たりする場所であるし、また、地形的にも稲作に向いているから古代から連綿と人々が営んで来たところなのだろう。そして、今の稲作の水源は山から流れ出る水を貯水して使っている。

 よって東西二本の谷に堤がつくられていて、その水を使っての稲作りが行われてきたので、御多分に洩れず、昔は水争いがあったそうだ。

 でも、今は平和な水管理のために集落全体に水路が巡らされていて人が歩ける経路ができている。そしてその内側に獣害対策用の柵が張り巡らされているのだが・・・

 イヤイヤ、困ったもんだ。今回ボサ刈りをしてみれば、彼方此方の柵に綻びが見られ、小動物が出入りしている跡が沢山あった。


【入ったは良いけれど、出られないイノシシ】
 が、その小動物が問題で、農閑期の田についた足跡をみればウリ坊クラスのイノシシのものがある。
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 柵と言っても上画像の様なものを針金で結束して繋げているだけだから、地面に大して突き刺さっていないところもあって、そこの下を掘ったり、または水道ができて隙間が出来ていたりするので、小さい動物は結構出入り出来てしまう。

 でもって、実際に年末にボサ刈りをやっていた時期に、田んぼに蹲る(うずくまる)小さい影が幾つもあった。
 気が付いたのは助手席に乗っていた嫁さん。車を停めて暫し観察。最初は犬かと思ったが、広い田んぼのど真ん中に何頭も放し飼いにしている人居ないし、、、と。

 観ていると、起きたり伏せたりしていたが、やがて全部で駆け出した! 小さいのが四つ。なんだ、昼間から兄弟で遊んで居たのか〜。
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 それからも時々、帰宅途中に車で夜あぜ道を通っているとヘッドライトに照らされる4兄弟を見かけていた。当然、集落でも話題になっているが、それから一ヶ月以上経ってもあちこちで作物を荒らしながら大きく育っているのが現状。

 昔は猟をやっていた人たちが大勢居たけれど、今はやる人が居なくなってしまったのでそんなことに。でも、昨日軽トラに檻を積んで来ていたので聞いたところ、やっと許可を貰って罠を掛けることにしたとのこと。
 イノシシ君たちは、あれから大分大きくなってしまった様だけど、集落のみんなに食べられてしまうのだろうか。果たして運命や如何に?
(うちの近くには猪肉を扱って関西圏にも出荷している元猪肉レストランもあるけれど、関東にいた頃に食べていた猪肉とは比較にならないくらいに柔らかくて旨い。脂も最高。スーパーで売っている豚肉を買う気になれないね。前に住んでいた集落のお世話になった方の娘さん、もう大きいお子さんが居る人だが、その娘さんはそんな猪肉カレーを食べて育って、大人になってから初めて豚肉を食べたとか.....)

※上の画像は、うちから1時間ほどの芸北・八幡原の田んぼの中で電柵から出られなくなって困っているイノシシ君。そう言えば、今年の干支は己亥か〜。己は陰性の土性の意。亥年は昔から災害が多いらしいね。今年の干支のイノシシ君は、益々元気にあちこちの集落で活躍しているらしいし、今年はいろいろな意味で気をつけないとね。

【農閑期だから出来た山の整備】
 他の記事でも書いたことだが、木の出しを考えないで植林をしたところが多くあり、田んぼ・畑などを潰さないと出せないところ、そして道も作れない、また、架線も張れないという様なところが、集落の周りには多いのが島根県下のどこでも見られる景色。

 何年か前にも島根県東部の方で、集落営林調査のために彼方此方の山主さんの山を見て回ったが、林業事業体では事業を受けない様な林地が狭いところばかりだった。もし、事業体に頼めば大赤字になる様なところばかり。これは、他の地方でも同じ様なところが一杯あるだろう。
 その様なところは自分たちでやるしかない。
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 下の画像は、その調査の時のものだが、冬季に田んぼに鉄板を敷いてバックホウを入れて伐倒した木を引きずりだしていた。折角、枝打ちをして真っ直ぐ太く育った木は、画像の様に泥だらけになって刻まれてバイオマス燃料にされるだけ。80歳近いお父さんはチェンソーの刃が泥で傷むのを厭わず地道に作業されて居られたので頭が下がる想いだった。
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 そして、何処も作業道を入れるにしても、山への入り口にするアプローチ部分が見付からないところも多い。田畑から直ぐに崖になっているとか、川の向こう側の土手から上が植林だとか。あるのは細い田んぼのあぜ道しかないので、植林山に車両がたどり着けないとか。
 その上、田畑潰してタワーを立てて架線を張るほどに値しない材積も見込めない小さな林分ばかりという状況。

 つまり、此方の地方は元々が林業地ではないのために植林歴が150年程度なので、山造りも知らずに何も考えないでやっているし、ただ植えただけの放置林もあちこちにある。

 もう、燃やすしか活用方法が無い様な悲しい木ばかりの林分は、気が淀んでいて光も入らずに暗いエリアになってしまった。
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 その上、林縁の木を伐れば、あとは樹冠長率が低い線香林が情けない姿を晒すことに(画像の上下は同じところ。藪を払って、林縁の杉を40本くらい伐った後)。
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 ここまで樹冠長率が低い育ち方になってしまえば、今後の成長は見込めない。材としても使えなければ、バイオマスで燃やすしかないけれど、それ以前に山から出すに出せない負の遺産にしてしまっている。

 針葉樹施業のノウハウを知らない人たちにまで、植えろ植えろと勧めておいて指導も管理もできなかった末の結果がこれね。推進した側と其れを受け入れた側の誰もが責任感なく先のことを考えなかった因果の結果が後送りになっているというところかと・・・

 さて、前の記事に書いたが、伐採と共に田んぼの周りのボサ刈りも並行して作業をしている。

 その際に田んぼの中に倒し込んだ灌木や竹を焼いて処分するために集積場所へ引きずりだすのに運搬車が活躍。
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 農閑期で水は入れていないけれど、それでも入っている場所は長靴に水が入るくらいにヌカっている。
 とても人力だけでは、歩いて倒した竹も灌木も引き出せないので運搬車からワイヤーを出して、倒したものを何本も荷掛けワイヤーを回してまとめて引きずり出した。
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 もう自分も泥だらけ! ヘルメットはファナーのプロトスと洒落ているけれど、だいたい田んぼの中でこんなヘルメットを被って作業をしている人って他には居ないだろうなぁ〜。
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 被っている理由は、頭部の保護というよりも、バッサバサに倒してある竹や灌木の枝から眼や顔面を守るため。歳食って老眼になると近くに枝があっても気付かなかったりするからね。暑苦しいけど仕方がない。

 でも、斜面から田んぼに掛けて倒れているボサが綺麗に片付いて行くと景色がスッキリ。林地の間伐もそうだけれど、綺麗に片付くと気持ちが良い。
 風が流れる様になると、溜まっていた邪気も流れ、そのエリア全体が明るく光る様な感じになる。
※別記事の「夕日が沈む山陰の海でアーシング(土壌と生体と木や山などの電気的環境について考えてみた)」に書いた事に関連するが、風が流れずに淀んだ空気は空気イオンがカチオン化(プラスイオン)、他から電子を奪いやすい状態になっている。つまり電子を奪いやすいというのは、酸化環境になっているということで、他の安定した分子を崩壊に持って行く条件が揃っているということ。これは空間中だけでなく地面の中でも同様に地電流を含めて様々な電気環境がある。そして微生物や菌はその電気環境に反応する。また我々を含めて生体は微弱電気で作動しているので、その影響を受けている。

 その様な作業もやったので、安心して林内作業車を田んぼに持ち込むことにした。


【林内作業車の自重800kg位+積荷重量1000kg超】
P1090990 (1) 林内作業車は、大きさ的には軽トラの荷台に載るのだが、重量は完璧に積載オーバー。うちのウィンブルヤマグチのRN122Xで800kg近かったはず。

 アルミブリッジだけ使って、当てものをせずに軽トラに載せようとすると、軽トラが空に向かって立ち上がろうとするからね。
 それに公道ではそんなことをやってはいけません。私有地のみの話。

 そもそも、軽トラオンアオリのヒンジもそんな荷重に耐えられる様になっていないので、普通にアルミブリッジを掛けたらやばいことになる。で、こんな感じに。耐荷重300kgと500kgのアルミブリッジの併せ技。一点に荷重が掛からない様に分散した。
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 その軽トラの自重も800kg前後。積載量は350kg。でも、農業用のリアサスの板バネ強化バージョンは一応高荷重にも耐えられる様に保険をかけてあるそうなので、実際には1000kg近く積んでも直ぐに壊れることはないらしい。by農家さん・・・

 だけど、積載オーバーで路面の穴とかに落ちたり凸凹なところで瞬間荷重が掛かったら半端ない応力が掛かるから、板バネを折ったなどという話も聞く。
 昔、ジムニーで山岳アタックをやっていた頃には、空荷のジムニーでさえ、ちょっと?跳ねたら板バネが曲がって裏を向いたことがあるしね。無理をしてはいけませんね。

 で、林内作業車のRN122Xは1.2t積み。設置面積の広いクローラーならば、細い軽トラのタイヤと違って高荷重にも耐えられるから。

 そして柔らかい農閑期の田んぼも走れるというわけ。積荷と車両重量を合わせれば2トンにもなる。そんな重たいものが田んぼを走れるのは農閑期で土が締まっているから。
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 その上、バランスをみて積めばこの程度の斜面は上り下りが出来る。でも、坂の途中に凸凹が無い様にした方が良い。
 なぜならクローラーの設置面に可動輪が無いとモロに凸凹を拾うので、登りに大きい段差があるところでは林内車が空を向くことがあって超危険。林内車のウィーリーは怖いよ。
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 それから、下りの最後では積んだ木の頭が地面を突くので積み方も工夫することと、斜面の一番下に要らない細丸太を積んで地面高を上げて角度を鈍角にしておくことも大事ね。トラクタが出入りするためのところは林内作業車も走れる。因みに上の画像は4m材。

【転倒防止用の控え索のアンカーが採れない田んぼの中で】
 田んぼの土手には木も生えていない。たまに生えていることもあるけれど、まあ滅多にないね。
 でも、林内作業車を運用するには、そういったアンカーになる木が欲しい。重たい材を林内作業車のウィンチで引っ張ると、重さに負けて林内作業車がお辞儀をしてしまうからだ。場合によっては転倒する。

 前述の運搬車で灌木や竹をまとめて引きずり出した時も引きずりながらカーブを切ったお父さんが居た。案の定、運搬車は転倒。まあ、怪我もなく、また運搬車は軽いので人力で起こしたから良かったけれど、そんなことやっちゃいけないよね。

 さて、田んぼと田んぼの間には水路が流れていて、手前の田んぼの方が高いので奥の林で倒した杉はその土手を乗り越えさせなければならない。

 要するに牽引しても素直に引っ張れない訳だ。当然、ウィンチへの負荷は高い。すると、牽引方向とは逆の方向に引っ張られても動かない様にするための控え索というバックアップのためのワイヤーロープなりロープなりを設置する必要がある。
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 今回の現場は、その様な控え索を設置することができる立木も岩もないので、クローラーの前に丸太を置いて車止めとした。
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 また、材を牽引するのに少しでも材の頭を上げた(ヘッドアップした)方が良いので土手に生えている立木にブロックを設置した。

 分かり難いかと思うが、材は右の端を流れる水路のさらに奥の林地から曳き出すのだが、太いものでも元径が30cm程度なのでこれで充分に曳くことが出来た。全部で40本程度を同じ様に曳き出して土手下に集材。

 この平らな林地の杉材は曳き出し易い方向に伐倒しておいて枝が付いた状態で樹冠の方にたまこを結んで引っ張り出した。そうすれば樹冠が水路脇の土手を乗り上げ易いからだ。逆に元から曳くと元口が土手に突き刺さって二進も三進も行かなくなる。

 他にも土手の斜面に偏心したヒノキや蔓絡みの杉があった。急斜面で足場も確保できないところもあるのと、フェンス脇のものは後ろからクサビも打てないほどスペースがないものも。
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 なので、そんな木はロープを樹上に掛けておいて、林内車のウィンチのワイヤーに繋ぎ牽引伐倒で対処した(伐倒した材が走る様な降り斜面では材を留めておくワイヤーかロープが必要)。
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 画像に見えるクサビよりも大分下の方に最初に作った受け口が見えるかもしれないが、地際すれすれに追いを作ろうとしたら腐りが入っていてツルが効きそうになかったので大分地面よりも上の所から伐採した、という図。突っ込む人が居るかも知れないので念のための注。
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 この様な農村の冬の風景の中での作業は楽しい。周囲の景色が綺麗に整えられていく過程には充実感があるしね。

 それにしても林内作業車が田んぼを走って材を出せるとは、今まで考えていなかった。それならば、控え索のアンカーが採れるところならば、結構いけそうではないか。
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 結果、13tを搬出(業者からの報告)。真っ直ぐな良い木もあったけれど少量なので、ここは目をつぶって一括バイオマスへ。

 自治会では、町の地域通貨券を貰ったらしいが大した金額にはならない。そんな金額では勿体無いよね。ただ、燃やしてしまうのは・・・


【便利な林内作業車:だが、便利さには危険も孕んでいる】
 集落のボサ刈り?でも活躍した林内作業車だが、もうちょっと専門的にいうと小型林内作業車というのが適当なところ。
 これはタワーヤーダやスイングヤーダと同じ走行集材機にカテゴリ分けされる林業機械となる。
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 一般市民が個人的に林内作業車を使用した事故や怪我は当然労災とは関係のない自己責任の事案となるが、林業事業体に於いては労災の保障対象になるので、これら走行集材機を運用するに当たっては安全教育、特別教育を受講して修了証を得ておく必要がある。

 自伐や木の駅、薪材の収集を行う一般市民の作業には、安全教育も特別教育の受講も求められないが、だからと言って林内作業車の運用は安全な訳ではなく、全ての作業に於いて危険なことが潜んでいる。

 林内作業車の操作は器用な人ならば動かせてみれば直ぐにできる様になるけれど、「何が危険なのか?」、という根本的なところの経験則や想像力が欠落しているから、事故った時にはとんでも無いことになるわけで・・・
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 今回は事故にならなかったが、少し慣れてきたオッさん達にやってはいけないことのレクチャをした上で林内作業車の運用を頼んでおいたら、やっぱりやったんだと。。。

 最初は集材から積み込み運搬まで、全部自分がやっていたけど、伐倒は全部自分がやったので、とても其処まで作業ができなくなってしまった。

 やがて、側で見ていたオッさん達もできる様になって、集材・積み込みを任せ、やがて土場への搬送も任せていた。ちゃんと危ないことも教えたよ。

 で、下り坂ではどんな状況になってもクラッチは絶対に切ってはダメ、他の操作で乗り切ること、と言っていたのに、あとで聞いたらクラッチを切って坂を走らせたらしい。
 前出の画像の様に短い坂で降りたところが平地だったから良かった様なものの、これが作業路の下りだったらとんでも無いことになっていただろう。

 みなさん、トラクタなど農業用の機械には長けているので同様のつもりで林内作業車を動かしたのだろうけれど、総重量が2tを超えるものを制御するには細心の注意が必要なのは言うまでもない。

 林内作業車はギアを変えるにしても走行中はできないからクラッチを切るのは停車したときだけ。走行中に弄ってはいけません。

 林内作業車の事故は、ウィンチングの時のワイヤーの切断。材の積み込み時の丸太の落下。材を上で上げ下げする場合の他の作業者への確認不足で材やワイヤーに挟まれる。走行時の転倒。作業車が林内作業車と立木などの間に挟まれる。運搬用の車両への積み込み時の落下などなどの事故がある。
 此れ等はうちの幾つかは地域でも耳にすること。

 牽引中のワイヤーロープが切断して作業者に向かって飛んできたら飛んでもない破壊力がある。昔からワイヤーロープによるシリアスな事故は山仕事にはつきものだからね。

 それもワイヤーロープは巻きグセが付いているので、辺りのものを巻き込みながら飛ぶのために特に危険なのだ。
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 この様な事を知らないで、また知ろうともしないで、便利だからと使うから事故が後を絶たない。その上、林業事業体に属していない一般人の事故は、新聞の片隅に載るかも知れないけれど、労災とは関係がないので統計上には出てこないし、林災防(林業・木材製造業労働災害防止協会)の事故事例にも掲載されない。

 林災防の事故例の報告の中には、伐採をしていた人が林内作業車の担当者から何の反応も無いから山を登って行ったら、林内作業車のウィンチに巻き込まれて亡くなっていたというものもあった。シャツの袖が巻き込まれたか、ワイヤーの棘に手袋が巻き込まれたかしたのだろうけれど、その際に瞬時に牽引接続のクラッチが切れなかったのだろう。
 事業体であっても、そういった基本的な事故対策の姿勢が出来ていない場合が多いのに、なんら安全教育を受けていない人たちが運用するのでは益々危険だろう。
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 その様な状況ながら、うちの町でも林野庁の森林山村多面的機能発揮対策の助成金をつかって林内作業車を導入した地域グループは幾つもあるし、また自分が搬出の講習をしに行っている島根県東部でも個人的に買ってバイオマス用の材を出すために使っている人もいる。
 チェンソーと同じく、林業・山仕事という危険作業の道具を我流で使っている人がほとんどなのが現実。

 それでも、他県と同じ様に島根県でも自治体などで森林バイオマス資源の活用に取り組んでいる地域は各種の講習が行われているから、以前に比べれば飛躍的に一般市民のチェンソーの扱い、運用については向上していると思う。

 ところが、今回のテーマの林内作業車についての講習は耳にしたことがない。って、当たり前だけど一般市民の運用該当者数が少ないからね。
 でも、こちらの地域には二箇所林業版の地域おこし協力隊が入って林内作業車を運用していたりする、、、が事故の話も聞いていたり、、、ので何とかならないかと調べてみた。知り合いが大怪我したり死んだりしたら後味がよくないし。

 そして、松江の林災防の支部に確認すると、法令や構造などの机上の一日講習を毎年開催しているが、実技の一日講習については、希望者が集まれば開催を検討するとのことだった。つまり、定期的確定した日程で実技を開催している訳ではないとのこと。

 島根西部から東部の松江に行くとなると最悪前泊が必要なうえ、同日開催でないから二回出直さないとならない。そうすると受講料も含めて軽く4万円は超えるから、助成金が使える林業事業体の所属で自腹を切らない人たちは受けられるけれど、一般市民だと結構な支出になる。
 それじゃあ、林業事業体に属していない人たちは受講しないよね、と結論。


【走行集材機、小型林内作業車の安全教育・特別教育を一般市民向けに企画開催】
 それで、2017年の10月末に林内作業車の安全教育・特別教育を自力で行うことにした。当時は、島根県林研の理事をやっていたし、自分の言い出しっぺで林業版の地域おこし協力隊が島根に大分入っていたから責任を感じるところがあったからだ。

 実はその年の春の内から筑水キャニコムさんには打診をしていて、林内作業車の安全教育・特別教育をやって貰えそうな雰囲気だった。が、結果はキャニコムの担当者さんの勘違いで、運搬車の特別教育を社内向けにやったことはあるけれど、林内作業車はやったことがないとのこと。
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 結果を先に言えば、なんとか開催に漕ぎ着けた。メイン講師に島根県の農林大学の林業科で架線搬出を教えている(島根の農林大学は即現場の戦力になる人の養成をしている)有限会社中国林機の住田先生にお願いしてキャニコムさんとのタイアップを企画。実習用車両にはキャニコムさんの最新のリモコン付きの林内作業車を使わせて貰うことに。

 うちはウィンブルヤマグチの林内作業車を使っているけれど、それはよく調べないで農機具やさんに頼んだから。購入当時にキャニコムを知っていれば、そちらを買ったのにと・・・キャニコムさんに愚痴を言いながら、とても買えそうもない最高級のリモコン付きのものを持ってきて頂くことをお願いした。
 例え、リモコン付きでなくともウィンチの乱巻き防止用のガイドが付いているだけでもキャニコムさんの林内作業車はありがたい。それに色々使い易い様に工夫してあるし、年々進化している様に見受けられるからだ。

 そして、今回の講習開催にあたって、島根県の再生エネルギー活用の助成金の申請を受け付けて貰うことになり、受講者の負担を相当少なくすることができた。
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 この企画的な講習では、林業機械化協会さんから修了証を発行して貰える形にキャニコムさんが整えてくれて、受講者は島根研林研所属の人が1万2千円、会員外は1万7千円の受講費にて開催した。

 宿泊費は県の施設である中山間地域研究センターの宿泊棟に泊まったので格安。二食付きで四千円弱。一泊二日で法令から机上を全部やって、走行から集材までの実習、実技とワイヤースプライス各種まで12時間コースをもって小型林内作業車の安全教育・特別教育を恵まれた施設内で行うことができた。

 概算の内訳としては、講師費、車両借用料、テキスト代、修了証発行費用などの48万円くらいをキャニコムさんへ。ワイヤースプライスなどの道具と材料費、保険料、集材用の丸太の準備費から事務費などが10数万円位掛かり、県からの助成金が38万円位お願いして、残りを受講費で賄ったという具合。

 この様な感じで、キャニコムさんは林内作業車の安全教育・特別教育の実績が出来たので、自伐型林業に関わっている団体の方々も同じ様に助成金を確保して行えば充分に開催が可能なので、関わる人たちの安全のためにも林内作業車の安全教育を行っては如何だろうかと提案する。

 皆様も如何か、林内作業車の安全衛生教育・特別教育の自主開催は? キャニコムさんに相談されてみては如何だろうか。

 今回開催できたのも、キャニコムさんの協力と、そして島根県の林業担当の職員さんたち(林業普及スタッフの方々、研究センター職員、農林大学の先生方)の尽力のお陰と感謝している次第だ。
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 そして、一番有難いことは貧乏林研グループの当協議会に対して、企画段階から同じ研林研のグループでNPO法人もりふれ倶楽部さんが運転資金の50万円を貸してくれるという申し出を頂いて資金調達ができていたこと。そうでなかったら開催できなかった。心から感謝御礼を申し上げる。

 その後、キャニコムさんに掛かった費用を支払った後に、受講費総額と併せて助成金を受け取り、その借金を返して清算。全額では無いけれど、県の助成金を使って開催しているので利益は出せない。うちの協議会が動いた分を考えると事業としては赤字だが、実績を残せたということで良いかなと・・・

 ちょっと歯切れ悪く書いているのは、この苦労して開催した講習を受講して修了証を得た地域おこし協力隊が何名かその後サッサと辞めて何処か行ってしまったから。それも、噂では林業、山づくりとは全然関係のない仕事に就いたとか。

 だとしたら総務省から出ている地域おこし協力隊に対するお金は、何ら活きなかったことになると思うのだが・・・そして当然ながら、総務省から出ているのは我々の税金からだよね〜。

 これは、他のタイプの地域おこし協力隊と違って、林業版の場合には、実質的な現場技術を学んだり資格を取らせてもらう様なスペシャルな恵まれた立場だと思うから余計に残念な話ではなかろうか。活動費の200万円/年もフルに使う場合もあるわけだしね。任期3年間だと1200万円近くの税金を原資としている訳だからね。

 そういった制度を利用し、技術を教えて貰い、様々な資格も取得するなど、して貰うだけして貰って、与えることを何もしないで地域に何も貢献せずにいつの間にか居なくなってしまう人も居るので、人の採用に関しては要注意かと(そもそもコーディネートしている役場には大したビジョンもなく、他所の地域の真似でやっているところもあるから、結局どっちもどっちだが...受け入れ側の質に応じた人たちしかご縁が出来ないし...そして、大体移住者に対しての評判は良くない。地域を荒らすだけで出て行ってしまった話は沢山あり、残った移住者が肩身の狭い思いをしていたり。こういった話は大抵役場が間に入って誘致した人たちね。自腹を切って自ら移住してくる人たちとは違い、流れの人が多いから?)。

 勿論、こういった事例に当てはまらない人や自治体もあるから一概には言えないけれど、人が死ぬかもしれない危険作業の仕事だから、(想像力=創造力が欠如した)未熟な思考ロジックの人たちを取り込む様にしない方が本人だけでなく周りの人たちにとっても幸せかも。

 それに、林業はというとそもそも道具がないと成り立たない仕事。自伐型の小さな林業だって事業として立ち上げるのにはそこそこのお金がかかる。甘やかされて育ち、ストレスに弱い人たちが行う仕事としては背負うものが大きいし、そして危険すぎる。
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(上画像は、偏芯木の追いヅル伐り:広葉樹の偏芯木を針葉樹の通常の手法、追い伐りで行うと追いを入れた途端に木が裂け上がって、作業者を跳ね飛ばしたり、裂け上がった木が作業者を潰したりする死亡事故が発生することが多いケースに対する安全に伐採する手法を追いヅル伐りという。キックバックが起こりにくく、且つ切れる刃付けができることと、突っ込み伐りを安全に行うためのチェンソーをホールドする体勢が大事)

 そもそも情報とか知識を頼りに生きている様な人たちとは真逆の世界だからね。現場の作業そのものだけでなく他人とのリレーションが採れないと仕事自体を事業として成り立たせることも難しいのでは。

 その代わり、力が付けばリアルな世界で誰よりも地に足をつけて立っている実感が得られるのではないだろうか。


【行政の都合ではない自分たちのための森林資源活用】
 何故ならば、森林資源を自分たちの手で活用出来るのならば、薪や炭などの燃料を確保できるだけでなく、住に関わる材料も自給できる訳だから、より持続的な自給生活が可能な世界である。
 農と共に林に関わることを自分たちで実作業ができれば、世の中どんな風が吹いたって安心。自分の足で立っていられる。

 これは夢物語ではなくて、今元気に生きている爺婆にかつての生活を聞いた時の話だ。以前住んで居た集落の皆さん自分たちの家は、移動製材機で製材したものをみんなで担ぎ上げて家を建てたと。その上、ろくに乾燥もさせていなかったらしい。下の画像はそんな家。
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 今は様々な道具があるので、もっと楽に自分たちで家を建てられる条件が揃っている。それよりも自分たちの腕の方が問題。

 有名な話だからご存知の方も多いと思うが、ソ連が崩壊した時に市民の60%以上が持って居たというダーチャという菜園付き別荘小屋によって食糧難を上手く乗り越えた訳だが、そのダーチャは地域の人や仲間達と建てたって言うんでしょ?

 ところが、小屋と言っても日本で建っているログハウスよりも大きなもの。それを一般市民たちで建てられるところがすごいと思う。と言うよりも、昔の話や他国での出来事を知って、今の我々が如何に無能になっているかと言うことに愕然とする訳ね。

 それで2011年の12月に立ち上げたうちの協議会では、高強度の繊維ロープとポータブルなエンジンウィンチを活用した、素人でも楽に安全に掛かり木の処理から集材・搬出の技術講習を一般市民向けに行なっている訳だが、講習テキストにも書いている様に、「目指せスーパー素人」がテーマ。

 今でもそうだが、農山村のオッさん達は何でも出来る人が多い。また、何でも出来なければ食べていけないのが農山村だから、皆さん色々な仕事をやってきているし、それも結構なレベルが高いことができる。

 日本がかつてモノ作り大国だったのは、市井の人たちに職人レベルの人が多かったから。それは、江戸時代から他国に比べて識字率が高かったことと、様々な分野で文化が熟成していたので技術や経験値も高く智慧深い生活をしてきたからだろう。
 そういった職人の精神が近代の技術革新の根幹となっていただろうし、自動車などの輸出産業を成立させたと想像するのは間違っていないと思うのだが・・・

 でも、元々は日本は木(と竹と泥)の文化の国。石で住居やモニュメントを作り、歴史の中に残そうという文化とは違い、全て自然に還っていく素材で構築されている(居た?)構築物で文化を創って来たのは(植生が豊かだったこともあり)エコな精神性に基づくものだったはず。
 日本の昔の建築物の構造材は、リサイクルして使えるし土壁の泥も同じ。竹は幾らでも生えてくるから、全て地域のもので調達可能。素材自体が呼吸する住居は湿気の多い日本(特に日本海側)では有効だし、後述する優れた薪ボイラーがあったり薪ストーブなどがあれば冬でも充分に暖かく、そして地域の燃料で暮らせる(個人的には掘り炬燵があれば完璧だが:なので高気密住宅は不可)。

 いずれ近い将来には、今とは違う安全でエコなエネルギー活用も行える様になるだろうし、バイオ技術はどんどん進化しているから屎尿処理から作物栽培、医療までのイノベーションが実現化されるであろう。
 要するにスタンドアロンで自立して暮らせる単位が、これから未来に向かって小さくなっていくという予測ができる。その時に、山への路づくりの技術と森林資源を活用する技術があれば、自分たちの仲間だけでも、ありとあらゆることが実現可能になるということ。

 このところ広島県には可なりの頻度で講習を行いに行っているが、年明けに行った世羅町では本物の大工さんも受講して居た。
 昔からの和風建築が出来、建て増しや建て替えも出来る40歳前後のお二人だ。工務店の高齢の会長と共に受講されていたのだが、改めて感じるのは職人たる人たちの気質というかマインドの違い。
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 世羅町では、都合四日しかやっていないけれど、搬出作業の際には、ウィンチからアンカーの設置などは事前に用意してくれてあったり、またチェンソーワークも打てば響く様に要点をしっかりと実現できる。
 つまり、習うことに慣れているので、相手の意図を汲んで言った通りのことができるわけね。これって講習やっている方達には分かると思うけれど、結構稀有なことなんですよ。

 彼らの様な大工さんは日本の宝だと思う。地域の土地に生えている木を使って施主さんが依頼する住みやすい家を建てることができて、さらに増築改築も出来る技術を持っていると言うのは素晴らしいよね。

 その時の受講者の方々の家はみな彼らが建てたもの。スマホで見せて貰っただけだが、素晴らしい和風建築だった。んで、受講者の人が朝早くに宿まで迎えに来てくれて薪ボイラーを見にいった際の画像が下のもの。
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 カーポートだが、桁に20mもある材を使っている。講習前の忙しい時間だったので家の方の写真は撮り損ねた。このカーポートの材は工務店の会長の持ち山から自分たちで伐って出したもの。


 彼らの様な大工さんが居てくれれば、難しいところは彼らに頼んで、あとは自分たちでも家を作ることが可能となるだろう。

 工務店の会長には、山で小屋づくりのワークショップをやりましょうよ、と言っているのだが。。。
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 さて、話を戻して、その山との暮らしには昔からの生命を育むことができる豊かな森があると良い。だから、うちの協議会の名前は縄文之森協議会と名打っている。森林が育む豊かな食があれば自給率に貢献できる。その豊かな森と言うのは植生の豊かさに象徴されるけれど、そこに住む鳥谷動物、昆虫、菌類、微生物なども豊かでなければ上手い循環サイクルができない。
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 当然、森は水の浄化システムであり栄養豊かな水の貯水場であるわけだが、それには広葉樹が多くないとならない。

 25年くらい前に、東北六県を一ヶ月半、中部紀州を一ヶ月半、山奥を釣りをしながら旅をしたことがあるが、山の状態によって川魚の味が違うことを実感した。
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 そして、此方に来て匹見川の鮎とヤマメの味が絶品なことを体験。森林率98%でその内の広葉樹率が70%だからね。過疎という言葉が最初に使われた匹見町は高齢化率100%の自治会が幾つもある。
 なので、人が少ないから川も綺麗なのね。

 ところで、よく言う話だが農は一年でも結果が分かりやい。しかるべき人に教われば、そこそこの結果を短期でも出せる場合がある。
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 以前の仲間は、無農薬栽培を始めて有機JASも通って、一年後には都内の有機農法の作物を扱うチェーンストアに卸していたからね(但し、習った先生の縁故もありの稀な例だけど)。
 自分も農の方は色々遊んでみたけれど、真面目にコツコツやれればそんなに難しくないと思う(技術的にはね。

 ところがそのコツコツが自分には出来ないのよ・・・このイチゴは、無農薬無肥料栽培で私が作ったものでして、最初は面白がってやるんだけど長続きしないのが...×)。
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 其処から考えて、林はと言うと、精神的にも技術的に難しいでしょ。身につける技術は沢山あるし、手法も多岐にわたるし、フィールドの条件や資金によっても取り組み方は異なってくるしマニュアル化できないので其の人のセンスにも係わってくる。作業を失敗した時のダメイジも大きいからね。

 大体田舎に来て添加物(化学調味料)がたっぷり盛られたインスタントものやコンビニ弁当を食べていたら、感性や感覚を必要とする繊細な仕事を持続的に続けていくのは無理ではないだろうか(少なくとも自分たちは日頃採りつけて居ないので、そういった食べ物を採るとあちこち調子が悪くなる)。

 そして酸化した食べ物ばかり食べていたらキレやすくなり、そしてエゴばかり肥大して他人と協調するのも難しいだろうね。食べ物で、人の精神性が変わるのはとっくに証明されている科学的事実。自伐的な山仕事って唯の作業員の様な仕事と勘違いしている人が多いのかな。食べ物を繊細に味わえない様な人が、山づくりなんて創造的な仕事をすることが出来るんですかね。

 自然豊かな山には美味しいものが沢山あるし、さらに山から流れ出る栄養素が河と田畑、そして海を潤す訳だが、山の仕事をしていても山にある恵みを味わおうとしない人が多すぎる。そんなことでは山に対する感謝の気持ちも生まれないだろうね。農山村に来ても大地と分離した生き方しか出来ないのは残念。

 こちらの地方は山と海のものには、美味しいものがメチャクチャあるんだけどな〜。そして農山村の爺婆の身体が強いのは、そういった良いものを食べて来たから。そんな良いものが足元に有りながら店の出来合いのものを食べていたら自然との一体感も生まれないだろうし。

 そもそも、山を生業とするならば、どんな山をどの程度の広さを持っているのか、それとも山を持って居ないのか。持っていないならば、地域の人たちに見込まれるだけの人柄、人徳を持っているのかどうか。

 それ以前の話として、自分がやりたい事(ライフスタイル?)だけの為に他人を利用しようとしているのか、それとも自分のためだけでなく山や地域全体を守ろうとしているのか、この動機の違いだけでも結果が違ってくる。そして動機はどんな信念をもって生きているのかに関わってくるし、ひいては生き様みたいな話になるかもしれない。そう言うのって他人からみても滲み出ているしね。

 地域の人たちの中には、そんな事をそれとなく観察している人が少なからず居るし自分自身もそう。地域の大変なところはスルーして、美味しいとこどりだけする様な人たちは仲間にしたくないからね。

 街場の生活で雇われ人として暮らしていくのならば、能力があったり、取り敢えず人当たりがよければ普通の生活が出来たりするけれど、地域社会やコミュニティの中では自分たちが得する事ばかりにフォーカスしていると周りから浮いて来るのは仕方がないだろう。

 その点、街場から移住して来た人でも、自分で商売をやったりビジネスをやって来た人たちは上手にやれている。基本事業をやっていれば、相手を喜ばせないことには仕事が成立しない。その様な気持ちが身についている人たちは農山村に来てもうまくやっている。
 これは作物栽培でも林業でも同じだと思うんだけど。植物が喜ぶ様にして上げなければ結果が残らないもんね。人間相手でも自然相手でも、自分が何をして上げられるかということがキモではなかろうか。

 ところが、都会の金中心の考え方で押し通したり、自分の価値観だけが正しいと思っている人たちが多く、協調性のない人が移住者に多いのは何故?
 周りから諌めの言葉なんか言ってくれる訳もなく何時の間にか冷たい風が吹いている。でも、本人は気付かない、気付こうとしない、というケースが沢山ある。わたしもそんな事にならない様に助力して(素直に聴く人は稀で大体抵抗するから面倒)いるけれど、言っても解らない人は解らないからね。そうやって去って行った人たちは何人も居た。
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 でも、自分の知り合い達でも、山を持たずとも上手く地域と連携したり、また事業者から仕事が出てきたりして山で食べられている人たちは、人柄も動機もヴィジョンも共に、甘やかされて育って貰うことばかり考えている人たちとは異種の人たち。

 彼らは差し出すものを持っているし、自分の得ばかりを考えて生きている種類の人たちとは違う。人とか山の役に立ちたい、という喜びを共にシェア出来る地力や共感力を持っている。

 山造りという人間だけの事情に括れない物事に関して質の高い仕事をしようと思えば、其処に関われるかどうかは、選ばれるかどうかが大事ということ。解りますかね?
 自分中心で生きている人たちは、知識や情報を駆使して自分が選ぶ側に立っていると勘違いしているけれど、被選択といって相手に選ばれるかどうかも大事なんだぜ。

 金を持っていれば好きに山が買えると思っている人。道具や技術があれば木を伐ったり道を開いて森林資源を好きに活用出来ると思っている人。空き家を買って田舎暮らしを謳歌出来ると思っている人。って、これは自分たちが今まで見て来た人たちのマインドだけど、でも思う様な良いご縁が出来ないんだよね〜。

 そりゃあ、皆伐した後の山とか、または何も手入れしていない放置林ばかりのクズ山だったらみんな売ってくれるよ。それに空き家も買えるかも知れないけれど、地域の人たちが根性悪だったり、相性が合わなかったり。

 それに道具があったって然るべき運用方法が身についていなければ大怪我したりおっ死んじゃったり(大怪我した人も死んだ人も知っているけれど、申し訳ないが危なっかしい精神性だったのは確か...逆に電力会社の支障木伐採の仕事を多くやっていて樹上伐採も得意な仲間は14年間怪我なしで、怪我したのは赤松の皮が爪の間に入って痛かった事位という人がいる---例えば、刃を入れている時以外にはチェンソーのエンジンを止めている様な作業方法を徹底している。けれど、仕事は早くて綺麗。その上、動きに無駄がなく身体さばきが美しい。作業中、自分のやろうとしていることを声に出して、周りに伝えながらやっている。感情を沸き立たせない、落ち着いている、論理的、自分の頭で考える、工夫が得意など。そして周りへの心遣いも行き届いておりサービス精神もある。そして他人に教えるのも上手、、、って唯の作業員じゃあないよね。うちの協議会の危険木処理ワークショップの講師を担当)

 自分たちの想いとは別に、地域の人たちや動物や植物達(土地の神様もか?)に受け入れられなかったらば、良いご縁も出来ずに思う様に生きることが出来なかったりする。

 これって迷信とかではなくて、昔から多くの人たちが観察して来た事実であり法則性だと思うんだけど如何? こういった見方に同意してくれる人も結構居るしね。

 それには、山に入る時も手を合わせる事も必要だと思う。ちゃんとやる人たちは祠作って捧げ物をしてお祈りしてから山入するし。山はロジックだけでは通じない何かがあるのを感じる、というのは変?

 そういった点から考えると、昔は山から食材を頂いたり燃料を調達したり、そして自分たちが使う用材を調達していた訳で、生業の労働としてお金になるからと言うことのみで山仕事をやっていた人は少なかったかもしれない。山仕事はしつつも、食や燃料の調達もしていたはずだから、山から恵みを頂いているという気持ちを持っていたのは容易に想像できる。
 山に対して畏怖の気持ちを持っていたり感謝の気持ちを昔の人たちは持っていたことだろう。
 以上の移住者の話は移民問題にも通じるところがありそうな気がするんだけど如何か。今後きっと相似的に同様の移民。移住者問題が増えて来ると思える。

 また地球の歴史、日本列島の歴史振り返ってみると火山噴火や地殻変動などで一時的にもでも広範囲に住めなくなった場所もある。住むところが失われて否応無く移住する様な自体になる可能性は考えておいた方が良いのではなかろうか。地球が活動期に入ったと言われている現在、身を軽くしておいた方が良いかも知れないね。

 そういった大災害などで大勢の人たちの移動が起こった際にも、移住者をどの様に扱うかという地域力の有る無しや、移住者側の質の在り方によって、うまく連携出来るかどうかということが問われるだろうね。
 わたし?わたし達は彼方此方の地域から引っ越して来いとお誘いを頂いている。有難いことである。そして私は都市部の仲間やその子供達にこっちに引っ越してくればと誘っている。
 電磁波まみれになって生きていくよりも、地に足をつけた生き方で、さらに面白いことが出来た方が人生楽しいだろう。

 何度も書くが、取り敢えず未来は明るいけれど、その前にどんな形でクラッシュが起きるかも知れないので何処ででも、そしてどんな風にでも生きていける力を身につけておいた方が良いだろう。それには、森林資源活用を自分たちで安全にできる様になっておけば良いのではなかろうか、と言うのがうちの協議会のスタンス。同じ方向を見ている人たちとのネットワークが広がりつつある。


【自分たちで地域の資源活用するための優れもの】
 今回の集落の景観整備のためのボサ刈りでは、灌木と共に伐った木の枝葉は全て田んぼの中で燃やしてしまった。
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 でも、これら杉ッ葉や灌木など針葉樹も広葉樹も地元で自分たちが使えれば、一番の有効活用になると思う。
 その際には、薪ストーブは冬場だけだから、夏にも此れらの資源を使うとなれば薪のボイラーがあれば通年で活用できる。そして、薪のボイラーは床暖房やハウスの加温にも応用できるので、冬場にも大活躍できる。
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 うちにはモキ製作所の薪(竹&薪)ボイラーがあるが、他にはエーテーオーの様な焼却炉的薪ボイラー(薪を大食い)を使っている人に聞けば、床暖房も出来るとのことで、薪長者にとってはこの何でも燃やせるボイラーは、それはそれで便利らしい。

 他のボイラーとしては、木の駅関連の株式会社森の仲間たちが扱うオーストリアのヴィーズマンの薪ボイラーの内、家庭用のものが良い
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 こちらは、55cm長の薪が入る、消費量が少なくて済む優れもののボイラー。ただし、薪の含水率はしっかりと管理した方が機器のためには良い。
 蓄熱タンクと併せると結構な額になってしまうが、自分で蓄湯曹(夜間電力利用の給湯器のタンクなどを粘土で囲って)を用意できたら安く済むかもしれない。

 と、思い森の仲間たちの森社長に聞いてみたら、蓄湯曹への配管は普通の人でもできる規格のもので、蓄湯曹自体を自分たちで作るならば、100Sという形式の一番小さいもので、お風呂と台所のお湯と床暖房まで賄える。17kW出力がある100Sは100万円強で買えるとのこと。
 それも、燃焼の「効率:93%以上」、となっている! 欧州は薪文化の地域。燃焼科学は日本よりも進んでいるからね。それがこの価格で買えるのは、森さん達の事業理念が商社とはまるきり異なるからであるからだけど、でも、大丈夫なのかな?ちゃんと儲けているのかとちょっと心配。
 ということで、皆さんこういった良いものがあるのを知らないだけかと。

 さて、これだったら充分射程距離内の人たちが大勢居るのではないかと思うが如何か。他のメーカだって60〜70万円はするんだからね。この金額は当然蓄熱タンク(畜湯曹)は含まない。と言うか、そう言う概念もない。蓄熱タンク(畜湯曹)があれば、沸かしたお湯を保温しておけるので熱効率が良くなり薪も少なめで済む。
 業務用の大型薪ボイラーならば、当然の如く畜湯曹を含んだシステムだ。

 このヴィーズマンの業務用175kW出力の大型の薪ボイラーは、北広島町の芸北オークガーデンで運用されている。担当者の方や森の仲間たちの努力で、重油は殆ど使わずに地域住民が出してくる薪(針広半々)で全て賄っていて、夏場だと3〜4時間毎の投入で済むそうだ。
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 このヴィーズマンの薪ボイラーは庄原市の障害者施設にも導入されて活躍している。導入を推進したのは吉野の黒滝村の森林組合に地域おこし協力隊として行っているS氏。残念だがこの4月には家庭の事情で戻らざるを得なくなって広島に帰ってくることになった。

 ちょっと話は戻るが、うちにあるモキの薪(竹)ボイラーには車輪が付けてある。ヴィーズマンやエーテーオーのものとは違い電気は要らないシンプルなボイラーだから移動して使えるのが特長。
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 うちの場合には、どうしても災害時にも自立して生きていける様に、という頭があるので電気なしでも暮らせるインフラ整備がテーマ。

 その為に、日頃行なっている講習や企画イベントなどでは、災害時の智慧みたいなテーマが盛り込まれている。
 大分以前に、モキの深澤氏に来て貰って島根県の中山間地域研究センター(島根林研主催)と高津川流域の何箇所でもイベントを開催(縄文之森協議会主催)したときにもそういったテーマも含めつつ行なった。
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 モキの薪ボイラーはホースを接続して水が送られていれば、お湯を使った分だけ自動的に釜のタンクに水が供給されるもの。

 なので、災害時ならば軽トラに積んだ農業用の貯水タンクに水を汲んで(うちの協議会には、山岳消防用の超小型高性能の消防&給水ポンプがある)、そこからホースを下げて薪ボイラーに水を入れてお湯にして、別の軽トラの荷台にブルーシートを張ってお風呂にすることができる。

 勿論のこと、こちらでよく開催されている子供達の川遊びイベントなどの際にも活躍する使い方ができる。なので、自治会や公民館単位での設備にも良いかもしれない。
 モキのボイラーは、薪だけでなく竹も燃やせるのは、釜が水で囲われているから。普通だったら火力の強い竹だと釜がダメになるから燃料にはできないわけだから可なりの優れものだと思う。

 さてさて、他の記事にも書いている様に、自然の中のせめぎ合いで長期間掛けて成立した原生林は神様デザインの如く美しく神々しいものだが、人の手が一旦入った林分、里山は人間が常に管理していないと見た目自体も美しく無い。
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 人が適度に山の資源を間引いて利活用していれば整然としているものが、利用されなくなり放置した途端に植生のバランスが崩れ始め植物同士の戦いが始まるからだ。

 植物が生きるための養分と水と光の取り合いが始まり、その成長の中で優勢になったものの植生の転移が行われる。

 その戦いの姿が、人の目にも感じられ、手を入れていた時の整然としたバランスとは程遠い景観となって行く。

 そのせめぎ合いの過程は、人間の視覚的にも美しくないと(勝手に?)感じるものだが、それを更に増幅してくれるのが獣たち。

 山林が鬱蒼と茂って身を隠せるところが増えてくると、今度は獣たちも好き勝手にできるためにイノシシが重機の如くに土を起こし山を崩して岩を落としたりする。
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 山道を通ると、単なる落石ではなくて、イノシシが蹴落とした岩が転がっていることがある。時期になると時々タケノコも道路に蹴落としていることもあるしね。
 上画像の画面左上が竹林なのだが、ここは岩やタケノコが時々落ちている。

 前に出張して集材・搬出講習会をすることが多かった雲南市に借りていた農家の直ぐ真裏の山もイノシシに崩されてかなり危ない状態だったこともある。
 という訳で、山を放置しておくと、植生の鬩ぎ合い以上に、ますます荒れた景色になっていくのを目にすることに・・・
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 この大岩は軽バンくらいの大きさ。生活道路に落ちていたりするが、人口密度が低いので事故になっていない。
 ま、これはイノシシさんが落としたわけではないと思うが・・・


【綺麗好きなうちの集落の人たち】
 さて、今回、集落の環境美化のための大掛かりな作業だったが、その過程で改めて頭が下がる想いをした。

 刈った藪に生えていたものは、薪になる以外のものは全部燃やす。
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 画像では大分燃え尽きてしまっているが、山になる程に積み上げて燃やしていたのね。

 笹が燃え難いもので、兎に角燃えるものは全て投入。

 そして火の管理が大変なので、焚き始めは最低一人はついていないと消えてしまうからね。
 燃えて来ても木や竹を積み上げるので、真ん中だけ燃えて周りには延焼しないからドンドン周りの残りカスを焚べて行く作業がある。大量に燃やすので結構な重労働。

 どちらかと言うと刈る方が楽かもしれない。火の当番は、刈ったものがどんどん出てくるから、運んで、山に積み上げて、酸素が入る様に積み上げた山を起こしたり返したり、やることは沢山ある(忙しくて画像がないのが残念)。

 ただの焚き火みたいにはいかない。でも、集落のオッさん達は慣れているので上手にやっている。

 なので、時々交代はするものの、こちらは笹刃をつけた刈り払い機とトップハンドルチェンソーで藪払いがメインだった。
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 藪を払って綺麗になった土手でバンバン焼く。上画像は、1日の作業が終わって火も収まりつつあり、そろそろ帰ろうかの焚き火。

 もう一つ、こちらは島根県の東部で行なった作業路開設講習の現場での焚き火。
 地元のお父さん達は山から出た竹やボサは直ぐに燃やしてしまう。
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 何処でも田舎のオッさん達は、生の木まで燃やしてしまうのが得意だ。そして綺麗に片付けてしまう。

 わたしは子供の頃から焚き火をやっていたし(横浜の市内の住宅街でも普通にやっていた)、若い時の火遊びも盛んだったし、源流釣りや山仕事でも直ぐに焚き火をする方なので火は扱い慣れているのだが、田舎のオッさん達にはかなわない。

 本当は土手焼きもやって綺麗にしたかったけれど、其処までは手が出なかった。

 この度の作業の最終日には、皆さん熊手も持って来て、細かいものまで集めて焼却!!
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 現場全体を綺麗にしてから解散。いや、ホントにマメな作業をコツコツとやられる。
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 いや、大したものだと思います。島根県は何処でも割と綺麗にしている田畑が多いところだと思う。農山村の景色がご馳走な島根県。ドライブしているだけでも癒される。

 そんな、田畑でも林内作業車が活躍出来るんだなと、今回はいい体験をさせて貰った。

 と言うことで、山でも里でも活躍の林内作業車の巻でした。

 皆様の作業のご安全をお祈りしております。

以上