前回の記事の続きです。結果、高校生から付き添いの先生たちまで楽しく滑走ができました。これが人力でテンションを掛けたジップラインです。ピンピンに張っています。
IMG_6457のコピー (1)















 今回のジップライン張りは遊びを目的としたものでしたが、原資が無いらしいので、チルホール(安心して使える日本製の750kg引きチルも値段が高騰して9万円くらい)は使わずに人力でテンションを掛けました。

 図を載せてみます。こんな具合に設置しました。今後、運用してラインの位置が決まったら、ベルトスリングなどの化繊から荷掛けワイヤーに変更するなどして、放置に耐えられる様にしていく必要があります。

 今は、保育園児も遊べる様にスピードを抑えた設定になっています。地域自治組織さんが、地域の子供たちと一緒に運用するための設備の一環なのです。
ワイヤーロープ9倍力システ














【人力テンションは木出しに使える?】
 さて、今回張ったのは6mmワイヤーを50mくらい立木に渡したものですが、前回の記事にあります様に、その際にはサンプルとして、高強度繊維ロープ12mmのものを20mちょっと位の距離に渡して滑走しました。

 軽いロープを使い、距離が短い場合には9倍力で人間が乗っても大丈夫なくらいのテンションが掛けられました。
 今回は、ワイヤーで長いので、その倍の18倍力になりましたけど、その倍力システムは画像の様に難しいところはありません。
 プーリーなどのアイテムの数を増やす分だけ倍力が掛けられますから、もっと重たい伐採した丸太でも軽めのものならば十分行けるでしょう。

 どちらも人間くらいの重さに対応するならば人力でテンションが張れましたから、我々一般市民が業務用としてできる引きずる様に丸太の一方は地面に着いていなければならない方法では使えるかも知れませんね。
 業務上、材を全部浮かせて架線搬出するのには、林業架線主任技師の資格を持っている人がメンバーに居る必要があることになっています。

 さて、牽引に使う強高度の繊維ロープは、ワイヤーロープと一緒に併用できます。岩や土手を擦るとか、木に触れるところはワイヤーロープで、延長側や牽引側をロープを設定すれば、敷設も撤収も超楽々だからです。
 そして、倍力を掛ける部分はロープでシステムを組んだ方が全然楽です。

 勿論、軽い繊維のロープ倍力システムは、張りっぱなしではなくて、短時間で終えてしまう様な機動的なシステムが必要な時に活躍します。

 我々だと山の中での伐採時に発生する掛かり木処理の際に牽引用には重たいチルホールは持って歩きません。もう、だいぶ前から先輩たちが使っているハンドウィンチというローププーラー(ロープ牽引機:マーベルのプラロックなど)があります。
 ホームセンターに売っているもので似た様なものがありますけれど、あれは違います。掛かり木の処理は牽引距離が長いので2、3m引っ張っても埒があきませんからね。

 9年前に横浜市の水源林管理を行う事業体に居た時に、ヒノキ林の間伐をするのに、班長がハシゴとチェンソー、わたしがT-7のチルホール一式(ワイヤー含めて16kg位)とチェンソーに燃料・オイル、工具、弁当を担いで急斜面を渡り歩いて作業をしていたことがあり、足の爪がボロボロになりました。

IMG_5441 (1)
IMG_5443 (1)



 今ならば、同じくらいの重さの道具を持つのであれば、ロープの分だけの距離を高速で牽引できるエンジンウィンチのPCW3000を持って歩きます。セットがザックに全部入りますからね。

 ところで、この画像は天草の林研さんの研修のにお呼ばれした時のものです。天草の森林組合の方達も参加されていましたけど、皆さん素敵な方ばかりでしたね。山は荒れていますけど、昔から自立意識の高い天草は良いですよ〜。
IMG_3282 (1)
















 さて、話を戻して、、、そこまで重たいものを持たずに、高強度の繊維ロープの10mm60mと軽量滑車類、そして片手で持てる10mロープ付き250kg引きのプラロックMPR-1000があれば、3倍力で750kgの牽引力がありますから、それで充分です。
P1070006 (1)












 つまり小型プーリーのセット沢山と長いロープがあれば、一番最後の部分の牽引には力もあまり要らず、応力も掛かりにくいので、小型のもので良いわけです。

 簡単な3倍力システムならば、プーリー無しのカラビナだけでも良いでしょう。多少、抵抗は大きくなるものの人力程度で使うならばOKです。
IMG_5514















 プーリーを使うのは、距離を巻く時に抵抗を減らすことと、ロープが傷むことを避けるためです。ウィンチ類を使う場合でないならば、カラビナやUシャックルでも大丈夫です。が、スクリューが緩まない様にする必要があります。

 と言うことで、倍力システムを活用することで重たい機材を使わなくて済みますから、コストを掛けるのならば、この様な機材に先ずは投資したら如何でしょうか。

 安いとは言えないかも知れませんが、チルホールを買うよりもお金は全然掛かりません。そして、色々な場面でシステムを組み替えながら使えるので、非常に有用でしょう。

 前の記事に書いた様に、木を引っ張るだけでなく車両のレスキューや、災害時に人を空中を吊って移動させることができます。
 そこまでやらなくても水害の際にロープの扱い方と、水の抵抗に対して浮力を使いつつ目的のところまでたどり着く方法を避難訓練の中にも採り入れられると良いですね。

 激流の渡渉や泳ぎに関しては、この記事の前編に沢屋(沢登り)の智慧のことを書きましたから、そちらをご参考にテキストを探してください。
IMG_5512














 右上画像は、デイパックの中に入れてある掛かり木処理のためのアイテムです。

 左上のオレンジのバッグに、シリウス500の10mm60mロープが入っています。重たくて硬くて背負いにくいチルホールのセットは、下方に壊してはいけない構造物があるなどの支障木危険木の伐採の時に活躍します(うちの協議会も750kg引きが2台と1.6t引きが1台あります)けれど、掛かり木処理など山を歩きながらの作業には、此方の軽いロープ倍力セットの方が身体が相当楽でしょう。


【ジップラインのテスト稼動】
 ジップラインを張る場合には、人間の乗り降りがありますので、張る高さとあとは乗り降りする台の設定があります。
 あとは、どの様に着地するかですね。それによってテンションのかけ方も変わってきます。今回は、先ず張ってみて様子をみたというところ。今後も調整が必要ですので、変更しやすい様に設置には移動できるアイテムを使いました。
IMG_6451のコピー (1)















 最初は大杉に発車台を作って小屋を超え、林までと考えていたそうなので、要求に応えて大杉の高いところにワイヤーを張りました。上の画像はその際のテスト滑走時のものです。

 ジップラインは線を上書きして描いてみました。下に斜めに写っているロープはわたしが牽引して大杉のところまで引っ張るためのものです。

 結局、大杉側が高いと林に向かって突っ込んでいくことと、手前に伐採した大径木の切り株などが山になっていて、そこに衝突しそうなために、次に逆側からやってみようと言うことに。
IMG_6487のコピー (1)















 そうしたら、邪魔だった切り株が便利な発車台になりました。此処から乗って飛び出します。
IMG_6485のコピー (1)














 そして、コントロールラインのロープを思いっきり引っ張って貰えば、大杉の近くまで滑走していきます。
IMG_6474のコピー (1)
















 その途中には、降りるための台も高校生たちが設置しました。付き添いの先生は、指図のみでしたが監督力が素晴らしかったので、しっかりとした台が出来上がって途中下車も楽になりました。
IMG_6486のコピー (1)















 あとは、みんなで代わる代わる試運転。
IMG_6471のコピー (1)















 その合間に女子高生たちは、小屋の塗装のお手伝い。みんな自主的に良く働きます。
IMG_6478のコピー (1)
















【地方の高校留学もありかも】
 そんな遊びながらの体験学習。わたしの高校時代がそんなだったらグレなかったのにね。

 前の記事に書いた様に、この中の男の子は島根農林大学の林業科に進もうかと思っていると言うことなので、将来どんな暮らしをしたいのかとか、自然の中で暮らしたいと一言で言っても色々な切り口があるんだよ、などと話をしていました。

 でも、自伐的な小規模林業だけの世界しか知らないのと、林業科で教わる様な基礎技術や知識を知らないのでは選択肢の幅が異なりますし、また将来年取ってからでも自営業者として暮らしの基本があっても、事業体で一度働いてみてしごかれていれば、幾らでも助っ人に行けて現金収入を稼げます。

 兎に角、他人とのリレーションが採れないことには、こういった山の作業においては危険きわまりありませんから、一生一人でコツコツとやっていく作業を生業とするのではない限り、(優れたところであれば)事業体の作業方法は身につけておいた方が良いでしょう。

 この前回の記事を書く際に、島根県の林業課の普及スタッフの人に聞いたら、去年も吉賀高校から農林大学の林業科に進学した子が居るとのことでした。

 それで今回付き添いの吉賀高校の先生に確認したら、愛知県から来ていた子だったとのこと。高校生の内から地方の農山村へ留学(移住)って子も増えているんですね。

 この件を、協力隊を卒業して隣の山口県阿武町の海里山連環の地域づくり事業をコーディネートをしているT口氏に言ったら、津和野高校もやっているし、みんな隠岐の島の高校のやり方を採り入れてやっているとのことでした。
 う〜ん、隠岐の島の様な天国みたいなところへ高校の内から行けたら良いでしょうね。行きたかったな〜。。。

 私は高校生活も長く(なんで?)、浪人も何年もやって(やる気なかったし)、大学も超長く行った落ちこぼれで、仕事の幅も多岐に亘って(気にくわない面白くない仕事はやらなかったから?)いますが、一番長いのはラボラトリー関係の計測システムの受託開発の営業職でした。

 その時のクライアントには各大企業の研究所さんが多く、今でも仲良く付き合っている人もいますが、皆さん研究職で中には博士号を持つ人も沢山いました。

 で、それはそれで良いのですが、こっちに来てT大卒とかKO大卒とか言う人にチェンソーワークや刈り払い機の運用を教えていると、頭が良いからこっちの言葉は理解して、「はい!わかりました。」、とは言うものの、やることはトンチンカン。
 そして何時も失敗ばかりという現場では全然役に立たない人が多い様子でした(うちの従兄弟はT大卒ですけれど、スポーツばかりやっていたので違うと思いますが)。

 これは、もう左脳偏重教育の極み。右脳の機能である空間把握とか時間軸上の因果関係を直感的に見抜くとかいう能力が欠如しているみたいです。
 そして、そのイメイジを身体機能に反映させて、物理的にイメイジを現実化させることが不得手な人間に育ってしまっています。

 特に左脳偏重なもので、言葉の文法は合っているけれど、やっていることは失敗とかインチキだらけで、そしてその言い訳(説明)は上手みたいな。結局、結果が出ません。なので、人間関係も貧困なのかと。
4stkusabi
 其処へ行くと、前のどこかの記事に書いたかも知れませんが、津和野高校2年生にチェンソーワークとウィンチングを1日でやったことがありますけれど、午前中にフォームと丸太切りを徹底してやって、午後には実際に30cm位の立木を伐採。


 そしてPCウィンチで引き出すところまで体験をやりました。




 女子を入れて3名、みんなスポーツをやっていた子たちで、人の指示を素直に体の動きに反映させらるので、直ぐに上達するほどでした。

 もう、直ぐにでも一緒に山仕事が出来るんじゃないか、という感想をもちましたね。
4stpc2















 さて、今の世の中は学歴があっても、面白い仕事に就けるとは限りません。

 前出の研究所時代に友達になった人は島根にも遊びに来ますが、彼は通信会社の研究所で上の方まで行ってから退職して、今は自分の会社を立ち上げて先端分野の仕事をしている人です。

 その彼に聞いてみたら、昔仕事をさせて貰った通信会社(NHK、NTT、KDDI)の研究職の人たちのその後は、かなり厳しいことになっている様子。

 良くても大学教授とかに何人成れるかどうかということみたいで、その彼みたいに在職中に様々な会社相手に仕事をしてきてマネージメント能力も鍛えてきていないので、退職後にも会社を作ってもやっていけるレベルの人は殆どいないみたいです。

 ここで書いている時代の変化スパンは、この2〜30年程度のもの。20年ちょっと前にインターネットを一般人が使える様になった訳だし、30年くらい前の企業研究所は膨大な予算を持っていて研究者一人当たりの予算枠もすごかったわけ。

 でも、私たち企業が請けて受託開発したシステムが何千万円しても、直ぐに時代遅れになって2、3年で廃棄みたいなことになっていました。
 それを儲かると考えるかどうか、人によって違うと思いますけれど、企業内の部署によっても栄華盛衰があって、予算がない貧乏研究部門ではコツコツと基礎技術を高めることをやっているみたいでした。

 其の中の一つに、NTTの横須賀通研内の無線研という部署があって、当時は無線の需要が減るばかりなので、雰囲気も暗い感じのところだったんですね。
 ところが、この無線研が今のDOCOMOに発展したのは、先見の明とともに反骨精神が有ったからみたいです。

 結局、今の目の前の様相を見て損得勘定から依存的意識で行動・選択をすると、只のone of them でしかないということになりがちです。

 そして何時ももらう側で与える側にはなれないという人生。人それぞれなので、どういう立場で生きていきたいかは自分が決めることですけど、山の作業では自立したもの同士が責任持って全体を俯瞰しつつ連携することで安全が担保されます。

 仕事にやりがいを求めるのならば、one of them としてではなく、仲間の一人として共同協業が出来た方が楽しいでしょうね。

 わたしは元々落ちこぼれ路線なので企業社畜にはなれないタイプゆえ、好きなことだけやってきましたが、結局、自分に合う道を創ってこないと人生なんのためのものだったかと言うことになりかねません。

 前述の様に世の中の変化はさらにスピードアップしていますから、社会的損得勘定もある程度は必要ですけど、それよりも自分の感覚が納得するもの、惹かれることを推し進めて行った方が、実は未来に於いて、其の方が良かったと言うことはままあります。

 自分の感性を高め直感を磨いた方が、不確実性の時代と言われる今のリセットの時期を乗り越えるていくためにも、先行きのヴィジョンが見えてくる様になるのではないでしょうか。

 と言うことで、地方の今の高校生たち子供達にとっても良い方向にシステムが変わりつつある様ですから、親御さんや親戚の方々も未来を創っていく子供達には創造的な機会を持たせてあげて頂ける様お願いする次第です。

 自然の中で身体を使う作業は様々な生き物と触れる機会があります。感受性を高め知識欲を湧き立たせて、他の生物と感応することは心の豊かさを育てることに繋がります。心を失ってしまった様なロボット人間を育てても誰も良いことがないでしょう。

 都会の組織というお金を介したコミュニティとは違って、地方の地域コミュニティは人の気持ちというところに接点があります。
 人との繋がりの中でコミュニケーション能力が必要、つまり他人の気持ちを慮ったり、相手の言語外の意図を察したりする直感的右脳の機能が発揮されないと、言った言わないの行き違いばかりになるでしょう。

 コンピュータ的ゼロイチ(0と1の二元的)の論理的推論、思考方法である左脳だけでは対処しきれないのです(右利きの人の場合の傾向)。

 その点、地域社会に若い内から馴染んで、三世代家族も多い地域の中で暮らしてみることは、感性を育てるだけでなく、共に脳の働きにも良い刺激と効果があると思います。

 如何ですか。時代はとっくに変わってしまっている様に見えるのですが・・・そして何れもっともっと誰にでもわかる様なリセットの時期が来ますでしょうから、その時ではすでに別の流れに乗り直すことは出来なくなってしまう様に思えます。気づいた人たちはとっくに路線を乗り換えていますしね。自分の心や身体からくる信号に気付きましょう。

以上