今回のお話は樹上伐採とかツリークライミングのことではありません??? でも木登りの話です。
 アーボリストほどではありませんが、ハシゴを使って樹上にアクセスする際にも、また素手でよじ登った後でも、2本のランヤード(一本は長いものを用意すると可なり自由に動けます)を使えば、樹上での体勢やポジションを安定化させて楽に両手が使える様になります。この記事では、そのための技と道具について紹介してみましょう。

 下画像のオレンジ色のランヤード(ショートロープ)は15mの長さがあるので、ハシゴが無くても、このまま地上まで楽にゆっくりと下りられます。また、隣の枝に移ることもできます。ね、安全でしょう・・・
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 此方の画像は、昨年暮れに広島のひろしま森づくり安全技術・技能推進協議会さんに頼まれて行った広葉樹伐採講習シリーズの中の一齣です。
 広葉樹の伐採については針葉樹と比較しても想定するケースが多様にありますので、一回二回の講習では伝え切れないためにシリーズ化しています。

 この日は、樹上に牽引点やアンカーを設置するのに、ハシゴを使って安全に木に登ってからの展開を、さらにWランヤードとアルミステップを運用しての体勢と安全確保をテーマに行いました。

 登っている方は、薪ストーブ用の木が欲しくて伐採を習い始めた人で今回初めて木に登りました。
 この時が1本ハシゴ登り自体も初見でしたが実に楽しそうに登っていましたね。センスがとても良かったです。本業は写真家の方なので木に安全に登れるとバリエーションが増えるので樹上写真家を標榜しようかなと・・・

 この様にランヤードを2本使うと体勢が非常に安定します。これは、樹上伐採を行う人たちには当たり前の話ですが、自伐林業とか薪材収集で木に登る必要がある人たちには、精々電工さん用の藤井電工の安全帯とかツヨロンのワイヤー入り胴綱くらいしか普及していません。

 この安全帯を使っていれば未だ良い方でしょう。でも、あの安全帯&胴綱だけだと滑落する可能性が高いんですよね。


【森林整備、資源活用に必要な木登り】
 ところで、なんで木に登ることが必要か?と言うと、木を伐採する時や集材する時には高いところにワイヤーロープやロープを掛けたり、または滑車を設置したいからですね。
 人工林の育林には枝打ちという針葉樹に登る作業がありますが、この件は一般的なことなので今回は触れません。

 さて、伐採時には伐採方向に木を引っ張ったり、また掛かり木になった時に牽引して倒したいわけです。
 伐採時の事故は、伐採木がコントロール外になった状況の中で起こることが殆どでしょう。特に広葉樹の伐採は危険なことは前の記事にも書いた通りです。

 広葉樹は斜めに生えていることが多いですから、その重量を支えている重心と反対側に安易に刃を入れると木が真っ二つに裂け上がる場合もあります。
 斜めになっている木を倒しやすいからと安易に後ろから刃を入れるのは厳禁ですね。足場が悪くて作業者が直ぐに退避できない様な場所では、重心方向以外に倒すか、受けの上に裂け留めを回すか、また追いヅル伐りを使うなど裂けを回避する必要があります。

 斜めになっている木を伐る際には、自分の顔を木の重量を支えている背側に持ってきて、追いを伐る時に、ノンビリとツルの厚さを確認するなんてことをしてはいけません。
 ツルの厚さは手元のバンパースパイクを起点にバーの方向から探りましょう。ツルの厚さを感覚的にコントロール出来ないのだったら広葉樹伐採はやらない方が無難です。

 針葉樹の伐採とは段違いに難しく不確定要素が格段に多いのが広葉樹伐採ですから、道具とスキルを整えてから取り組むことをオススメします。

 ですから、少しでも自分のコントロール範囲を多くするには、より高いところに牽引点を設置したり、コントロールを阻害する枝を先に降ろしてしまえば、不確定要素を減らすことができるわけですね。ですから樹上伐採の需要が増えているわけです。

 薪炭林として活用されて来た広葉樹の里山が放置されて大きくなり過ぎていますから、今までの技術が役に立たない場合が多いのが現在です。そして、里の敷地の庭木も大きくなり過ぎていますから、その処理に際しては、木に安全に登って事前の手当てができないと二進も三進も立ち行きません。

 また、倒した重たい木を動かすにはヘッドアップというのか、引っ張る方側を上に持ち上げると摩擦や障害物の抵抗が少なくなるので牽引が楽になるからです。
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 急斜面の下の方から引き上げる場合や大径木を集材する場合は、特に必要な措置ですね。上の画像は、熊本県林研さんの総会&スキルアップ研修にお呼ばれした時に行なった美里町の急峻な山での搬出風景です。5年くらい前でしょうか。

 下の画像は6年くらい前の島根県の雲南市での市民向け搬出講習の風景です。元径が40cm位の10m以上の長尺材をPCW5000のポータブルウィンチで引き上げています。
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 斜度が急ならばより高いところにアンカーを採る必要があります。こちらは先の熊本の美里町の林道上ですね。
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 太い木を牽引伐倒する時も同様に高いところに滑車を設置する必要があります。此れらの作業には、一般的に一本ハシゴ(ラダー)に登って木の幹にベルトスリングを介して滑車をつけたりします。
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 当協議会では木に登らないで、樹上高くに牽引点や滑車を設置する方法を6種くらい教えていますけれど、場合によっては、この様に木に登る必要があったり、または登った方が作業が早かったりすることもあるので、一般の人向けの安全な木登りも講習メニューにあります。

 ですが、木に登れるようになったからと言って、見よう見まねで樹上で広葉樹の枝を切るのはお勧めできません。切った木の枝の動きとか木の癖を知らずに刃を入れると思わぬリアクションが発生します。
 想定外、と言うのは想像力や経験値が足りなくて起こる事態です。または自分の力を過信して物事をナメてしまった場合でしょう。

 特にチェンソーや重機など動力を使った作業において想定外の事案が発生すると、その反動は人間の制御能力を超えていますからシリアスな事故につながってしまいます。

 木は重たいです。ちょっとした枝が身体に当たっただけでも大怪我をしかねません。運が悪ければ一生引きずる事になります。

 登っている高さが大して高くないからと、そこで枝を伐ると落ちた枝先が地面に当たって撓んだ(たわんだ)反動で、切った枝の元が自分に向かってきたり、または梯子を払ってしまい転落する様な事故もあります。
 植木屋さんの死亡事故も2、3mとか低いところの方が多いらしいです。低いところだと、それこそナメてしまい安全確保も疎かになりがちです。

 また、広葉樹の樹上で枝を切るのは、地上で沢山の倒した広葉樹の枝払いや玉切りを経験して、応力の掛かり方やその処理の仕方を経験し、木の重さと重量バランスなどの見積もりが出来る様になってからのことでしょう。
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 伐採した広葉樹の枝を処理していても、枝掛かっている応力とか重量バランスを見切って作業をしないと上の画像の様に木に襲われてしまいます。

 10年以上前神奈川県の北西部、樹上での伐採のなんたるやも何も知らないころに、この木に襲われているおじさんの別の現場、高所伐採の手伝いをしたことがありますが、今から考えるととんでもない事をやらされていました。
 民家裏のケヤキの枝降ろし作業ですが、上の枝にワイヤーを掛けて降ろす枝を吊るしておいて、そのワイヤーを地上の仲間三人で引っ張っていろ、と言うのです。

 はい。枝が落ちた途端にワイヤーを引いていた男三人が空を飛びました! そして、このおじさんの持っていたトップハンドルチェンソーは伐採時に枝に挟まれて持って行かれ、落下して壊れていましたね。いやはや・・・

 ということで、樹上でのチェンソーによるカッティングにも様々な知恵と経験が必要ですね(切り落とした枝や幹を自由落下させるのではなくてリギングによってコントロールする方法もですが)。
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 最近は林業業界でも、そしてそれ以外の世界からアプローチする人など、樹上伐を行いたい人たちが増えていますけれど、針葉樹しか伐採したことがない人たちがイキナリ広葉樹の樹上で枝を切るのは非常に危険だと思います。
 長年やっているプロだって枝の動きを読み切れずにチェンソーを撥ねられて左手を切削してしまった人もいますから。

 ちゃんと然るべき講習を受けつつスキルアップした方が良いでしょう。色々な団体で樹上伐採の講習を開催していますし、また、長野県のアウトドアショップK(以下ODSK)や株式会社マルイチでも行っていますので、ご自分に合いそうなところで、何段階もの講習を受けた方が長い目でみてお得ではないかと思います。
 アウトドアショップKでは多くの樹上伐採の人口増大の需要に対応するために東京営業所をこの春から開設するくらいの状況になっているそうです。

 さてさて、今回の記事は、取り敢えず一般の人が行うハシゴクライミングの後に、ランヤードを2本使って体勢の確保を行うと安全性が飛躍的に高まるということがテーマです。
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 この体勢もランヤードが2本あってこそ、安定したポジショニングを採れています。この時は、アウトドアショップKの島根ツリーワーク講習の時のものですが、お借りした現場でこの桜を伐って欲しいとのことだったので、木の大きさを3倍想定にしてリギングの講習を行った時のものです。

 なので、木が細いです。登っているのは講師のホセ・カルロス・飛で氏ですね。ブログは此方ですが更新が止まっています。ブログの更新が止まると、事故ったんじゃないかとか、生きているのかとみんなが心配するのがこの業界ですが、元気に活躍しています。(^-^;;
 
【ご参考にツリーワーカーの動き】
 でも、木が細くてもロープで確保してあるとこんな事もできます。
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 リムウォークですね。電線の上の枝処理などに必要な技です。
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 こんな低い木ですが、説明しながらの講習には声が近いのでやりやすいとODSK社長の木下講師でした。
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 枝をエレファントウィンチで持ち上げながらカッティングして、切り離したあとに牽引しつつ空中を移動させるリギングを行いました。木の大きさを3倍に想定した中での作業イメイジ構築の練習です。

 下の画像もロープクライミングの後のリムウォークですが、ハシゴクライミングのあとのランヤードの1本が長ければ同じ様な事も可能です。こちらは広島県の安田林業の社長ではありませんか・・・
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 ま、ランヤード二本では、こんなことまでは無理ですが・・・ 下は島根のクライマー二人です。堀江さんと神内さんですね。猿仲間です。同じ猿仲間の飛でさんに誘われて神内さんは、南の島まで伐採に2年連続でバカンスしていますね。
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 こちらもODSKの島根ツリーワーク講習の時のものです。
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 受講者の人たち2名が登っています。
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 1名は女性の方ですね。女性は身体が柔らかいのでしなやかに登っておられました。

 樹上伐採が必要なシチュエーションは、取り敢えず大きな枝を降ろさないと伐倒ができないとか、木の下に構築物などがあって伐倒が出来ないから細かく刻んでいくなどの場合ですね。

 この講習の時の風景です。
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 皆さん、結構遠くから参加されています。中には関西からの参加者で、大会社のホンダに勤めて車体設計をやっていたけれど、退社して樹上伐採の仕事をしている若者もおられました。
 車体の応力計算の仕事をされていたそうですから、リギングに於ける物理的解析は得意そうです。樹上伐採の仕事の方が面白いと言っていましたね。

 樹上伐採の仕事、いわゆる特伐の仕事には、一般的な林業と言われる仕事の現場作業をやったことがない人が多いかも知れません。自分的には大丈夫なのかな?と、疑問に思うこともありますが、実際そうみたいです。
 前出のホンダに居た彼は賢そうだし、性格的にも側から見ていても安心感がありましたしね。


【安全確保と共に動きを自由にするWランヤードの活用】
 さて、こんな大きな木の上ではクライミングロープと長いランヤードの組み合わせでないとちょっと厳しいですが、低い木ならば二本の長いランヤードを使うことで、かなり自由にそして安全に樹上を動き回れます。
 正しく造園業の方達のためのシステムではないかと思います。下画像の様な腰の回転をしやすい機構になっているのがツリーワーク用のハーネスの機能です。ただのツリークライミング用のハーネスとの違いですね。
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 これも島根ツリーワーク講習の一コマです。
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 二本のランヤードだけでリムウォークを行なっています。
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 そして、地面に帰還。地面に居る受講者に説明がし易い様に、この木は低い木でしたが実際にはもっと大きな木でも可能です。

 木でも岩でも上手にやれば難しいところを登ることは可能ですが、難しいところこそ下降は道具がないとまず不可能でしょう。
 樹上伐採用の長いランヤードを使えば、そういった下降も可能にし、また樹上の枝の上の横移動も可能にします。


【林業用の安全帯って大丈夫?】
 いや、大丈夫じゃないって・・・わたし3段6m上の最上段のステップから落ちたことあるし。。。とは言っても直ぐに木にしがみついたから落下はしなかったんですが。
 しがみ付きながら片手でチェンソーのエンジン切ったりして・・・流石にトップハンドルチェンソーは片手でエンジンが切れる様になっています。
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 これは落ちた木ではありませんが、近くの木のハシゴの天辺まで登ったところで落ちました。
 因みに下の画像はロープクライミングのDdrtクライミングの時の腰周りです。ま、全然違いますよね。
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 それで落ちたところは、こんな景色のところでです。思わず誰かに見られて居なかったらだろうかと、辺りを見回してしまいました〜。

 それで、なんで落ちたかと言うと、2m3段のラダーを登っていく途中の枝をチェンソーで落としながら登って行ったのですが、3段目の上でラダーを紐で木に括りつけて動かない様にするのを忘れてしまったんです。

 3段目途中の枝を切るのに夢中になっていて、そして上まで登り切って、木の裏側の枝を切っていた時です。
 ステップに掛かる果汁のベクトルが変わったものだから、ラダーの天辺のステップを足で押す様になって木から離れて行ってしまい、自分は木とラダーの間に落ちてしまったという何とも間抜けなお話です。
 その後は何とかラダーの最上部までよじ登ってリカバリーしました。多分、誰も見ていなかったと思います。おお恥ずかしいっ!

 で、この時に胴綱は何にも役に立っていませんでした。もちろん、もう1段下まで2m近く落ちればラダーが木に括りつけてありますから、その辺で止まったかとは思いますが。

 でも、同じ様な体験者の飛で氏は、木で顔面制動して顔がズルズルになったとか。

 結局、何で危ないかというと安全帯と胴綱と木との関係はこんなスカスカなものだからです。
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 お腹と木の間が空いているじゃないですか。こう行った電工さん用(改)のものって、単に胴綱にワイヤーロープが入っていて、刃物にちょっと強いという程度だからです。

 基本的に胴綱を使ったハシゴ登りはハシゴや木を手で掴んだりしません。胴綱を両手でもって、登るたびに上に打ち上げながら登っていくんですね。だからお腹の間は空いていないと登れないわけです。
 他には枝に掛けたりして身体を確保しますが、ランヤードをグルッと回すだけなので、これをU字吊りと言います。

 ですから、問題は両手を離して作業をするときの胴綱のホールドの問題ですね。胴綱が下の方に垂れ下がってしまう場合があります。それは木に身体を近づけた時です。下記の画像では、上の方のコブの上に胴綱を掛けて垂れ下がらない様にしています。

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 これは何年前だったかうちの嫁さんが枝を降ろしているところです。こんな風に自分が立っているところの裏側を切る時に身体を乗り出すものだからバランスを崩す場合があるんですよね。
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 なので、少し枝を残しておいて足場にして、最後に幹のところから切り落とすということも必要だったりします。
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 杉の枝は折れ易いですからしっかりと確認が必要です。こういった時にもランヤードが二本あれば、架け替えながら安全に登れます。

 我々ぐらいの年になってくると身体は硬いわ重たいわで、若い人の様にはいきませんから安全第一です。
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 昔はお婆ちゃんでも枝を登って行って枝打ちをしたそうですが、高いところは男性よりも女性の方が怖くないという人が多いみたいです。

 さて、樹上伐採用の長いランヤードは、他のアイテムと合わせて様々なシチュエーションに対応できる様になっています。
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 こんな具合に落下しないでストップしてくれるシステムを併用します。
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 やり方は他にも色々あります。
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 要するにランヤードを木に適宜締め込んでホールドすると言うことですね。


【ハーネスの違い】
 さて、基本的なことから確認していきましょう。下のハーネスは、左はツリーワーク用のもの(樹上で作業するタイプのものは、レジャークライミング用のものとは違って身体を横に振れる。またロッククライミング用とも機能が異なる)、右が林業用の簡単なもので安全帯と言われるものです。
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TIMBER3D
 上の画像のものは、シンギングロックのティンバー3D Timber 3D アーボリストハーネスというものです。両サイドのD環にランヤード(胴綱)を複数装着できます。
 そして真ん中の丸いリングにはメインロープを接続出来ますが、左右のレッグループとの支持点が赤いベルトで繋がっていて、身体を横に捻った時に自由度が確保できる様になっているのがツリーワーク用の特徴です。

 樹上伐採時に動きを制限せずに、そして沢山のアイテムを腰に下げるために腰に負荷が掛からない様にするための此のハーネスは高額になります。低価格な上のものでも5万円近くします。

 でも、今回のテーマであるハシゴクライミングと枝の上の移動のためだけならば、ここまで機能満載の高額ハーネスは必要ありません。
 とは言っても、電工さん用の安全帯改程度の林業用と言われる下画像の安全帯では用足らずです。

 まず違うのは、レッグループという腿の部分をサポートするループの有る無しですね。林業用の安全帯にも簡単なものが付いたタイプもあります。

 これが無いと腰だけに負荷が掛かるので結構厳しいものがあります。そして、一番の違いは、もし滑落してベルトがずれて脇の下まで上がってしまいそのまま長い時間宙吊りになると鬱血死する可能性がでます。
 これは、山や沢をやる人たちでも簡易なスワミベルトというタイプのレッグループがないタイプを使った時の事故で事例があります。

 ツリーワーク用のものは木にぶら下がっても荷重を分散して一箇所に負荷が掛からない様に作ってあるわけですね。

 そして取り付けるランヤードもアタッチメントが違うので、セットするD環も材質と形状が異なります。
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 此方は左サイドですが、林業用のものは専用のロッキングシステムしか装着できません。
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 ブルーの林業用安全帯のD環は右側に二つ付いていますが、一つはギアをぶら下げるのに使えます。
 下のツリーワーク用のハーネスの赤いベルトは、身体の中央で吊り下がるリングが自由に移動できる様にするためのものです。丸いリングでロープにぶら下がります。

 さて、藤井電工の安全帯にも FC-22-W-KO型というランヤードを二本掛けられるものもあります。また、ワイヤー入りランヤードも最長3mのものもあります。
 何れにしてもU字吊りという胴綱を幹や枝にグルッと回して身体を確保するためのものです。
 こういった安全帯を使って樹上で伐採するのは故和気邁さんの様なすごい空師の方だったら使いこなせるでしょうけれど、普通の人にはなかなか難しいことでしょう。

 それに、この安全帯に簡単なレッグループが付いたタイプもある様ですが、トータルすると結構な金額になります。他のメーカーのものも5万円近かったですしランヤードを2本にすれば6万円くらいになるのではないでしょうか。


【初心者向けの低価格Wランヤードシステム】
 で、以上のことを調べながら、講習を行いに行っているひろしま森づくり安全技術・技能推進協議会さんに、協議会の安全講習に受講される人たちに対して導入し易い価格帯のものを提案したいのでODSKさんで組めるかどうか調べて欲しいと要求されました。

 わたしはODSKの宣伝はしますが営業はしないので、ODSKワーキング館のスタッフの中原氏(クライマー)にその旨を伝えて6万円くらいでツリーワーク用のもので組めるかどうかを調べてもらいました。

 中原さんは、仲間の伐採現場のサポートに出て行ってODSKのショップに居ないことも多いですが、支障木の伐採や樹上伐採の現場もやっているので、我々の様な一般市民が悩む伐採のための道具類については分かり易く相談に乗ってくれます。

 ODSKのワーキング館で何か道具を買うことがあったら、ネットだけでなく電話をして相談してみると良いでしょう。また、オンラインショップでは在庫切れの表示がよくありますけれど、電話をして確認した方が事情が見えることも多いですから、ポチるだけでなく相対で相談した方が話が早いです。

 なので、今回低価格でWランヤードのシステムを構築するに当たっては、直接電話相談でやり取りしてもらいました。

 その結果、ひろしま森づくり安全技術・技能推進協議会さんでは、この様なものを導入しました。

 講習会では、クライミングのための道具を見たことがない人がほとんどですので、道具を比較して一般知識から説明しました。
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 担当は、中国電力の支障木伐採の仕事歴14年で一度も怪我をしたことがないというクライマーの堀江氏です。
 ロープクライミング以外では、今は製造中止になった金属製のL型ステップを多用しています。樹上でチェンソーワークをするのにはスパー(足に付ける爪)は信用しないというタイプです。

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 下の画像は、シンギングロックの高所作業用のシットハーネスです。センターD環が付いたものです。価格帯からすると、藤井電工の安全帯ベルトから脱却して樹上での作業の自由度を高めるのには妥当なものだと思われます。ODSKで扱っています。
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 これに15m!のランヤード。もう一本のワイヤー入りランヤードはコストの関係で藤井電工のツヨロンを入れてくれました。

 あとは関連するプーリーやカラビナスリングなどです。ただし、ツヨロンのランヤードを装着するには一捻りしないと着けられません。

 そのために、下記のものを介して装着することにしました。
 そんなに高いものではありません。522円(税込)~1,496円(税込)くらいです。こんな具合に装着します。
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 最初は間にスチールカラビナを介してみたのですが、どうしてもガチャガチャするので取ってしまいました。
 そして上の画像だと三角の位置が回ってしまってズレています。何か回らないストッパーを加える必要がありそうです。

 それでも、取り敢えず初めて木に登った人が余裕で居られる?ほど安定しています。
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 いや、これは彼の才能かな。
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 そして、下降が楽で安全になります。
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 さて、この後もまだまだ記事は続くのですが、明日は広島で広葉樹の起こし木伐採の講習があり翌日は島根で樹上伐採の手伝いに行くので、本日はここまで。
 ではまた来週!!

 さて、記事の再開です。大分日にちが経ってしまいました。もう直ぐ1月も終わってしまいそうです。

 ハーネス(安全帯)は上記の様になりますが、ランヤード(胴綱)について書いてみましょう。
 詳しく説明すると長くなりますので、ざっと紹介しておき記事の最後の方で再度詳しく説明をしたいと思います。
 林業用の安全帯に装着する胴綱と、高所作業や樹上伐採作業に於いて使用するランヤードという胴綱の違いをみてみましょう。

 まず、胴綱と同じワイヤーが入ったものを比較してみます。
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 左が、藤井電工のツヨロンの3m胴綱です。右は樹上伐採用のワイヤー入りの4.5mのフリップライン(ランヤード)です。
 これに必要な機能を自分でアッセンブリしました。その件はあとで説明しましょう。ツヨロンの3mが15,000円台で、このHi-Vizの3mが14,000円台(4.5mは17,270円)です。が、Hi-Vizは他にカラビナとプーリーとプルージックロープが必要です。

 結果、ツヨロンよりも高くなりますけれど、ハーネスと組み合わせて使うにはこちらの方がだんぜん使いやすいです。

 それからワイヤーが入っていない普通の樹上伐採用のランヤードは下記の様なものになります。
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 右の2本は3m長のものです。下のオレンジ色のものは他の記事にも書きましたが、自分でアイスプライスを行なってスナップを取り付けました。
 自分でアイスプライスができるとお金を節約できます。が、難しいですね。

 緑色のランヤードは10m長の長いものです。詳しい説明は記事の最後に書きますが、此方はアイスプライスを行なっていない只の長いロープです。
 なので、初めての人でも自分で作れます。

 此方の緑のロープを挿している黒い筒状のものはハウススリーブと言います。枝に回しておくと木を降りてくる時にロープが枝と擦れないので傷まない様にできます。

 この辺のコストがどの位になるか、まだ大分先になりますがリストにして費用計算をしてみましょうね。


【ひろ森あん講習の風景】
 それよりも、此れらの道具があると樹上でどんな動きができるか、また安全が確保できるのかについて書いてみましょう。
 先ずは、講師をやってもらったうちの協議会のスタッフに模範演技?の時の画像を載せてみましょう。

 先ずは地面から。ランヤードを樹上の枝に掛ける方法は投げるなど色々あります。
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 短い方のランヤード(胴綱)は外してしまい下降します。
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 横の枝に移って。
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 細い方のランヤード(胴綱)でポジションを確保します。
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 あとは楽々下降ですね。
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 記事の最初に登場した、今回初登りの方はこんな感じでした。
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 まずはランヤードの使い方に慣れて・・・
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 さらに高いところに長い方のランヤードを投げて回して自己確保。そして、ハシゴよりも上に追加のステップを二つ取り付ける作業をします。
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 なので、こんな高さまで安全に登れました〜!
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 安定の姿勢です。
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 それでは、下降の準備をして・・・
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 スルスルスルと降りれます。木登りは素手でも登れるものもありますし、ブリ縄や足に爪をつけた方法も色々あります。
 登れるにはどれでも登れます。が、降りる時が危険なんですよね。これはハシゴでも同様ですし、岩登りなどでも同じです。
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 だから、この様に支点を確保してロープで降りてくるのが一番安全です。懸垂下降もそうですね。

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 初めてとは思えないスムーズさで降りてきました。

 実際に講習時の伐採作業ではこんな感じで使いました。
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 杉の横にくっついている曲がった木を牽引伐倒する準備です。

 わたしが教えている講習ではこの位の高さだったら、登らないでワイヤーやロープを掛ける6種くらいの方法もお伝えしていますが、今回のテーマは安全なハシゴクライミングと樹上での安全なポジションの採り方なので、ちゃんと登ります。
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 振り子で伐倒するので、制御するチルホールからの延長ワイヤーと、伐倒方向に牽引するPCウィンチからのロープを樹上に設置します。

 この時は講習の終了時間が迫っていたので、受講者ではなくて講師がデモと言うことで登ってしまいました。
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 ハシゴクライミングの時に行なった様に、ハシゴと追加ステップを使います。
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 Wのランヤードを使うので、ポジションを安定させやすいですね。
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 ステップを併せて使うと体勢をさらに安定させられます。
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 混み入った林内での伐採は、掛かり木対策を含めて樹上高いところへの牽引点の設置を楽に安全に行うことが肝です。

 さて、この続きは後日・・・

 と書いていて、その続きです。

 今回の講習の前の方に巻き戻して、その時の様子をみておきましょう。
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 樹上にロープを掛ける方法は色々ありますが、確実な方法としては伸縮型のフッキングポールを使うのが確実です。
 このポールはアルミ製の5mタイプですから、しっかりしていて良い仕事をします。こういった作業に釣竿を使おうとする人がいますが殆ど使い物になりません。また、ケーブルフィッシャー(ケーブルキャッチャー)という電工さんが使うものもやわらかいので、スローライン程度までしか対応できないものです。

 この伸縮型のフッキングポールはODSKで商品化しようかという話も出ています。
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 Wランヤードを使って登ったお姉様、余裕です。
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 ランヤードがW(2本)でも、途中は一本の時と同じ様に二本まとめて掴んで打ち上げます。ただし、途中で作業する場合には、長い方のランヤードを幹に二重巻きにすれば滑落は絶対に起きません。
 他にも前出の様に幹に固定する方法は色々ありますけれど、それは未だ先の話。
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 こちらも余裕です。昔、沢登りもやっていたと言うお話ですが、ちょっと引きつって居たのはなぜでしょう。
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 ここはひろしま森づくり安全技術・技能推進協議会さんのフィールドの一つですが、低い桜が沢山あるので、初歩的な木登りとWランヤードを使ったポジショニングの練習には向いています。
 来年度も引き続き、このメニューは行う予定になっていますので、広島の人たちはひろしま森づくり安全技術・技能推進協議会さんのサイトやfacebookをチェックしていてください。

 あと、ここのフィールドでは、搬出の講習もできます。前回は短距離集材のこんなことも行いました。
フローティングアンカーの活

 それは間に谷があって、材を浮かさないと材の頭が突き刺さってしまうからですね。その時は、エレファントウィンチを使わずにポータラップでしたが。

 他にはこんなテーマも控えています。
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 一番恐ろしいツル絡みです。空を太い葛が這っています。
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 こんな太いのが枯れ木を巻き込んで、樹上で何本ものヒノキと繋がっていますね。
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 アイヤ〜! これは凄いとうちの協議会の講師スタッフ2名。
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 「なんで、こんなところまで育ててしまったのでしょう?」、と言いましたら、『地主のお婆ちゃんが藤の花が好きで、伐らないでくれということなので、そのまま大きくなってしまったんです。』、とのことでした。

 葛の重みでヒノキが傾いている怖い現場です。その上、枯れ枝がメチャ多いヒノキですが、果たしてどんな具合に処理するのでしょうか。
 取り敢えず地主のお婆ちゃんに頼んで葛の根元を伐るところからと言うことになりました。

 誰か、この木に登るのかなあ〜・・・葛は2cm位の太さでもなかなか切れません。葛が樹上に掛かっていると、大木を倒す時にも倒れる方向がまるきり違う方に行ってしましますし、大木を吊るすくらいのこともしますからね。  

 2cm直径くらいの葛にロープを掛けて立木に留め、そしてPCW3000で引くと倍力の1.4t近い力になるのですが、これが切れないことがよくあります。

 さて、皆さんだったらどうするでしょうか? わたし?わたしは秘策があるので、その手を使ってやってみようかと思っています。
 でも、この葛を構う時が来るでしょうか。やるとしたら講習ででしょうね。

 と言うことで、またまた長くなりましたので、低価格のWランヤードシステムの構成内容についは記事を別立てにすることにしました。
 新しい記事につづく