以前書いた記事「電動刈り払い機を注文してしまった(葛切りマシーンに改造しようかと)」の中で紹介したハスクのポールソーだが、その後、結局手に入れてしまった。

 ハスクのサイトの内容では、全体像が掴めなかった530iPT5だが、検索したりハスクの代理店でもある益田市の石見エコーさんからハスクの営業担当の方に問い合わせをしてようやく使い勝手が分かった次第。

 ポールが伸縮可能なのが530iPT5という機種。4mまで伸びる。伸びないのは530iP4という機種で全長が2.5m。530iPT5が仕舞長が2.6m(バー抜き)なので、うちのスターワゴンでは、助手席の頭の上までバーが飛び出るが、取り敢えず室内には積める。

 でも、室内だと邪魔になることが多いくらいに長いので、ポールソーなど長尺物を外にも積める様にルーフラックにフックを取り付けてみた。ソーバーも装着したままなので結構長いかも。
 因みにソーバーとソーチェーンは取り外せるが、モーター部分は取り外せない。また、モーター部分が外せないと言うことは、オイルタンク部分もそのままなので夏の暑い時には置き方によっては、エア抜きの部分からオイルが逆流して滲み出てくる様子。気をつけないとね。わたしは該当部分をウェスでくるんで袋で包んでいる。
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 ハスクのバッテリーアイテムはどれも全天候対応なので、この様に屋根の上に括り付けての持ち運びも出来るはず。ならば軽バンでも大丈夫かも。

 さて、530iPT5の重量はバッテリーを除いて5kg。バッテリーも重たいんだよね。で、今回の記事は、その重くて長い530iPT5を使いこなすためのアイデアのご披露。
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(画像はハスクのサイトから借用)


【道具と智慧があってこその安全作業だから(いや、ホント。チルホール位しか持っていないのに、昔ながらのサーカスの様な危険木伐採をやっている人たちが結構居るんですよ)】
 そもそも、マキタのバッテリー刈り払い機を葛切りマシーンに改造しようとキャンペーン価格で注文してあったのに、さらに530iPT5まで注文してしまったのは、広島で支障木、危険木処理の依頼が昨年末の12月に入ってきたから。

 だいぶ前に当協議会の搬出講習を受講され、その後も林研さんのためのロープワークと搬出講習をやらせていただいたお付き合いがあった森林組合の課長から、自分たちでは手に負えないので私たちの仲間でやって貰えないかと打診があったのだった。

 で、最初は当ブログに何度も登場するスーパークライマーの堀江氏とちまちまやろうと思っていたのだが、広島での広葉樹伐採の講習後に現場下見に行ってみたところ、とても二人でこなせる規模ではなかったという。

 そして思いついたのが、一人で仕事をしている前の記事にも載せた美郷町の神内氏。電話をしたら速攻下見に来ることになった。現場を課長の先導で一回りしたところ、大凡の作業内容が視えたが、休日のみ来ることができる堀江氏を含めて三人だけでこなせる量でもない。

 で、神内氏が思いついたのが、もう一人アウトドアショップKの島根ツリーワーク講習の常連でもある鳥取の名越氏。前回も神内氏と堀江氏が鳥取まで行って一緒に仕事をしているという。
 そして連絡をしてみたら奇跡的に長期作業の日程が組むことができた(今年の冬は暖かくて除雪の作業が殆どなさそうということで)という訳。ま、この現場の内容については、また別の記事を起こす事にする。

 前置きが長いが、この三人はクライマー。わたしも基本的な木登り道具を持っているけれど、高いところに興味ない地面師。
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 年取ってそんな怖いことやる必要ないし、高いところに登る必要がある作業ならば仲間が一杯居る。
 それに当協議会の講習は、如何に木に登らずに難しい木の伐採や掛り木処理を行うかを一般市民さんに教えているので、登らないで処理できる方に智慧と道具を投入する、ということに。

 その様な訳で、今回の仕事の作業上の必要もありハスクのポールソーを現場投入することにした(何時も後払いで受けてくれる石見エコーさんのお陰でどんどん道具が増えていく〜)。現場には、特伐でないと処理できない大物が二箇所あるけれど、あとは高所作業車と道具が色々あるわたしが一人で処理できそうな案件が幾つもあったからだ。
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 伐倒すると他の木の枝や植栽を傷めるので、少しでも枝を落としてから行えば大丈夫な木もある。委託側からすると木登りを前提にピックアップしたものだけど、他への影響を少なくできれば登らないでサッサと倒した方が早そうなものが幾つかあったのである。

 枯れた枝ならばロープを掛けてへし折るし、530iPT5が届くところならば切り落とせば良いと考えたのだった。でも、シルキーの高枝ノコ4.9mがあることを忘れていた。
 と言うよりも道具欲しさに530iPT5のことばかり頭にあったのだと思う・・・ 何も、一人でどうやって作業しようかと思いを巡らすゲームみたいな仕事。

 堀江氏は休日しか来られないので日頃は三人作業だから、場合によっては一人余るわけ。其の時に使おうという目論見だった。

 それにしても納品されてみれば、身体が大きくて力がある外人用スペックとしか思えない530iPT5!!!
 また、カタログスペックだけで買ってしまう間違いをおかしたか!! と、一瞬反省してみたが、そこは出来ないことを出来る様にするマインドがムクムクと湧き上がった。さて、その辺が今回の記事の眼目。

 実際現場で色々使ってみたが自分が作業している画像を撮っている暇がないので、後半作業が落ち着いて来た時に動画で撮影してみたものを切り抜いて載せてみる。

 さてさて、この日は午後から山の上から降ろしてあった10m材を10輪の大型で搬出する日だったので、その午前中に枯損木の除去作業を一人で行うことができた。
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 ところで、この大杉の10m材は山の上から下ろしたのだが、この作業も結構大変だった。10m+余尺が絶対条件で、鵜飼のための船大工さんが地元材で船を作るためのものを市が提供するからなのだ。
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 これらは、山から下ろす時には、15m、14m材のまま降ろした。また、伐採するにも周りの木を傷めてはいけないので、樹冠をトップカットをしてからだが、その断幹も長くしておかないと山裾への搬出が大変なので手間が少ない様に長くした。枝も然り。全て10mmの軽架線とポータラップでコントロールして山の上から出した。
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 兎に角、この公園は紅葉や桜の名所なので他の木を傷めてしまわない様に処理することが条件なので、可なり難しい作業内容が多い。

 と言うか一般の林業者には無理な内容ばかり。で、アウトドアショップK関連の我々に依頼があったと言うわけ。
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 上の画像では、この松の左側は枯れて居るので緑のロープから左側を伐り落とすために上から枝や幹をスピードラインで下の広場に下ろす準備作業をしている。
 松の枝ぶりの下には紅葉や植栽があってフリーでは落とせない場合が殆どという作業もあった。

 で、電力会社の支障木伐採をやってきている堀江氏と名越氏(本業農家)が居て、地域に根付いて支障木の伐採を行なっている神内氏がいて、皆一人作業で全てを完結できるメンバーが揃っている上に、内容に厳しい電力会社の仕事を請けているので、現場の仕上げが綺麗と来ている。

 今月はそんな作業をしてきて、あと1日で作業が終わる事になった本日は雪で休みにしたのため、こんな記事を書いている。

【付属のストラップに代わるツリーワーク用ランヤードを活用して530iPT5を使いこなす】
 この伸ばして4mロングにすると超重たくなる530iPT5。石見エコーさんで整備士の村上さんが組み立ててくれて、「重たいわ〜、これ!!」、と渡してくれた。
 真横に構えて持っているのが大変。そのために肩下げのストラップは付いているから、それを使えばなんとかなるかも知れないけれど、我々はもっと使いやすいものを持っている。

 それは、前の記事にも紹介しているツリーワーク用のランヤードシステム。長さの調整が伸ばす方も縮める方も楽に簡単にできる様になっている。

 前の記事では、ランヤードを出来合いのセットで買うと高いので、自分でセットを作ればより低価格で使える様になるというところの話を書いた。

 森林資源活用を行なっている一般市民の人たちも、ツリーワーク用のランヤードを使って作業ができる様になれば、使用者の裾野が広がって技術レベルも上がって高いところでの作業がより安全になった方が良いし、そうすればさらに市場拡大にもなるからね。
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 そのランヤード余分があったので、登山用のスクリューロックカラビナと小型プーリーを使ってセットアップして、530iPT5の納品後に速攻装着して庭で試してみた。これなら何とか手持ちでも使えそうだ、と言うのが其の時の感想。

 でも、そのランヤードを装着したのにはもっと別の意味がある。それは、下の方にある枝にランヤードを回して支点を作って530iPT5をぶら下げて使うやり方だ。特に樹上ではあるかもしれないシチュエーションと想定して装着してみた(未だ、やっていない)。
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 それでは、今回の現場で行なった手持ち作業での枯損木処理の風景画像を載せてみる。
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 先ずはランヤードを肩に回して長さ調整をする。ポールに付いている吊るすためのフックは手で緩められるネジがあるので、位置を前後に移動して支点の位置変更が可能。
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 530iPT5のリアエンドに設置されている衝撃ガードというハンドグリップ状のものを腹に当ててランヤードを支点に持ち上げて樹上のカッティングポイントに高枝チェンソーの刃を当てる。
 真っ直ぐ上に立てれば、大凡5m位樹上の枝に届くのだが、落下時に逃げられる様にするか、サポートの人が居ればロープで引っ張っていて貰う必要がある。

 または、ロープを掛けて絞り込み、他の木に支点をとって自分に向かって落ちない様にするかだね。何れにせよ樹上に(登らないで)楽にロープやワイヤーをかける技は必要だし、想像力も必要。
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 はい。樹冠の部分が落ちましたね〜。

 この木も、何時もやっている様(幾つもの記事に載せている)に、木に登らないで、樹冠に伸縮式フッキングポール(アルミ製5m)やスローラインを使って、ロープやスローラインを掛けた上で、人力やPCW3000のポータブルウィンチを使って枯れた部分をへし折ってから元だけ伐倒しても良かったのだが、530iPT5を使った作業内容に良さげだったので撮影をしてみた。

 もしくは、木によっては樹上にロープを掛けて(伸縮式のフッキングポール&カラビナとロープセット、もしくはスローライン〜ロープ)ポータブルウィンチのPCW3000(700kg引き。力が足りなければ3倍力を掛けて)で、この様に枯損木の頭をへし折ってしまう方法で一人処理作業を行なっていた。
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※この作業の場合にも530iPT5で届く範囲ならば切れ込みを入れても良い。
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 と、いう事でフルに伸ばした530iPT5をツリーワーク用のランヤードを活用して使う技の一つが出来たかな。

 この現場作業の前半では手で持っただけでやっみたが、結果枝を切り落とした勢いで、バー先端の電動チェンソーの重さを支え切れずに、そのまま地面まで下ろす事が数回あった。

 幸い地面に石がなくて刃先を傷めることは無かったけれども、フルに伸ばしたままだとわたしの腕力では支え切れない場合もあることを認識したということ。
 下の画像では普通に持ったまま作業ができたものだが、どんな感じなのかを載せてみる。
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 付属のストラップでも肩がけが出来ないことはない(吊る位置を移動できる)だろうが、必要に応じて長さの伸縮が即時簡単に可能なランヤードは便利。

 あとは、本体をランヤードを使って枝に吊り下げて使うシチュエーションがあれば、もっと用途は広がるだろう。となると、もしかすると樹上の伐採でも使えるかもしれない(葛切りにも使えると思うが、もっと軽いものをマキタのバッテリー刈り払い機改で作ってみたいかなと)。
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 そうそう、この530iPT5の刃は1/4インチピッチのH00となっているが、オレゴンの25APと同等品。わたしは、足が短い25APが外れるのが嫌なのでテンション張り気味で使っているが、530iPT5のモータのパワーは充分。よく切れる。
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 そして、作業の終わりに元を伐採。

 おっと、このチェンソーは何だ! 今回の現場にも名越氏が持って来ていて、使わせて貰っていたが、これは名越氏のものではない。
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 ハスクのバッテリーチェンソーT535i XPではないか? って、、、今回のお題の530iPT5を注文した(予備バッテリーを含めて2つを注文)際に、キャンペーンでバッテリーが一つサービスで付いて来た。よって、この時点でバッテリーが3個。

 で、530iPT5をハスクの人が石見エコーさんへ納品に来られた時に聞いたところ、バッテリーチェンソーのT535i XPもセット(バッテリーと充電器)で注文を貰えればバッテリーを一つサービスするとのことだった。
※何も現時点ではキャンペーンは終了

 其の様なことから、勢いでT535i XPも注文してしまったという訳(以前から、音が静かなバッテリーチェンソーは欲しかった:スチールのものも使ったことがあるけれどハスクの方がしっかりとしているのでハスク狙いだったがバッテリーが高いので様子見だった)。
 また、充電器は、作業場と車と二つ有っても良いからね。うちのスターワゴンには大容量のモバイルバッテリーも積んでいるので様々なものを現場充電可能にしているし。

 なので、都合5個のバッテリーの内、2個がサービスで手に入ったということに。このバッテリー自体が25千円くらいと、改めて買おうと思ったら懐への負荷が高いのでキャンペーンの時に頑張りました〜。。。って、支払いはこれからだけど・・・

 バッテリー駆動の道具類は高額のバッテリーに二の足を踏むのだが、今回の委託事業を切っ掛けにそれもクリア〜。
 バッテリーが5つもあれば、当分は活躍してくれるでしょう。また、石見エコーさんによれば、このハスクのバッテリーもオートチューンのチェンソーと同じ様に使用履歴と性能劣化の状態がわかる様になっているらしいから、診てもらえば何時ころにリプレイスしなければいけないか、前もって判るとのこと。
※2020年2月27日追記:出来杉計画さんの記事によるとハスクの新型アーボリスト向けのトップハンドルチェンソーT540i XPが海外ではリリースされた様子格好良い他の動画
 T535i XPからT540i XPになって可なり格好良くなっている。と同時に最大チェーン速度が、20m/sから24m/sに上がっている。これが最大の違いかな。あとはバッテリーがBLi200からBLi200Xになって強力になっている様子。
 動画に載っている本体とバッテリーを併せた重量が3.8kgとなっている。T535iの本体乾燥重量カタログスペックが2.4kgで、BLi200(36V5.2Ah)の重さを電子秤で計測したら1326g(因みにマキタの18V6Ahバッテリーは670g)だった。合わせて3.716kgなのでほぼ同じくらい。T535iのオイルタンクは200cc。あとはバーとチェーンの重さが乗ってくる(昨秋にオレゴンの販売者ブラントジャパンの営業の人に聞いたら、今年はトップハンドルチェンソー用のスピードカット システムをリリースするとのことだった:1.1mmゲージのTXL95に準じたチェーンも)。
 この動画を観ると、ガソリンエンジンのT540XPよりもカッティング速度が速く、そして軽IMG_8426 (1)い、と言うことになる。
 ちょっと買うのを早まったかと言う気分になったが、良いの、私はアーボリストじゃないし、取り敢えず互換性のあるバッテリーの数が増えているので、、、と自分をなだめるのであった。
 気を取直して?T535iの装備重量を計ってみる。体重計で4.8kgだった。一緒に撮影してみたスチールの020Tが5kg、共立のCS251Tが3.3kgくらいの装備重量。

 それから両手ハンドルのT540i XPも出ているんだね。エンジンの550よりはカッティング速度が遅いけれど、ハスクの43ccクラスのものよりは速いから静かに作業をしたい場合には実用的かも。こちらも、トップハンドルと同じく0.325ピッチの1.1mmゲージみたいだ。
※2020年5月追記:その後、エコーの50Vバッテリーチェンソーが軽くてレスポンスが良いのでそちらに買い換えてしまいました〜!記事は此方にアップしてあります。
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 さ〜て、こういった流れになって、無事に難しい作業を終えられるのも、全てリレーション(良いご縁と、それを生かす心の向き)のお陰。事業委託から道具揃え、そして仲間たちとの連携と安全作業。そしてサポートや応援に来てくれた人たちの気持ち。
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 今回は全てがシンクロしていた良い流れだった。そして道具がまたまた増えてしまった。名越さんには、「随分道具を持っていますね〜。」、と言われてしまったが、それ故に現場で作業したあとの片付けが大変。何時も最後に現場を出る始末。

 そう言う名越さんも3tのミニグラップルを持ち込んで大活躍したが、他にもスマートウィンチから何からリギング用の道具類を持ち込んでいたので、作業が楽に安全に成立している。

 手伝いの人も含め、皆んなが居て無事に終了(それも早めに)した仕事となった。そして関わった皆さんがWInWinでハッピーになれた様子。何時もながら感謝感謝です。

 で、こんな道具レポートが出来ました。以上!

P.S.他の記事に載せている島根県での(未経験者の)作業費レートは都会と比較にならない位に低賃金ですが、今回サポートに来てくれた人たちには、入金後に都会以上の謝金をお支払い予定しておりますのでご安心を。また、宿泊しながらの本案件の打ち上げにもご招待。
 来てくれた人たちはこう言った仕事に興味を強く持ってくれていたので、手伝いながら無料で講習を受けられた様なもの。神内さんは意外と丁寧に教えて上げるタイプだったのね。彼は仲間内が失敗すると直ぐに突っ込んでくるタイプだけど、初心者には優しい褒めて育てるタイプの様子。と言うことでご縁が広がり、また仲間が増えました。