他の記事にも何度も載せている動滑車を使った牽引方法だが、今回新型コロナウィルスの影響で、この3月1日に予定されていた島根県雲南市でのバイオマス資源市が無くなり、その余波で暇になったので、日常的な観点から改めて記事にしてみることにした。
 が、結局あれやこれやと盛りだくさんになってしまうことに・・・そしてアップロードするのが遅くなり。

 記事の内容は、人力(場合によっては一人作業)による重量物の移動、上げ下ろしについてと、田舎暮らしではたまにある田圃にはまったトラクターを引っ張りだす作業や、降雪時の脱輪車両などの車両系のレスキューをより楽に安全に行う林業系の道具の応用について書いてある(プラロックについても書いていたが長くなるので別稿にした。車両のレスキュー方法は他にも色々あるが、自分が他に持っている車両のレスキュー道具の話はこちらに書いてある)。

 また、他の記事と重複するが、倍力システムの応用についての整理と、それから重量物を降ろしたり、材の方向転換に活用するロープの制御器であるポータラップについての実用例をメインに、またまたの能書きも満載。


【トラッカーズヒッチも3倍力】
 と、言うのも動滑車の定理を実作業に使うことは、掛かり木の処理や集材などの山での作業のみに特化した話ではないからだ。

 倍力、3倍力システムは皆さん日常でも使っている。ただ、気がつかないだけだろう。例えばホームセンターなどで売っているシンプルなタイプの荷締めベルト。ベルトを折り返して締めるので、折り返す金属カムの部分で倍力になっているということに。

 そしてトラックに積んだ荷物を固定することで言えば、僕ら関東では南京結びと言っていたトラッカーズヒッチ。これは滑車は使わないが、3倍力になっている。知っていました?
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 バイクにもフック付き荷台があれば大きな荷物を積む時にも使う(場合がある?)。カブ系ならば大きな荷物が積めるからね。上は移住する時に持って来られなかったので横浜の友達に上げてしまったCT110ハンターカブ。

 この南京結びは慣れれば簡単に出来る様になるが、実は最後の留め処理が大事。緩みにくく、また外しやすいやり方がある。

 昔、浪人の頃から学生時代(と、その後もちょこっと)のバイトにヤマハ専属の運送屋さんに結構行っていた。ピアノ(軽いアップライトピアノで200kg前後〜)、バイク(当時は750ccまでしか無かったので200kg位)、家具(昔ヤマハは高級家具も作っていた)の配送(と大型での倉庫間移動)をやっていたが、その頃はラッシングベルト(ガチャガチャ)なんて無かったから、全てロープと南京結びだった。

 700kg以上あるフルコンサートの(足は取り外し)グランドピアノでさえ荷台に立てて積んでトリプル南京(お〜!摩擦抵抗は除いて21倍力かな?)で縛っていた。そもそもだが、最初の頃はトラックに油圧のパワーゲートも無かったから、全て人力で積み込みと降ろしをやっていた(力と職人技が必要)からね。そんな時代。

 また、バイクの配送も2tロングから4t車の二階建てトラックでバイクを運んでいた(その頃にはパワーゲートがあった)けれど、全てこれもロープと南京結びで留めていた。

 が、トラックの走行中にロープの留めが緩んでしまっては不味いので、この留める締め方にはノウハウがある。田舎暮らしだと、軽トラに大きなもの、トラクターとか丸太とか積むので南京結びを使っている人は多いけれど、最後のロープの留めはどうしているのだろう。
 ま、この件はこのブログ記事のお題から外れるので、余裕があったら最後に載せてみよう。
 
 
【重量物の積み込みと降ろしに使う小規模林業小道具---牽引3倍力システムとポータラップ(人力制動器)】
IMG_8443 (1) 今回のお題は、今回中止になってしまったバイオマス資源市の際に使うために100kgあるモキ製作所の竹(薪)ボイラーをうちのデリカスターワゴンに積み込む時に、ついでに写真を撮ってみたからだ。

 そして、薪ストーブも積み込んで、あとはチェンソー製材用のためのレールやフレーム、そして95ccチェンソーを積み込めば雲南市に向かう準備が出来たというところで、携帯を見たら着信のお知らせが点滅していた。

 「資源市ですが、雲南市の方針で中止になりました。・・・・」、とメッセージが入っていた!

 ガ〜ン!!! デリカに積んであった重たい林業道具を片っ端から降ろして、リアの板バネが正常に戻ったところへ、苦労して一人で竹(薪)ボイラーと薪ストーブを積み込んだところなのに・・・ガッカリ。

 で、ガッカリしただけではつまらないので、転んでもタダでは起きない根性で記事にすることにしたと言うわけ。

 この重量物の人力での積み込みと降ろす時の制御については、一人で出来る様になると自由度が高まる(いちいち人を頼まなくても良いし、また、慣れない人を頼むと逆に危ない)。

 別に軽トラに丸太を積むだけの話ではなく、エンジンの掛からなくなったトラクターを積むとかもあるし、屋外での重量物の移動や斜面での降ろしにも関わってくるノウハウだろう。

 自分的には、瓦屋根の上に設置されていた二階用のエアコンの室外機を交換した時にロープシステム他を使って一人で下げ上げできたことが良かった。

 他の記事に詳しく書いてあるけれど、ロープスリング(プルージックループ)という補助ロープで作ったフリクションノットとメインロープの組み合わせで屋根の上など高いところでの作業が色々楽に安全になる。
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 大昔から大きな構造物を作る際には同じ様な方法を使っていたはずなので、それを現代風の道具でやってみたというところかな。
 先に書いた様にこの竹(薪)ボイラーは100kg程度なので、車輪も付いていることもあって、3倍力を作れば大した力も要らずに引っ張りあげることができる。

 下画像はヘッドレストをアンカー(支点)にしている図。3倍力の作り方については、ジップラインについての記事の中に図面を載せている。
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 かつて自伐林業の本に書いた記事は、このバリエーション。倍力だったり3倍力で丸太を積む方法の一つ。



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 材を積み込むには他にも色々な方法があるが、我々一般人は大量の材を出して稼ぐと言うよりも、山を綺麗に整備をするとか、または自分たちで山の木を利用するなどが目的なので、まずは楽に安全に太い木をトラックに積み込めれば良い(別記事に書いている様に農文協のムック本「小さな林業で稼ぐコツ」についての記事内に載せた一人で元口50cmの4m材を積む方法もある)。

 重たいものを上げたり移動する倍力システムについての生活に即した事例は、また記事の後半に載せてみる。


【重量物の降ろしに使う制動器は、方向転換にも使用】
 さて、降ろす時も色々な方法があるけれど、制動を掛けながら降ろす方法で、小道具を使う場合について書いてみよう(小道具が無いときには、ロープを立木や手すりなどに巻いて、少しずつ緩めるなどの方法もあるが、立木の場合には木とロープの両方が傷む)。

 制動器具としてはざっと以下の様なものがある。 左側の筒状のものは「ポータラップ」、中央が「エイト環」、右側は「カラビナ」
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・このエイト環は登山用のもの。人間自体が懸垂下降する時にはアンカーと書いてある側に人間が来てハーネスなどに装着する。そして☆印は人の手による制動だが、懸垂下降の場合にはロープを折り返してアンカー側(人間側:腰下辺りに持ってきて手で握る)になる。エイト環は、人間程度の重量のものを制動する道具。

・カラビナも同様に懸垂下降に使う場合には、アンカー側に人間が来てハーネスなどウェスト部分に取り付ける。半マスト結び、イタリアンヒッチとかムンターヒッチと言われる。見て解る様にロープ同士が擦れるので、他にエイト環などが無い時に人間程度の重量のものを制動するだけに使うオプションと考えておいた方がよい。

・ポータラップ。大中小の大きさがあり大は19mmロープにも対応する。リギングなど重量材を樹上から降ろす時などに使う。重さによって、ロープの太さ、巻き数を変えて対応する。ロープは熱に強いリギングロープを使用。
 ポータラップは結構高額だが、ワイヤー系だけの世界から脱出して、軽くて扱いやすいロープ系での伐採時の材のコントロールのために必要なアイテム。

 此れらは全て特殊伐採用の道具を扱っている長野県伊那市のアウトドアショップKで手に入れることができる(近々、東京の青梅にもショップを開く予定:他に記事にも度々書いているが、わたしは販売には関わっていないので、売れたからといって私にマージンが入るとかはありませんので悪しからず...)。

 こういった道具類選びについての注意点だが、人間がクライミングしたり人力で牽引する位の重量ならばアルミ製のものでも良いが、重機や動力などによって牽引するケースで使用するものは、プーリーでもカラビナでもスチールかステンレス製のものを選ぶことが大事。

 アルミのものは落下させてショックを与えていたり金属疲労を重ねるといきなり破断するので何時壊れるのかが読めないからだ。

 その点、スチールやステンレス製のアイテムは変形から読み取れることが多いので事前に察知できる。下画像は破断強度2.5tのスチールカラビナだが、高負荷で開いてしまったもの。

 そんなに荷重掛けたっけな〜? とか言っても開いてしまった現実があるでしょ?と追求される。きっと、スクリュー(ネジ)の部分がすり減っていてロックが効かなかったかもしれない。こんなのが2本あるけれど、その一本はスクリューを閉め忘れたのかも知れない。

 何れにしても、何百kgとかトンを超える様な材を動かすに際しては、静荷重だけでなく動的な瞬間荷重についても事前に対策しておく必要がある。
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 そして、ロープ類の場合でも牽引時に発生する応力の熱変換で内部から溶断が始まっている場合もあるので、何れにしても道具のメンテナンスは欠かせない。

 山仕事は道具のメンテも仕事の内。他の記事にも書いているが架線搬出を手伝いに行ったら18mmのワイヤーロープの主索がブチ切れて、自分の直ぐ側に材とキャレッジが落下してきてヤバかったことがある。主索の弾け飛んでいるのに巻き込まれなくて良かったくらい。
 と言うことで、他人の道具は信用しない人間に育ってしまった。(^^;;

 さて、ポータラップは、偏芯木伐採の際の伐倒方向制御などにも使用する。
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 重量材を山から降ろす時にも活躍するポータラップ。斜面を走りすぎない様に、また横に流れて立木を傷めない様に制御する。もしくは牽引方向の転換など。

 下画像で降ろしている材の内、一番太いものはユニック付きの大型に積み込む際に、片方をミニグラップルで支えている状態で2.5tを示していたそうだ。

 そんな重たい材を降ろしている時に、下からイワフジのT40という59馬力のロギングトラクターのウィンチ(2胴の一つ)で巻きながらポータラップに巻いているロープを絞ったら、両方で張り張りになるので2t越えの材が宙に浮いた。が、ロープが溶けていたね!

 なんで、そんな材を長いまま降ろしたかと言うと、ハスクのポールソー(4m高枝チェンソー)530iPT5の記事に書いた様に、船大工さんが10m材を求めたから。
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 下画像は、元口が40cm位のヒノキをPCW5000を使って倍力で斜面を引き上げているところ。そのままの方向では、立木を擦って傷めてしまうので、ポータラップを使って末口を横に振って方向を変える作業風景のもの。
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 今回デリカからボイラーを降ろす際に、ポータラップ小が荷室にあったので使ってみた。
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 この程度の重さならば他のものでも良いんだけどね。で、無事にボイラーを降ろせた。

 と言うことで、此れらの道具類を使えば、ケースによっては重量物を一人でも動かすことが可能になる。

 下の画像は特殊?な例だが、ポータラップと同じ機能を持ったものを使って、左手で緩めながら右手(と身体)で引っ張って切った枝を降ろす位置を一人でコントロールしている。

 一人リギングとか言って作業していたのは仲間の神内氏。某市役所の依頼でもう一人の仲間の堀江氏と三人で処理した現場作業。

 建物の屋根の直ぐ傍だったので、クライマーが二人、交代で作業をしながら行なった可なり手間が掛かる現場だった。
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【車両系のレスキュー時の転落防止策にポータラップ】
 子供の頃から遊びは土の上ばかりが多かったが、それは大人になっても変わらずで、台風の後の増水した多摩川の河原に走りに行ったり、(自分の好みで導入してもらったスバルの)四駆のノーマル社用車で河原でトライアルをやったりしていた。

jimny_5goume_down (1) 真冬の富士山の五合目まで林道アタックとかもやっていたり、また他の記事に書いた様に車で旅に出れば山奥を探索したり河原に無理やり降りるので、スタックすることは日常的なものだったかも知れない。

 そのためにレスキュー用の道具類は車に積んであり、自己脱出が基本理念?でもあり、そして他の車両を助けることも多くあった。
 それも此処の画像にある様な軽い車ばかりでなく、ランクルとか昔コカコーラが瓶入りだった頃のコカコーラを満載した配送トラックなどもだ。

 自己脱出ができない程度では他者を助けられる訳も無いのが道理。そしてスタックから抜け出すための道具を積んでいれば自分が助けて貰えることにも繋がる。

 「情けは人のためならず」 この言葉って、自らアウトプットせずに自分のためだけにしか努力しない人たちがよく勘違いしていることだが、意味は他人に対して厳しく接しようというのではなくて、他人のためを想って生きていると最終的には何時の間にか自分に還ってきているということ(現実の自分の想いとアクションに対してのフィードバックを感じられないほどに魂の負債を抱えているか、損得勘定ばかりで金銭的に得にならないことを一切やらないタイプの人は、こういった現実の因果関係が視えないけどね)

 これは自分の人生も同じで、チャレンジし過ぎて?行き詰まって何度スタックしたか分からないけれど、結局ご縁がある人に助けられている。でも、基本は自己脱出。

 自分の頭と身体(と心)を使わずにドツボから抜け出せる訳がない。ただ、大事なのはタイミングがあるということ。やたらに足掻いたらますますドツボにハマるのが常。落ち着いて呼吸を整えつつ、静かに沈んで居る時期も大事ね、ギリギリまで。
 山での危ない作業も見切りと間合いが大事だったりする。
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 なので、ただいま人生終わりに向かっている途中でも、山のことに関わっているのは自分自身が人生を最後までコントロールできる様に、出来る範囲を広げておくためかも知れないし、また、自分たちが生かせて貰っている自然環境維持の一助になればとのことがある。

 つまり今の歪んだ社会システムが崩壊しても、自分たちや周りの人たちが(より楽しく)生きていけるためのベース確保の意図があるから。

 縄文之森協議会というのも、縄文時代の森の様に恵み豊かであり、安定した広葉樹の森から涌き出でる川は美しく、川のものも海のものも美味しいから (^-^)、1万年以上も平和だった縄文時代の精神と、それから豊かな森を維持していればつまらない労働をしなくても良いんじゃ無いかという下心があるから。

every (1) だから、けっして林業と言う生業の部分での関わり方ではなくて、自然と共に暮らして行こうとしている一般市民の人たちが、山の資源活用を行いながら山を整備していく山造りといった関わりのなかでの安全で楽な方法を構築して行こうという活動を行なっている。

 今の大規模集約型の林業は、お題目は山を守るとか自然を維持するなどと美しいことを言うが、実際のところは山を壊し自然破壊を行なっているのが現状。

 であれば、自分たちが関われる山が有るのならば、自分たちで管理していける様になろうと言うのは、感受性が麻痺していない地に足を付けて生きて行こうとしている人たちのまともな感覚だろう。

 よって、自分たちのスキルを上げて行こうと日本各地でそういった動きが大きくなっている。林業という利益にフォーカスした業態の中での話だけではない。
 そういった流れの中で、7年くらい前から、樹上伐採で使われる道具類を活用した手法を地面の上で応用して安全作業の手法を作り上げ様としているのが当協議会ということ。

 どちらかと言うと最先端の技術を一般市民さんに教えているのではないかと自負している。その作業方法のスタンスは一人作業、自己脱出ね。

 一般的には、事故が起こった時のために二人以上で山に入る様に言うが、業務として雇われで行う以外では、そんな体制を作って山に入れる人たちはあまり居ないだろう(居るとしたら多いのが夫婦で山仕事をやっている人たちね。嫁さんと仲が良ければ、こんな良いペアはないと思う。徳島の橋本さんご夫妻だけでなく、島根にもそういうご夫婦が何組かおられる)。

 それに、何人頭数を揃えようが考え方が荒っぽい人たちだったり、想像力や知恵や責任感に欠ける人たちが集まって、そして力を合わせて作業をすることほど怖いことはない。

 講習会を行うと、重たい材をみんなで力を合わせてお祭りの様に動かそうとすることが多々あるのでストップを掛けることが多い。何故ならば、誰かがいい加減なことをやったり力足らずだったら事故や怪我につながることが多いからだ。

 それよりも、一人で自己完結できる作業方法を構築することを講習の目的の一つとしている。何故ならば、一人で伐採から掛かり木処理、そして集材の方法を身につけていなければ、自分の山の整備なんてできないからだ。
 そのためのポータブルな道具類の活用の方法をお伝えしている。

 こういった危険作業を自己完結できる方法を持っている人たちが智慧を寄せて難しい作業に取り組むのは良い。そして連携してできれば、その結果はより良いものになる。

 先日、ハスクのポールソーの記事に少し書いた広島での作業は、基本三人(休日+アルファ増員)で二十日間の工程を(仲間の神内氏が)見積もっていたのだが、結果実質十二日間で終わってしまった。
 休日に来られる人たちをサポートを頼んだ其の仲間たちも優秀だったが、基本全員が一人作業で自己完結できるメンバーが揃っていたことが大きな要素だろう。
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 と言うことで、このブログに書いている記事全般のスタンスは自給自立。自給は自衛と当協議会を立ち上げた八年近く前からプレゼンで各自治体の職員の人たちにも言ってきているけれど、理解できていないよね。ま、そんなものだろう。

 なので、気づいた人たちから自分たちでなんとかしようとやっている訳だけど、何度も書くが農的な自給は難しくないが、こと森の資源活用をしながらの森づくり、森林整備は危険であり難しい。
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 こんな事業体がやっている様な、山を丸ハゲにする伐採作業は素人に毛が生えたくらいの人たちでも出来るが、抜き取り間伐の作業は難しいし、それに「大きくなり過ぎた広葉樹の山」での作業といったらプロでも死ぬ人がいる位だから、今までの古典的作業方法では無理に決まっている。

 世の中で少しは広がってきている自給的流れの中で、薪ストーブの活用が一層広がっていて雑誌などに「薪狩り」などと洒落た言葉で記事にされているけれど、危ない話などは一切書かれていない。でも、一般人でも大怪我したり死んでいる人たちもいる。

 ネットで道具を揃えてみて、そしてYouTubeで動画を観たって肝心なところは判らないし、いい加減なものもあるから真似したら超危険といったレベルのものも散見する。尤もうちのブログも含めていい加減なものもあるわけだし (^^;; 、実際、細かい本当のところまでなんて書ききれもしない。情報が全てと思っている様な頭でっかちの人には、想定外の事案が多い山の作業は逆に危険だと考える。

 ディジタル的な情報伝達のレベルなんてそんなもの。そんな世界に重きを置いているから地に足がつかないで事故ることになる。危ない仕事は感性ありき。ロジックはその後。

 質の高い仕事は常に感性や感覚がまず優れていないと実現は無理だろう。ロジックは後付けだから、先に正解を探してからアクションを起こすなんてのは後追いの精神性のひと。兎に角損をしないことメンツを潰さないことが最初に来るのだろう。

 その程度のことが意識のフォーカスにあって、言葉だけで解った気になっている人たちが多いから、世の中全般から(日本の高度な文化を支えてきた)職人が消えていく訳だ。

 そもそも職人(や経験者や年寄り、そして今の日本の土台を作ってきた先人たち)をリスペクトしていないもんね。だから伝統技術や智慧が伝わらない(伝えられない)ことになる。みんな上っ面だけ。
 さて、能書きはそろそろにして本文に入ろう。

 下の画像はわたしが撮ったもの。前に住んでいた集落から上の集落への登り道で川に落ちかけていた車。雨は降っていたが、なんで登り道でこんなことになるのか分からない。

 こちらの地方のご老人、ご婦人方は狭い農道でも吹っ飛んでいくのでありそうな事ではあるが。以前に集落の若者とお婆ちゃんがカーブで正面衝突なんてこともあったりした為に、今日は、あのお婆ちゃんの車が無いから、山を降りて行くときは飛ばさずに注意しよう、、、などと考えたりするくらい。
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 下の画像は、以前現場を見に行った帰りにヌカった山道から転落しそうになった某役場の四駆バン。

 滑り易い路面で路肩の方にタイヤが流れてしまうような、こういうシチュエーションでは、落ちそうになったからといってやたらエンジンを吹かして脱出しようとすると、逆に低い方に車がどんどん流れて行って、終いには取り返しのつかない事になる。

 雪道でも良くあることだが、山奥だとガードレールなどが無いので、踏み外したら速攻谷底行きだ。
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 他の人が押して済むのならば話は簡単だが、路肩から落ち掛けている車を押し返すそんな力持ちが居ない時には、上の画像の様に車にぶら下がってタイヤに掛かる荷重を増やすモンキーという四駆乗りの技もある。

 リアが軽いトラックならば、荷台の後ろの方に大勢乗って、そしてタイミングを合わせながら(掴まって自己確保しながら)跳ねることで荷重を掛けるという技も効く場合があるが、ヌカルんだところでは、足掻くとますます深みに嵌って出られなくなるのが常のこと。

 結局、上の四駆軽バンの場合には、脱出出来なかったのでわたしのデリカで牽引をした(少し主旨が違うが牽引系の道具の話を書いた記事はこちら)。ただし、むやみに引っ張ると逆に山の下に車が落ちる危険性がある。と言うか路肩から落ちかけているところがヌカルんでいる(雪でも同じ)場合には、一方向だけでの牽引では、車が落ちると思っていた方が無難。

 この様に片方だけ引っ張っても反対側が谷側に滑って落ちて行ってしまうことに。そして、もし被牽引車両が重たければ、牽引している側の車両も谷に引きずり込まれることに・・・
 うちにあるミニカーで動きを表してみるとこんな感じに。
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 なので、必ず控えを取る必要がある。これを控えと言って良いのか分からないが、被牽引車の動くベクトルの向きを調整するものだ。拙いながら絵を描いてみた。
脱輪車レスキューベクトル
 ポータラップは、作業者が強くロープを引いていればロック状態になり、ロープを引く力を僅かに緩めるとロープを送り出すことができる。

 上図の様に車の牽引方向とは逆側にアンカーを設置して、ロープをロックさせていれば、車は谷側に落ちることはないが、後ろ側のタイヤが真横に動かなければならない場合があるので、その時にはポータラップを設置して、少しロープを送りながら徐々に引き上げた方が良いケースもあるだろう。

 何れにしても重量物の方向転換の際のコントロールに役に立つのがポータラップということ。


【田舎でよくある脱輪車両系の自力レスキューに必要な倍力システム】
 さて、下の画像は、上画像と同じ広島県の庄原市の山の中で行なった広葉樹伐採の講習会(全六日)のうちの初日のもの。先ずは牽引のための倍力システムの設定の仕方を受講者の皆さんで体験して貰っているところ。

 実感を伴った方が覚えやすいので、軽トラを脱輪車に見立てて9倍力システムを設置して人力で牽引をして、どの位の力で動くか試している。

 当然、実際には人力ではなくて、他の車両やウィンチ類を使っての牽引になるからもっと大きな車も動かせる。
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 なんで9倍力か? 他の記事に書いていることだが、被牽引物から出ているワイヤーなり繊維ロープを直引きで引いて力が足りない場合に、次に展開し易いのが3倍力システム。
 そして3倍力で動かない(重たい)場合に、次に倍力システムを追加し易いのが9倍力であるから。1→3→9の展開。

 脱輪車を牽引する際に相手が動かないからと、牽引側が勢いを付けたり、フルパワーで牽引をすると二次被害に繋がることもあるから、やってダメなら一休みして、観察しつつ頭をひねる位の冷静さがないと事故につながる。

 そのトラブル回避のためにも、牽引システムが1対1ではなくて、牽引力を3倍や9倍にできた方が良いでしょ。

 ロープの倍力システムならば機材が軽いので車に積んでおき易い。勿論、別に記事を立ててあるようにワイヤー系でも同じ様に倍力システムを構築できる。ただ、滑車(スナッチブロック)を始め機材全体が重たいし嵩張るんだよね。

 そのために以前から講習会の際にはロープを使った倍力システムの展開を覚えて貰って、実生活にも役にたつ手法を身につけて貰っている。

 それにしても此の庄原市での講習会の受講者の人たちはレベルが高かった。そしてその中の一人の人は、ひと目見ただけでシステムの意味が判ったり、その先のことも解る若い人だった。
 他の記事に書いた様な気もするけれど、話を色々してみたら彼は落第生。そしてわたしも落第生の人生を歩んできている。ゼロイチで評価するディジタル社会では能力を発揮出来ないかも知れないけれど、グレースケールの混沌とした社会では視えない部分も観じ採れて逆に分解能(リゾリューション)が結構高いタイプかも知れない。

 なので、今の社会で落ちこぼれている人たちはアナログ的な感覚が必要な農山村社会の方が合っているかも(それでも、何か目的を持って来ている人たちは良いけれど、単に都会という社会から逃げてきた人たちには無理ね。または自分探しをしている様な人。どんな社会であっても目の前の為すべき事をやり切ってから、その上で、やりたい事があるからとか、こんな生き方をしたいというヴィジョンがあってから転身した人たちでないと、基本的な生きていく上での心の姿勢が出来ていないし、社会的なマナーが身について居ないから何処へ行ってもコミュニティを濁すことばかり。他人にやって貰って当たり前の若い人たちが多すぎる。そんな種類の人たちが農山村還流とかいっても地域が荒れるばかりかと。そして、周りのご老人たちに散々世話になった人たちが、挨拶もなしに何時の間にか居なくなった話は枚挙に暇がない。ほんと人として無礼な心無い移住者が多い。年寄りたちがどれだけガッカリしているのか解っているのかね。先日も知り合いだったお爺さんたち二人が亡くなったのでお悔やみに山に上がったら、元山師のオッさんに、来る連中はみんな社会人としてやり直さないとならないのばかり送り込んでくる、と言われてしまった)


【大径木の牽引伐倒に必要な倍力システム】
 さて、牽引の話に戻そう。ここからは、山の作業における倍力システムの参考値の紹介。先日の記事に広島まで出稼ぎに行っていた話を書いたが、その時の作業の一つに大きな松の木の株別れして枯れた側を剪定する難しい仕事があった。
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 他の木やアジサイなどの植栽を傷めてはいけないので単なる伐倒はできない。スピードラインを使って枝下ろしをやり、断幹をしたものをスマートウィンチエレファントウィンチもしくはPCW3000を使って降ろしてきて、太く短くなったところで起こし木で伐倒した。
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 1.6tのチルホールを倍力で、それからPCウィンチのPCW5000を9倍力でセットした。
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 9倍力の意味は? PCウィンチの場合、負荷が掛かっている状態でホールドができない(出来ないことは無いが、ロープに対して
キャプスタンドラムが空回りすることになるので長時間行うと熱を発生する)ので、チルホールの牽引速度に合わせられる様に低速にする意味合いが強かった。

 「3倍力でも行ける」、と言ったが他のメンバーに信用して貰えなかったので、チルホールメインでPCウィンチはサポートにした。なので、殆どアイドリングよりもちょっと回転を上げるくらいの速度で牽引した次第。

 が、結局、チルの倍力が途中で引き代がなくなり、あとはPCウィンチだけで伐倒。なんの負荷も掛からずに起こし木の伐倒完了だった。
 元の太さは、有効長が75cmあるバーでも全然届かないくらい。長さは6m位だけど枝で別れていたから、重量は2t半はあったかも。
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【コンパクトな牽引セットの牽引力を有効に使うために】
 今までアップした記事に何度となく書いてきていることなのでお浚いのみ。と言うよりも道具についての話の補完かな。

 前項にある様な牽引力がある道具がない場合の伐倒では、樹上のより高い位置に牽引点を設置することが一番大事なことだろう。

 掛かり木の処理や偏芯木の牽引伐倒においてもそうだし、特に伐採の初心者ならばクサビだけでは自信が持てない時には最初から樹上にロープなりワイヤーなりを回しておいた方が結局は効率が良かったり、事故を防ぐことになったりする。

 市民による山の整備や資源活用においてその日1日のノルマがあるわけでは無いので、格好良く伐倒するよりも確実性を選択した方が良いし、後進を育てていく上でも手の内を沢山作って作業方法の選択肢を増やしておいた方が良いだろう。

 とは言っても、重たい道具を急斜面を歩いて運んでいては疲れてしまい、逆に危険要素を増やすことにもなりかねない。
 林分によっては、ロープだけ持って歩いていれば事足りる様な場合もあるけれど、手強くなってきたら他の道具が必要になってくる。それも軽量でコンパクトにまとまるものの方が良い。

 その様なときに便利なのはマーベルのプラロックというハンドウィンチ。この件については記事を別に立てることにしたので、其方をご覧いただければと思う。
 また、其方の記事には、プラロックの使いにくい点であるロックをフリーにする機構改造追加についても書いてみた。便利っスよ。
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 このプラロックの小型の方の機種であるMPR-1000の牽引力は、引張り200kgfと本体に刻印がある。カタログスペックだと横引きで1t近いが、牽引してみてもそんな力は出ていないだろうと思う。

 でも、その程度の力であっても倍力システムも併用して使えば十分な作業をしてくれる。そこで、掛かり木処理や牽引伐倒の際にその力をさらに有効に使うには、やはり樹上高くに牽引点を採ることが大事。

 それも木に登らずにできれば梯子などの装備を少なくできる。梯子などの嵩張るものでなくても木に登る方法はあるけれど、結局事故が多いのは木から降りる時。崖でも何でもそうだけど、登るにはなんとか登れるが、なんとか登ったところを安全に降りるのは至難の業。

 それを安全に行おうとすれば、そこそこの装備が必要となるので、どんな道具立にするのかは、現場の状況と自分の好み(得意技?)による。わたしが行う講習会では木に登らないで樹上にロープ(ワイヤーも)をかける技を6種類くらい教えていると以前にも書いたが、やっていることは大したことではない。

・ウェイビング2種:シングルハンドとWハンドによるロープの打ち上げ---枝のない木向け
・スローイングノット(モンキーフィスト)による樹上へのロープ投げ---広葉樹と枝が混んでいない針葉樹
・スローラインを使った樹上へのアクセス:シングルハンド、Wハンド、特大パチンコ---より高くアクセスする場合。但し、幹を一回りさせるのは智慧と技が必要
・5m伸縮アルミフッキングポールの活用:カラビナを錘にしたロープ掛けと幹回し。スローイングノットごとのロープ掛け。スローラインをリードとしたロープ掛け---持つ高さを含めば6mくらいのところにロープを回すのには確実にやりやすい。牽引方法によるが、よっぽど高く偏芯していなければ有効な高さかと
・8mのケーブルキャッチャーを使ったスローライン掛け---持ち手の高さを含めて9m位の高さに掛けられる。ケーブルキャッチャー自体は10mのものもある。が、フニャフニャ柔らかくてしなることと、そんな10m先の樹上の逆光のところまで見えね〜よ、、、というハンデが付いて回る
 以上かな。
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 上の画像は8mのケーブルキャッチャー。グラスファイバー製だがカーボンでも大差ない。柔らかいので結構曲がるし、手で持っていると振れるので樹上のスローラインを拾うのにも力と集中力が要る。

 あっ! こういうものを紹介すると、結構多くの人が釣竿でやってみる、とか言うけれど。多分、おそらく、メイビ、ダメね。
 なんでかと言うと、枝に回ったロープを引っ張ったりすると結構強い負荷がかかるので、維ぎのところに無理がかかるから。
 そう言えば、この間の作業で無理に引っ張ってケーブルキャッチャーの繋ぎの部分の一箇所をヒビ入れてしまった人がいるな〜。
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 右は分かりにくいが、3.6mくらいのケーブルキャッチャー。足場の悪いところ(ハシゴの上だったり)でロープやスローラインを手繰り寄せるのに活躍。

 真ん中のオレンジのものが8mのケーブルキャッチャー。でも、先端が柔らか過ぎるので、引っ込めて留めてあるので7m近くになっている。

 そして左の白いのが5mのアルミ製フッキングポール。これは結構いろいろなシチュエーションで活躍する。軽いのでハシゴの上でも使える。
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 材質がアルミなのでしならないし、重たいワイヤーを引っ張るのにも活躍してくれる。
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 これをアウトドアショップKさんに商品化して貰おうとしているところ。

 これらの道具を現場の木の状況に合わせて使い分けると、ヒノキの枝の混んだものでも、木に登らないで、5mアルミ製のフッキングポールで地上から最低6mくらい上のところにロープやワイヤーを回せる。その場合、ロープとスチールカラビナの錘の組み合わせは意外と使いやすい。

 例えば、スローラインにスローウェイトを付けた状態で枝にかけると、その度にウェイトごと地面まで降りてきてしまうから、枝の混んだヒノキでは却ってやり難かったりするからだ。

 と言うことで、樹上に牽引点を作るに際して、スローラインが回せれば、ロープを次に回せるし、ロープが回せればワイヤーも回せるので、状況に合わせてやりやすい方法を選べばよい。

 その上で、捨てロープ(傷んだロープやトラックロープ)を使えば、掛けたロープを引っ張って行ったり来たりすれば、何度でも何本も樹上にロープやワイヤーを回せるということで木に登らなくても可なりの段取りが出来る。
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 でも、この様に広葉樹が大きくなりすぎた林だと、やはり木に登って枝を落としてからでないとシリアスな状況を生んでしまいがち。その時は木登り伐採が得意な人を頼みましょう。無理してはいけません。
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 この程度ならばスローラインを掛けられると伐採も安全にできる。そういった作業の時にも、スローラインを手繰り寄せたりロープを引っ張ったりするのにも伸縮式のアルミのフッキングポールが役にたつことが多い。

 下の画像は枝がゴチャゴチャしたヒノキの高さ9m地点にスローラインを投げないで、ケーブルキャッチャーの先端で持ち上げてから枝に掛けた上で幹に回したところ。
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 以前、記事にも載せた林内作業車(走行集材機)の特別教育を開催した際に講習用のヒノキを準備した時の作業。
 だけど、目が悪くなってくるとその位の高さのところを注視して作業するのは大変ね。それにこういった作業方法って、作業に追われてワサワサとした雰囲気の中でやっている事業体の仕事の中では無理。

 高性能林業機械の償却費と現場以外の事務員さんの生活費を稼ぐのが殆どの目的になっている事業体の仕事の仕方ではないだろうと思う。

 わたしは現場仕事で食べている訳ではないのだが、個人や仲間で請負仕事をやる場合には、自分たちの持っている小規模な道具の範囲で利益が出る様にやる訳だし、仕事の内容の塩梅も自分たちでコントロールできる。

 副業的になるのならば尚更のこと。心的な余裕については新しい方法にチャレンジするなど、また新しい道具を投入してみるなど自分たちがイニシャチブをもって作業の取り組み方をコントロールしていることからも事業体の人たちよりは恵まれた環境にあるだろう。

 自伐型林業(副業型林業)とは、ローコストで仕事を回していく方法である。が、その自伐協の言うローコストは、3t程度のバックホウと2t4WDダンプ、それから林内作業車乃至フォワーダ辺りがあることが前提だから、よっぽどの広さの山とやる気が無かったら理念だけでは敷居が高いだろう。

 でも、其処まで経済的な負荷が高い車両を揃えなくても、小規模のポータブルな道具とそれに伴ったスキルと智慧があれば、そこそこ利益が出る山仕事の受け方もある。そういったスタンスでやっている人たちが周りに居るからね。

 でも、そこで大事なのは人との繋がりね。営業力というほどのものは必要ないかも知れないが、先ずは人柄だと思う。地域の人たちやご縁のある人たちに信用される人でないとご縁も広がらない。職人技は必要だけど自分の世界に篭っているだけでは、混沌とした世の中では相手にされなくて終わってしまうかも。

 その辺のことについては、もう二十年近く前に農文協の現代農業の臨時増刊である青年帰農の一番最後に記事を書いた(ペンネームだけどね)。半農半Xという言葉が言われはじめた最初の時だったが、わたしが半分インターネットで食べていた時の経験談を書いてみたもの。

 なので、こんな所まで読んでいる人は解っているだろうことだけど、うちのブログで紹介しているのはもっともっと小規模林業とか個人的な山仕事に関わる手法の話。それも、重機が入れない場所での機動的作業方法について特化して書いている。

 道具の中にはそこそこコストが掛かるものもあるけれど、それでも山仕事して大きな木を伐って出してくることを考えればコストパフォーマンスは高い。また、其処からステップアップしていけば良いしね。兎に角、山に関わりたいと思う市民の人たちが増えることが前提だと思うので、こんなブログを書いている。

 それよりも、前から書いている様に何か災害が起こったら、自分たちで切り抜けて行かなければならないだろう。此れからの時代は行政に頼って行政のせいにしていたって、自分たちが困るだけ。
 そういった意味ではドンドン山に関わる人たちが増えていた方が良いし、実際にそうなってきている。

 そして、そのサンプルとして、わたしの様な街場に生まれ育って年食ってからやっと田舎に暮らせる様になったひ弱な男が、独りで太い木を伐ってそれを里まで出して来られたり、また現場で製材して良い板が採れる様になってきているのだから、そのことを考えたら充分役に立つ道具に投資していると思っているのだが如何だろうか。

 五年前にオフィシャルサイト自伐林業への道を開設してから、その後このブログを立ち上げたのもその経験をシェア(自慢?)しようとしているつもり。

 だって、十年くらい前に男だったら木を伐って、それで小屋ぐらいつくれた方が良いと血迷って横浜の水源林保全をやる会社に入社したことがある(震災でさっさと移住したので短期間)が、その時はタワーヤーダなどがなければ搬出できないと思っていたからね。
 ましてや一般人には今みたいなポータブルな道具類があることさえ知られていなかったし。

 だから、山仕事は道具ありきということ。何にしても放置林が大きくなり過ぎてしまった現在としては、チェンソーとクサビくらいでは手に負えないものが多いと思っていた方が良いだろう。

 特に農山村で自給的に暮らそうとして燃料である薪を調達しようと思ったら、針葉樹とは段違いに難しい大径木の広葉樹を伐る必要も出てきかねない。

 そういった太くて斜めに生えている広葉樹伐る必要がある場合には、重心方向に倒す必要がある場合には要注意。
 広葉樹は重心方向の反対側の背の部分で重さを支えているから、其処に追いを入れると裂ける可能性が高いと思っていた方が良い。

 裂けることありきで体勢(と手立て)を整えておくこと、またはロープやワイヤーを巻いて裂け留めを施しておくこと。受け口は大きめにとか、切れない刃のチェンソーを使ってタラタラと切らないとか、いろいろ注意点がある。

 そして蔓がらみや枝がらみで思わぬ方向に倒れたり回転したり、または自分の方に戻ってきたりすることもありきで、よくよく観察して自信が持てなかったら止める勇気を持つことね。

 期待と希望だけで作業をしても良い事がないのが山仕事。ゼロイチの左脳的思考しかできない人たちは参入しない方が幸せかもしれない。

 また、道具代をケチる人もね。このブログで色々書いているのもそういったケチ臭い意識を変えて欲しいから。道具代ケチって命を取られてしまったら元も子もないでしょ。

 山仕事は良い道具ありき。そしてその道具を使いこなせる智慧と経験も必要。ところが、こういった小規模の優れた道具を使えるのは、特伐といわれる樹上伐採を行う一部の人たちと我々一般市民くらい。

 先見の明がある事業体以外の山のプロたちでも、仕事では重機があることが前提で、また個人的作業に於いても重機がなければ山の資源を自分たちで活用できる様な経験も、そして道具立も無かったりする。

 そして、例え重機があったとしても、重機が入れる道が付いていなければ山奥から材を出して来られないでしょ。
 だけど、我々は何らかの方法で出来る道具立があるし経験も積み重ねている。だから、うちの協議会のテキストのトップページに書いてある様に“目指せスーパー素人”と言うわけ。

 原油が止まっても、人力でも多少のことができる道具立もしているから、経済がストップしても最後までしぶとく生き残れると思う、今日この頃だ。
 って、かなり上から目線すぎ? スミマセ〜ン!!!

 ただ、そう言ったリスクマネージメントにのみフォーカスしている訳ではなくて、山仕事自体が面白いし、大自然からの収奪ではなくて自然と共に暮らしていくためにも重機に頼らない小規模なアプローチは大事な切り口だと思うのだが如何だろうか。

 大自然と自分とを切り分けないスタンスは昔からの日本人と世界中のネイティブの人たちが持っているものなのだから、森林や山に対しての関わり方を林業という切り口ではなくて、一般市民が自分たちの生活のベースづくりとして関われる様になっていくことが今後の転換期に際しての態勢づくりになるかと考えているのだが・・・
 以上