毎度お馴染みの高強度繊維ロープと動滑車を使った作業ですが、ご参考になるかどうか田舎暮らしの日常?アプリケーションを載せてみます。

 この場合の高強度繊維ロープと言うのはホームセンターで手に入るロープ類ではありません。ホームセンターで売っているロープで強度が強い部類のものはクレモナロープでしょう。三つ撚りと編み込んだ金剛打ちの2タイプがあります。ですが、重量物の木を扱うには人力で行う作業に使う程度まででしょう。


【伸びるロープは危険!】
 このクレモナロープは、自分的には40年以上前から使っているタイプです。山仕事では掛かり木処理に使いますけれど、人力で処理が済む軽い木を引っ張る位ですね。クレモナロープに動力やチルホールなどのウィンチ類を使って引っ張って限界を超えたら簡単に切れます。特に擦れて傷んでいるロープは危ないです。

 その切れる際に怖いのが、伸びた後に切れることです。

 何故ならば、大抵は他のものに繋ぐのにUシャックルなどの金属類を使用して接続するとか、倍力を掛けるのに金属製の滑車を設置しているので、場合によっては此れらが作業者や牽引車に向かって飛んでくることがあるからですね。

 今回、塀際のニシキギを抜こうとして軽トラで引っ張る際に最初に使ったのが、ホームセンターで売っている所謂トラックロープというものです。強度が1tとか書いてあったかと思います。

 これで、ニシキギを倍力掛けて軽トラで引っ張ったらロープが伸びる伸びる!! 怖いので途中で止めました。ニシキギを舐めていたんですね。根の張りが凄かったです。

 軽トラは四駆の副変速機に入れてバックで牽引です。四輪ともスリップして車体が横に流れました。
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 勿論、手が入るところまで根の周りは掘ってありますし、そしてヨキ(斧)が届く範囲の根は切ってありました。道具類は、バチヅル(片方がツルハシで、もう片方が唐鍬の細いタイプ)と根切りヨキ、それから身長ほどの鋼のバールです。スコップなんか役に立ちません。
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 この画像は抜いた後ですが、画像右上に写っている道具類が活躍しました。大ハンマーは株の泥落とし用ですね。

 此処は塀際であることだけでなく、山水道のパイプや他の植栽などがあって、周りから掘って攻めていけないんです。なので、もう大変。

 高校生の時には植木屋さんへ散々アルバイトに行っていたので穴掘りは得意な自分ですが、今回はえらく難儀な案件でした。
 それで、力尽くで引っこ抜くことを思い立ったわけですが・・・

 で、根が横に張りまくったニシキギの根張り強度に驚きつつ、牽引する手前側を深く掘っておいてから、ロープを強度が高いリギングロープ(牽引用のロープ)に変更して再度チャレンジです。
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 上画像の左側がホームセンターで2千円くらいで売っている20mのトラックロープです。これも山の現場では、樹上にワイヤーを掛ける時に使うとか、邪魔な木の枝を引っ張っておくなどの捨てロープとして活躍しています。

 要するに擦れて傷もうが切れても構わない捨てロープ用というわけです。でも、重量物である木を牽引するなどには前述の様に危なくて使えません。

 右は同じ三つ撚りですがリギングロープという強度の強いものです。三つ撚り(スリーストランド)は、強く引っ張ると捻れが戻ろうとするのでちょっと扱いにくいですが、擦れに強いので荒っぽい扱い方には割と安心なタイプです。

 上のロープはバッグに45m入っています。製品名はサムソンのツリーマスター(12mm)です。

 ホームセンターのトラックロープとは同じ太さですが、強度が全然違います。破断強度が3t以上あります。
 ただ、三つ撚りなので若干伸びが出ますので、伸びにくい伸縮性が少ないものは下画像の中央部分に写っている青、白、緑色のポリエステル素材のリギングロープがオススメです。

 普通に売っているロープは、高負荷を掛けると大抵は伸びます。また、山登りに使うクライミング用のロープは、墜落時に伸びる事でショックを和らげる様に30%以上伸びる特性をもっています。
 この特性によってクライミングロープは、ダイナミックロープという種類にカテゴリーされますが、伸びないロープはカテゴライズするとスタティックロープとなります。

 木登りロープは伸びると登りにくいのでスタティックロープの種類になりますが、もっと伸びないロープのカテゴリーはリギングロープということです。


【ロープの材質や構造(造り)について】
 素材がポリエステルというだけでなく構造や編み方が異なり、強度が非常に強いものです。下画像には、様々なロープが写っていますので、以前書いた記事に重複しますが、少し説明しておきましょう。
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 上画像の左から3本目から5本目までがホームセンターで売っているクレモナロープです。強度が1tとか1.4tとか言われますが、重たい木の牽引には気を付けて使いましょう。重心が偏った木の伐採に使ったりするとシリアスな状況を呼んでしまうかもしれません。

 何故ならば、クレモナは素材名で確か東レの製品だったと思いますが、綿ロープの様な手触りで耐候性もあり、トラックの荷を縛ったり日常的には非常に使いやすい優秀なロープではありますけれど、山の木などの擦れにはそんなに強く無いからですね。

 下の画像の右側が、クレモナロープの12mmです。金剛打ちの編み込んだタイプですが、擦れて毛羽立っていますよね。
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 左側の緑色のロープはポリエステル素材のダブルブレードロープというタイプで、芯(コア)と被覆(シース)の二重構造になっている伸縮性の非常に少ないものです。

 その上、この緑色のロープは被覆が32ストランドというように編み込みが密になっていますから擦れに強いものです。通常は24ストランドがほとんどなので珍しいタイプと言えるでしょう。

 その上、柔らかめなのでノット(結び)を作りやすい特徴もあります。他にも同じ様な価格帯で強度的にも近い10mmの繊維ロープもありますが、硬くて曲がらなかったり、普通に24ストランドだったりなので、使い易さは様々ですね。

 この緑のロープはシリウス500という商品名の10mmですが破断強度が2.8tの高強度です。そして値段が安くてメートル当たりで358円ですから、ホームセンターの12mmのクレモナロープのメートル当たり300円とあまり違いません。

 強度がある割には価格が安いのは、売れている汎用品だからですね。とは言っても山林用ではなくて、マリーン用としてです。

 山林用の高強度ロープとして最近売られているのはこういうタイプのロープがあります。
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 素材はダイニーマとかシンセティックと言われる軽くて非常に強い繊維です。

 農林機械の店頭にも置かれる様になりました。以前は可なり高かったのですが、林業ではスイングヤータやタワーヤーダなどで使われる様になって安くなってきたんですね。
 また、最近では四輪駆動車に付いている電動ウィンチなどにも使われる様になりました。
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 でも、一般の山林作業の牽引には使わない方が身のためだと思います。何故ならば熱や擦れに弱い。

 ロープって引っ張られて高負荷が掛かった状態で木や障害物、または滑車の縁などに触れた状態で滑らすと熱で溶けて破断するんですよね。滑らせる速度は然程速くなくても、高負荷が掛かっているとちょっと滑っただけでも溶けます。

 また、このダイニーマ(シンセティック)ロープはノットを作って結んだりすると、途端に強度が落ちます。
 多分、高負荷が掛かるとロープの結び目って固く絞まる時に動くじゃ無いですか。その時の速度がある程度速いと熱を発生することもあるからだと思います。

 ですから、このダイニーマ(シンセティック)ロープの使用方法には必ずアイ(輪)を作って使うことを指導されます。

 つまりドラムに巻いて巻き取ることのみで、その強度が活かされると考えましょう。ですから、ウィンチドラムに巻き取る(キャプスタンドラムでロープを送り出すのは当然ご法度:キャプスタンドラム方式はスリップすることも前提のため)以外の使用方法は止めておいた方がよいでしょう。


【高強度で汎用的なロープはポリエステルダブルブレードロープ】
 さて、少し話を巻き戻してみますと、下画像の様に10mmのシリウス500ロープが60m入ったバッグと、その下のホームセンターで売っている12mmのクレモナロープ22mのボリュームに近いものがあります。
 山仕事では、ロープの持ち運びのし易さという観点もありますから、高強度で細いロープの使い道は多用です。
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 ちょっとした掛かり木ならば10mmでチルホールを使っても対応できますし、破断強度がさらに高いリギングロープの12mmのものにも色々な種類があります。
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 また、ポリエステルダブルブレードロープは熱に強いので、キャプスタンドラムを使ったエンジンウィンチにも使用できます。下画像のウィンチは700kg引きですが、他にも1t引きの機種もあります。
 キャプスタンドラムなので、ロープの長さ分引けますし、中間だけ引くことも可能です。
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 繊維ロープがワイヤーロープよりも扱いやすい理由は色々ありますが、手仕舞いが良いこともメリットの一つでしょう。仕舞うのに端からバッグに入れていけば良いだけなので楽です。出す時も引っ張り出すだけですからね。
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 で、こんなに太い材も山下から持ち上げられます。
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 この度は、そんなに重たい丸太ではなくて、庭木のニシキギですが、根がしっかりと張っていたために、終いには何度も軽トラを勢いつけてバックして引っこ抜きました。庭木だと思って舐めてはいけませんね。

 ちゃんと滑車をつけて2倍力の動滑車の原理を使ってやっとでした。この滑車はロープ用のものです。高強度の繊維ロープを使用する時には専用の滑車(ブロック・プーリー)を使用するとロープが傷みにくいです。
(他の記事にも書いていますが、リンク先の商品を何方かが購入したとしても私には一銭も入るわけではございませんので悪しからず。このアイテムのリンク先のODSKさんのサポートを受けているので宣伝をしているだけですし、紹介している道具自体も優れていることは勿論、専門ショップで品揃えが豊富で買い易いので紹介をしております)
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 こういった動力などを使った作業には専門の道具を適正に使用することで安全が担保できます。上っ面だけ真似をするだけでなく、必要な道具には投資した方が持続的だと思いますよ。
 かくして庭が整理されて木の植え替えができる様になりました。
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 今回は妻のためのお仕事でした。以上

P.S.記事の主旨とは全然関係がないのですが、高校生から浪人の頃に掛けて行っていた植木屋さんでの仕事後のことです。場所は神奈川区と港北区の境辺りですが、当時は農道だったところをバイクで行っていたんですね。
 そして植木屋さんですから横浜市内の現場をあちこちに行って1日が終了するわけですけど、植木屋さんに戻るとお疲れ様と、必ずお母さんがビールを用意して待っていてくれるわけです。

 それも上等なお刺身などのおつまみも用意してですよ。植木屋さんのお父さんも居て、話をしながら一杯頂いてから帰途についていました。

 いわゆる飲酒運転でしたが、横浜でさえ半世紀近く前は全然うるさくなかったですからね。地方だったらもっとでしょう。大らかな時代でした。事故るほど呑んではいけませんけれど、飲酒で危険だったことは自分の場合にはありませんでした。

 なので、今の様な管理社会は息苦しい・・・ってな事を書きたいわけではなくて、植木屋さんたち職人さんの世界のことを書いておきたいのですが、たかがアルバイトの小僧にご苦労様って、ビールやつまみを出してもてなす、その気持ちが凄くないですか。

 確か大工さんたちにも仕事をして貰った時にも、そういったおもてなしをお出ししたりするのもよく見かけましたよね。
 勿論、仕事をして貰った時だけでなくても、知り合いが寄った時とかなどでも気軽に縁側でお茶やビールなどでのおもてなしが普通でした。

 で、話は戻して、アルバイトの小僧に対してさえもおもてなしをしてくれた様に、職人さんたちの人を大事にする文化が昔はあったのでしょう。職人さんたちは、お互いに仕事を助けてもらいあったり、人に仕事を回したり、助け合いのネットワークの中で生きてきているから、そういった人をもてなす文化があるのでしょう。

 日本は市井の職人さんたちが居てこそなりたってきた生活、そして国でしたから人間関係づくりが上手なところがあったのかもしれませんね。
 今は、そんな文化もどこに行ったのやら。大体、縁側がない家がほとんどだし。

 と、今回の記事の植栽の穴掘りをして良き昔を回顧するきっかけになりました。また、わたしは色々な種類のトラックドライバーもやったことがあります。アルバイトの時や、また能書きばかり言っていて食えない時に繋ぎでやった仕事などで何種類やったのか。

 長距離から配送、宅配もやりましたね。モトクロスやるお金を稼ぎたくて高校の頃からやっていて大学の時にもやっていた、他の記事にも書いたYAMAHAの配送では、昔ピアノがステータスだった頃には、クリスマス時期は夜中近くまでピアノを一般家庭に納品することがあったのですが、遅く行くとお寿司まで用意してくれてあるお家や、志でチップをたくさんくれるお家も少なからずありました。

 多い時にはチップだけでも日当以上になったことがあります。人の気持ちって有難いですよね。ひと昔まえには人情味が溢れていましたね。

 なので、うちは宅配の人たちが来られたり、特に再配達をお願いした時には、妻もわたしも何か飲み物とかお菓子をお渡しすることで昔のお返しをしております。