ちょっと必要になって、プロ用チェンソーの代表的な機種の三軸合成振動加速度データをまとめてみたのでシェアすることにした。
 一覧はあくまでもプロ用の機種について自分が興味があるものと、それから自分が持っていたり、また使ったりしたことがあるものだけピックアップ。
 ホムセンバージョンや一般向けの低価格のものはコストダウンされているので、もっと大きいはず。それは刈り払い機も同様。

 良かったらご参考に。コピーライトは一応書いてあるけれど、出どころだけ明記の上で使用はご自由。

 ただ、ここに記載されている数値はメーカ発表のカタログ数値だけれど、実際に測定してみるとアレっと思うほど違うことがあるとか。
 それは、某メーカでは他のメーカが新機種を出すと手に入れて、そして同条件で測定してみることをやっているのだそうだ。

 だから、実際に、エンジン掛けて比較してみないと本当のところは判らないよというのが販売店さんの言。

 また、振動加速度測定の規格準拠は同一でない場合もあるのであくまでもご参考ということで。取り敢えず国内メーカのものは、国内基準に沿った実質的なデータの様だ。

 それから、装着するバーとチェーンの種類や長さでも共振する振動が異なってくるので書かれているのは標準的な一例ということ。

 この表の使い方としては、林業・木材製造業労働災害防止協会の振動障害及びその予防に関する知識の中の、3、作業の進め方の項の中に「「日振動ばく露量A(8)の計算テーブル」」書かれている横にエクセルのマクロが組み込まれた計算表がある(この事についてはチェンソー特別教育に使われる林災防の「チェンソー作業の安全ナビ」に記載されている)。

 そのファイルをダウンロードして表示し、下記の該当チェンソーの振動加速度の数字を記入して、さらに使用時間を入れると、自動的に曝露量が判る様になっている。

 そうすると、「俺のチェンソーだと1日3時間までの作業量しか許されていないな。班長、もう仕事を止めんべよ。」、ということが言える様になる?
 でも、そもそも振動工具を使っての1日の作業量は2時間までが目安なんだよね。

 日振動ばく露限界値は5.0m/S2。日振動ばく露対策値は2.5m/S2で、これを超える場合には作業を抑制するか低振動のものを使えとなっている。

 因みに下記の中の共立のCS43RSだと、3.3m/S2なので、4時間40分使用するとばく露量が2.5m/S2となる。
チェンソー振動加速度比較 (1)
 この中で、顕著に判ることは旧機種が防振用にゴムを使っていて、それが新型になってスプリングを使用する様になると圧倒的に数値が落ちて振動が減ること。
IMG_5371 (1)IMG_5370 (1)
 共立CS42RSのボディ裏側。ゴムによる防振が、新型のCS43RSになってスプリングに変わっている。
 この様に改善された上に、他の記事に書いている様に200gも軽量化され、さらに30%のパワーアップがなされているモデルチェンジで良き方向に進化した実例。

 このゴム製の防振素材だと、オイルや燃料、そして振動で劣化するので経年変化で役に立たなくなるんだよね。

 あと、バッテリーチェンソーの数値がエンジンのものと比較して大差がないのは、防振装置がない直付けだから。
 まあ、あまり振動を感じないので良いんだろうね。

 それから面白いのは、ハスクの550XPがマーク2になって新型のくせに数値が上がっていること。その上、60ccの560XPよりも大きい。

 ところで、このリストの中のハスクの395XPは流石に95ccなので数値が大きいけれど、普通に玉切りをしている分には然程手はしびれない。

 低回転型で振動数が少ないからだろうか。また、チェンソー製材の際には全開で長時間回しっぱなしになるけれど、コントロールハンドルは左手で押すものの、右手はアラスカンミルのフレームを押しているだけなので、チェンソーからの振動はそれほど影響がない。

 でも、下画像の昔のハスクが1979年に発売した99ccのものは最悪。前ハンドルなんて直結だよ。直結。いやリアハンドル(コントロールハンドル)もだったね。で、ボディは全てマグネシウムの金属製。ダイレクトに手に振動がくる。

 少しエンジンぶん回しただけで手が痺れてマジで手が使い物にならなくなる。本当に痺れちゃうんだよね。
IMG_4244のコピー (1)
 こんなの使っていたら、それでは振動病になってしまうのもわかる。

 このマシンは、綺麗に整備してエンジンが動く様になったら、その後になって、(山奥でチェンソー製材をやって上げた対価に)くれたはずの山師のオッさんが物欲しそうに返して欲しがったから返却してあげた。

 昔のマシンを弄るのは面白いけれど、こんな振動が酷いチェンソーは要らない。それにしてもオッさん男を下げたよね。

 あとは、ハスクの268XPという、これまた1980年代くらいのチェンソーを預かって整備をしたけれど、これも振動がそこそこある。
 これも、毎日使っていたらやばいかもしれない。
IMG_4781のコピー (1)
IMG_4788のコピー (1)
IMG_4805のコピー (1)
 こういった昔のチェンソーを使ってみると振動病のことがリアルに感じられる。でも、振動病って知らない人おられるのかな。

 昔、白蝋病と言われて手が白くなり、やがて使い物にならなくなるレイノー病のwikiはこちら。

 私の場合には、13歳からオフロードバイクに乗りはじめて40年近く乗り、ハンドルに振動が多いレーサーも乗っていた上に、後半チェンソーや刈り払い機をぶん回してきたので、手の抹消血管が細いと言われている。

 それで、少しでも寒くなると朝なんか手が痛くなって痺れてしまうので、ほとんど振動病直前かもしれない。その上、刈り払い機のトリガーを握る指がバネ指になりかけて先年は危ないところだった。
 若い内は良いかも知れないけれど、年取ると色々出てくるね。

 で、自分的にはチェンソーよりもU字ハンドルの刈り払い機がやばいと思う。それも大分使い古してきて、ベベルギアがすり減って来たやつとか、操作棹をぶつけて曲がっているやつとか、そのなかのシャフトのスプラインが摩耗してガタがきているやつね。
IMG_7753
 そういった摩耗の積み重ねが共振してU字ハンドルに大きな振動として伝わってくるから、刈り払い機こそちゃんと整備した方が良いだろう。

 うちで使っているのは、現在4台あるけれど、やっぱり昔のタイプは振動が多い。そしてガタが来始めているやつもだ。
IMG_7751
 ということで、振動病対策のご参考に。

 追加:下記のリストは前出のものとダブっている内容なのだが、各機種がリリースされた年を付加してみたもの(勘違いしているものもあるかも)。チェンソーの特別教育に必要なので作ってみた。

 チェンソーって、今の様な形になったのは30年以上前。
list (1)
 うちには1989年ものとか1991年ものの熟成されたチェンソーが現役で残っているけれど、振動が多いことを除けば、まだまだ使える。
IMG_2453のコピー (1)
 上画像右手前は、ハスクの300周年記念のステッカーが貼られているハスクの「39」。って、ネットで調べてもあまりデータが出てこないけど、一応42に近い造り。300周年記念モデルだから1989年製。

 その上は、確か1991年モデルのハスクの「242XP」。オイルポンプのギアを後期のものに変更してアイドリングでオイルのお漏らししないようにしてある。ノーマルで最高回転数が15500rpmという現代のチェンソーよりも高回転型。

 右手前はスチールのトップハンドル「020T」。何年ものかはわからないけれど、一応1993年にリリースされたモデル。

 その上は「020」。後年キャブなどが変更されて「MS200」となった(写真にはないがMS200もある)。こちらもカタログスペックでは、最高回転数が13000rpmとなっている。
 020は今の「MS201」のご先祖。それからその奥は、「021C」日本向けの仕様でチェンアジャスタのクイックリリースが付いたモデル。両方とも2001年頃のもの。

 全部現役。此れらはチェンソー講習の時の受講者用。この中で新品で買ったのはスチールの021Cだけ。あとは格安で譲ってもらったり、タダで貰ったもの。
 自分で整備ができれば、二個一、三個一とか部品だけ調達して復活させることが出来るものも多い。
 昔のマフラーは排ガス規制前なので焚き火やバーナーで丸ごと焼いて排気性能を低下させるカーボンスラッジを取ることができるから耐熱塗料代くらいで性能復活が低コストで可能なのが嬉しい。

 こんな記事だとすぐに書けるね。幾つも記事を途中まで書いてあるストックが一杯あるのだが、自分自身が疲れてしまってリリースできないものが多い。なので、うちのブログ記事を全部読む人なんているわけないね。無理・・・

 以上