さて、2月になってからの各記事には冬場の出稼ぎ現場の様子をチラチラと書いていたけど、やっと地元へ戻って時間が出来てきたので自分的トピックスを書いておきたいので記事にしてみましょ。

 まあ、やること沢山あるんだけどね。出稼ぎに行っている最後の頃からいきなり暖かくなって、家に戻ってきたら春満開。草は伸びるはでもう大変。


【格安2t引き電動ウィンチ活躍】
 先ずは、現場に新しくお目見えしたアイテムの話。何も仲間のN越さんが持ち込んだもの。最初は、此の格安電動ウィンチのお話ね。
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 電動ウィンチ自体は別に目新しくはないんだけど、3万円で此れだけの働きをしたら元が取れたんじゃないかと。3万円でも此れだけ働くんだいうお話。

 昔は四駆のフロントにナン十万円も掛けてアメリカのウォーン社製の電動ウィンチを取り付けるのがステータスだったからね。
 それが今では、ジムニーなどにも安い中国製の電動ウィンチを取り付けている人たちが増えて、大丈夫なんかと疑問に思っていたので、今回おおっと思った次第。

 今期で3年目の此の現場だけど、N越さんはグラップル付きのバックホーも新調して登場。そしてボディにはプレートを溶接して電動ウィンチをセットしてあった。
 此れは、ネットで買った中国製のウィンチで2t引きだとのこと。

 マジかよ!大丈夫なんか?と言う声もなんのその。結構お仕事する。先ずは斜面下からエノキの株別れの大株を楽勝で引き上げた。
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 此方の現場なんて樫の大木を伐って、その元玉を吊り上げた。
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 もっとも、こんな作業をやる予定ではなく、最初は元まで伐らなくていいと言う話だったので初めの枝のところで留めてあったのね(上画像は残っていた幹を伐採したところ。追い口の下に伐採後に材が斜面を走って行かない様に元と株を留めておくロープを巻くためのノッチが入っている)。

 枝下ろしは前日に全てクレーンを使って済ませてあったので、この追加作業が出た後は自分たちだけで一番重たい部分を処理するしかない事態に。

 もう大変。吊れるくらいに玉を切るのにも、中に石か何か入っていたり色々あって、70cc一台と60ccのチェンソー2台の合計3台の刃がダメになることに。

 それでも、縦挽き半割りしたりして吊り上げたんだけど半日作業になってしまった。それも、この安物ウィンチが有ってなんとか済んだと言う内容。
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 ただ、ワイヤー径が6mmだったと思うが心許ないので、やばい玉には転落防止用のロープを掛けてやっていた。
 このウィンチにはさすが乱巻防止はないので、一回逆巻が入ってワイヤーがキンクしてしまっている。あと、防水では無いし、カバーも取り付けられないために、雨の日は外しておくことに。

 ま、此れだけ働いたから元が取れたでしょ。あとは、ワイヤーを繊維ロープのダイニーマ(シンセティック)に換装したらもう少し使いやすくなるかもしれない。


【ハーケンウィンチ用36Vバッテリードリル活躍】
 破顔一笑のN越さん。
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 何がそんなに嬉しいかと言うと、持ち込んだアイテムのお陰で作業が超楽になったから。「年取ったら楽しなくちゃ!」、と。
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 作業現場はこんなところ。崖っぷちでの大樫の木の枝下ろし作業。

 notch_portawrap_l画像のポータラップでロープを制御しながら流して降ろした隣の樫の木の枝を、タワー代りにしている枝を落として棒状にした樫の木の上部にアンカーを設置してロープで吊り上げている。

 あ、此の時は違うわ。スマートウィンチだけで作業していたんだ。
 このスマートウィンチを設置した樫の木をタワーにして右隣の樫の木の枝を落としてから吊って、ウィンチで引き上げる作業の時の画像だった。訂正。
 枝先が地面よりも上に吊り上げることができたら、今度は別に取り付けてあるロープで山の上のエンジン(ロープ)ウィンチで横方向に引き寄せて溜める作業中(後日クレーンが吊り上げやすい様に)。

 その時の新しいアイテムは此れ。スマートウィンチというリギング用の人力ウィンチの真ん中に差し込んでいる緑色の道具。
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 36Vのバッテリードリル。樹上伐採の業界では数年前から流行っているアイテム。18Vじゃ話にならなくて、36Vの強力なドリルでこそ実現できる世界。
 それも、このドリルアダプターがあって出来る作業。

 さて、このブログの読者に多い一般市民さんたちには一体何のことかと判らないかも知れないので、先ず何をやりたいのかを説明しておいた方が良いかもね。

 山で作業をする多くの方が使ったり、また知っているチルホールという昔からの牽引具があるじゃないですか。
 あれはレバーを前後に漕いで、中に差し込んだワイヤーロープを後ろに送り出すことによって重量物を引っ張ったり、また違う方にレバーを差し込んで漕げばワイヤーロープを前に送り出して緩める機能があることはご存知でしょうか。

 このチルホールって500kg750kg引きとか1.3t、1.6t引きとか有って鉄や鋼製品なので結構重たい道具ですよね。
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 12年前にちょこっとだけ在籍していた神奈川の林業事業体の仕事で丹沢山塊の麓で750kg引きのチルホールセット(ワイヤー込みで多分18kgくらい)とチェンソー燃料一式、弁当などの荷物を持って、ヒノキ林の掛かり木処理を一日中急斜面でやっていたことがあったけど、ひ弱な私にはとても大変な作業だったことがあるのであまり好きじゃない道具なんですわ。
 扱いにくいワイヤーロープを使うので仕舞うときも手間が掛かるからね。

 そして、レバーを一漕ぎしても2cmだったかな3cmだったかな。大した距離は稼げないもの。
 とか言って、少し否定的な書き方をしていますけど、役に立つ道具なのは事実だし、うちでも時々使うことがあります。750kg引き2台と1.6t引きを1台持っているしね。

 でも、今は高強度の繊維ロープが普及してきたのでワイヤー系だけでなく繊維ロープ系で牽引システムを構築するケースが増えたんですね。

 そのロープを巻きながら送り出すウィンチを使った手動のロープウィンチが色々商品化されている。その一つが前の画像でN越さんが操作しているスマートウィンチなんだけど、他にもGRCSとか重量物対応のウィンチもあれば、うちも使っているエレファントウィンチという軽量系のものもある。
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 上画像の様なやつね。細めの立木にも設置できるコレが結構便利で市民さん向けの広葉樹伐採の講習の際にも使うことがある。

 どの機種もハンドルを回すとドラムが回ってロープを引きながら、そして送り出す。つまり、ドラムに巻き取るのではなくてロープを摩擦で締めて空回りしない状態で送り出す道具ということ。
 此れはキャプスタンドラムとも言われる。ロープ用のエンジンウィンチにドラムが付いているけれど、全てキャプスタンドラムという機能部品。
 下はカナダのPortableWinch社のPCW5000と牽引速度を変えられるオプションドラム。
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 巻き取るわけではないので、ロープが長ければ、その分を引いたり送ったりできるもの。

 ところで、このロープ用ウィンチが、チルホールと決定的に違う機能は、送り出す時にはロープを引いて持っている手を緩めて上げればスルスルスルと流れていき、ロープを止めたければロープをグッと引き寄せれば摩擦で止まること(エンジンウィンチのドラムで此れをやってはいけません!止めた時のショックが強いと中のギアが壊れます。って言うか壊した人が居ます)

 話を整理すると、このエンジンロープウィンチを使って伐採した枝や断幹した材を移動することが特殊伐採(樹上伐採)の世界では行われて来ているけれど、ハーケン社製の人力ウィンチを装備したハンドウィンチ(前述のエレファントウィンチ、スマートウィンチ、GRCSなど)にこのバッテリードリルを組み合わせると、エンジンウィンチの代わりになる上に、現場や作業内容によっては非常に使いやすいものになる。

 右にリンクを張ってある長野の特殊伐採の「株式会社マルイチ」では今までPCウィンチを使用していた(一時イタリアンウィンチを使ってみて、またPCウィンチに戻り)が、今ではエレファントウィンチやスマートウィンチにバッテリードリルを使うのが主流になっているらしい。

 ODSKワーキング館の中原さんがに依ると作業音が静かだからそうだ。理由は二つあってマルイチではJR沿線の支障木伐採を夜間に行うことが多いからと、そしてファナーのイヤマフに装着するブルートゥースの無線が複数名で使用しているとノイズで聞き取りにくくなることがあって、其の際にエンジンウィンチだと音が五月蝿過ぎるらしい。

 実際の話、PCウィンチ使う際にはエンジン音で他の作業者からの声なんて聞き取れないからね。笛か手による合図の目視が頼り。ましてや2stの五月蝿いタイプなんて尚更だから、微妙な連携作業を必要とされる場合には静かなものの方が良いのは当たり前。

 そして之らのハンドウィンチはロアリングに使えるので、引くだけでなく降ろす作業にも使えるからだ。

 さて、此れらの人力ロープウィンチにはハーケン社のウィンチがコアとして使われている。このハーケンのサイトをご覧になると分かる様に、セイリングのための道具だったのだ。

 つまり、樹上伐採やエンジンロープウィンチで使用されているリギングロープとかウィンチ用ロープ及び、此れらの手動ウィンチ類は全て海用のものだったわけ。

 ヨットのセイリングだけでなく外洋に出る帆船の帆を張るためのアイテムを転用して伐採に使っているということ。
 海用のものが進化したので山用にも使える様になったというか応用したんだね。

 そして、樹上で伐った枝や幹をフリーで落下させずに、ロープでゆっくり地上に下ろすロアリング作業の際に使うポータラップとかスマートウィンチの外側にある筒状のものをまとめてボラードと称する。例えばこういう使い方をする。

 樹上で断幹をして伐った玉をロープでコントロールして目的の位置に降ろす作業。
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 フリーで落下させられない時に行う。
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 この時に振り子の様に伐った玉がクライマーへ戻って行ったら事故になるので、ボラードに巻いたロープを緩めて送り出しクライマーの足元の下の方へ流れる様にする。
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 上画像の場合には、ボラードからのロープは、クライマーが立っている幹と違う幹にアンカーを採っているので、たとえグラウンドでロープコントロールしている人が下手でもクライマーが危険に晒されることはないが、クライマーが確保している幹の上部を断幹した時に、ロープコントロールが下手だと揺れた幹からクライマーが振り落とされることも無いとは言えない(因みに上の作業でポータラップではなくスマートウィンチを使っているのは、枝を伐採したときに下層の植生を傷めない様に吊り上げる場合があるから)。

 ポータラップを含めボラードで落ち行く枝や幹のスピードを上手にコントロールするには地面に着くまでの全体の距離内でスピードゼロに持ち込める様にして幹が極力揺れない様にするもの。
 解っていても失敗するときもあるので、わたしは何時もクライマーに叱られている。

 また、ネットの樹上伐採動画を覗いてみると、ロープを全然流さずにロック状態のまま伐採枝(幹)を落とし、その途中で止めてしまうために発生する動的な瞬間荷重がそのままアンカーに掛かってしまいクライマーが登っている木ごとブンブンと揺さぶられていたりする。

 何か基本的な道具の扱いを知らないで、凄いことやっているだろう的な動画を定期的に発信している人がいてびっくりするよね。同様のことをやろうとしている人たちはyoutubeの上っ面の情報を鵜呑みにしているとやばいかもしれませんぜ。

 ところで、本来ボラードとは波止場の岸壁にある頭が少し膨らんだ鉄の柱のこと。船を係留する時にロープを掛けて引っ張り込み、最後はクローブヒッチでロープを数巻して船が流されない様に留めておく設備のことを言う。

 ブログの最初の頃に書いたけど、うちの爺さん以前は三重の尾鷲というところでカツオ船やっていた一族で、父親の従兄弟たちまでは漁師だった。
 だから、浪人とか学生の頃には尾鷲に行って船に乗せてもらって手伝っていた時には、港に着けば岸壁に飛び降りて船を接岸するためにロープを引いてからボラードに巻きつけていた。

 余計な説明が長くなったけど話を戻してN越さんが凄く喜んでいるのは、送り出しは超楽だけど巻き取りが大変だったスマートウィンチのハンドルグルグル回しのウィンチングが、バッテリードリルを使えばハイスピードで超楽に巻ける様になったから。

 もう面白いくらいに重たい材を吊り上げてくれる。正確なところは判らないけれど200kgくらいのものは楽勝で巻き上げてくれるみたい。
 ただし、ドリルのモードをちゃんと選択して適正なものにしないと働かない。

 そして、その36Vのバッテリードリルは相当な金額になるしね。ハイコーキとかマキタのもので定価で6万円くらいでしょ。

 うちのエレファントウィンチ用に欲しいけどなぁ〜。繊維ロープ系の牽引道具が充実してくると、ますますチルホール要らなくなるね。

 あと、使っている人やコレから使おうと考えている人たちへの注意点。このハーケンのウィンチをバッテリードリルで高速で回すと内部のグリスが飛散して、終いにはノーグリス、潤滑剤無しで回しまくって中身を損傷させる人たちが出ているそう。

 ODSKワーキング館の小坂さんや中原さんが言っていた。そしてハーケン社に飛散しにくいグリスを探して貰っているんだとか。
 取り敢えず、現状ではマメにグリスアップしておいた方が良いみたい。


【若者も活躍】
 アイテムではなくて人間だけど新しいものは良いね。わたしみたいなヨレヨレのロートルとは全然動きが違う。
 この日は、N越さんを頭に若者三名とわたしの五人での作業になった。
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 朝一は作業内容と流れと連携についてN越さんから説明を受ける。
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 足場が悪い大樫の木の伐採。右側のの元は太すぎて全部片付けるには、日程・予算とも合わないので途中の枝のところで留めておいて良いことになっている。
 まず、午前中はN越さんがクライマーで登り、枝を伐る。
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 やる作業は終日こんな感じ。枝を伐って空中を移動させて、下画像の撮影者が居るところの奥に溜める作業。翌日にクレーンが来て、其れ等伐採して溜めたものを吊り出すことになっているからだ。
 つまり、クレーンが伐採木まで届かないので、2クッション置いて斜面奥ににデポしておく作業を行なった。
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 その作業の流れのワンサイクルは。

・クライマーがアンカーになるブロックを設置して、そのブロックを通して伐る枝の元近くににポータラップで制動するためのリギングロープを結び、枝には更にエンジンウィンチからのプル(牽引)ラインを結んで留める。
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・そしてクライマーが枝を切り離し落下し始める。其れをポータラップを操作しているグラウンド担当が空中で枝をスムーズに静止クライマーの胸元辺りにブロックを設置してアンカーとなっているので落下枝の動的荷重が其処に掛かるため、スムーズに速度を収斂させないと幹が大きく揺れてクライマーが危険)させる。
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・次にエンジンウィンチを操作する担当者がエンジンを始動してウィンチロープを引く。グラウンドは、枝が空中移動し始めたらウィンチの巻き上げ速度に合わせてポータラップに巻いたロープの絞りを緩めてロープを少しずつ送りだす。
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 すると、枝が空中を移動してくる。
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 空中移動(ロードトランスファー)は、枝を地面に下ろしてから地引する方法よりも抵抗が少ないために遥かに楽に少ない牽引力で移動できる。此方は700kg引き牽引力のPCW3000
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・ウィンチマンとグラウンドとの二人の連携で、伐採した枝を空を移動させて白いヘルメットの作業者の足元まで運ぶ。
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・白ヘルメットの作業者は、枝の元に縛ってあるリギングラインと、ウィンチからのプルラインの二本のロープを外してから、その二本を繋ぐ。
・グラウンド担当者は手元のロープを引いてウィンチロープと共に樹上のクライマーの所までロープの端を戻す。そして、クライマーは次の枝の伐採準備を始める。
・白ヘルメットの作業者は、運ばれてきた枝に、もう一台ある奥のエンジンウィンチのロープを結ぶ。
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・一番奥の作業者(私だけど)が、エンジンウィンチで更に奥の方へ伐った枝を引き込んで溜める作業を行う。ウィンチロープを外して白いヘルメットの中間作業者に戻す。
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 と、言うもの。此処までが1サイクルの作業ね。
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 樫の枝は写真で遠目に観ていると分からないけれど、手元に来れば太く重く、そしてボリュームが可なりある。なので、仮置きする土場になる斜面も広域に採っておかないと、翌日クレーンで吊り上げるのが大変になるからだ。

 だから、今回のケースはエンジンウィンチを2台使って、引き寄せてから、更に奥の方へ引きずり込んで溜めるという作業にしたわけ。

 エンジンウィンチはPCW3000とPCW5000。両方ともうちの協議会の設備。2台持って行ってあって良かったよ。全然効率が違ったからね。

 因みに違う日に別のエリアで大樫の木の伐採を行なっていて、その際は地引牽引でPCW5000を使っていたけど、地引は地面の抵抗が大きいので、途中エンジンが力負けでストールしたりして結構難儀だった。
 また、最近中間機種のPCW4000というタイプも出ていて、力的には5000に近い(訂正:5000、4000ともにホンダの50ccだけどタイプが違うので5000の方が強いことと、それから5000の方がドラム径が細いので高負荷に強い)。

 だけど、余計な使いにくい逆戻り防止装置(倍力やってテンション掛かったままだとロープの緊張しっぱなしで危ない:こういった緊張を解放できるシステムの方が安全・・・もっと安くセット作れると思うんだけどね)がついているので、材がリフトしてしまう場合には、物凄く危険な状況になるのでリギングなどで使う人たちは要注意だね(3000のフックとスロットルシステムが使えるので交換した方が全然使いやすい)。

 この件に関連して、ネットで手に入れられるマニュアルには、「DO NOT USE FOR LIFTING(英語のページに)」と書かれている。そして日本の輸入元のピーシー販売のサイトにも書かれている(PCWの商品名が付くポータブルキャプスタンウィンチ、通称PCウィンチは、カナダのPortableWinch社の製品。エンジンはホンダの汎用エンジンで世界共通。カナダホンダ製?が搭載)。

 が、幾つかの販売者のページにはこの件が書かれていないんだけど大丈夫かな? PCW5000はリフティング可能なアルミ鋳物製の丈夫なフックが付いていて、PCW3000は太いステンレスワイヤーが付いているので、スペック的にはNOT LIFTINGなんだけど実際には出来る。
 杉檜の斜面下からの搬出や、今回の様な枝の集積の際にはどうしてもリフティング状態にする必要がある場合が多いので、PCW4000の様な逆戻り装置は邪魔な場合が多いことを使っている人たちは知っているはず。

 また、4000は他にも回転トルクの強さとドラム幅のバランスが悪くて、ドラム幅が狭いためにロープ巻き数が少なめなので、高負荷の際に空回りし易いため使い方によってはロープブレーカーになってしまいそう(此の要素が5000程には粘らない原因の一つ)。

 この辺のことは既にテストして画像、動画も撮ってあるので、また後日記事にしましょう。他の記事のタイトルにもした様に、新しいものが「全て」良くなっているわけではないことの例みたいなもの。なので、自分なりにモディファイして使えば良いという提案。

 大体、職人さんたちは、道具を自分なりに改良してこそ良い仕事ができる訳だからね。我々も見習って道具をブラッシュアップする方が楽に作業を、そして安全を担保できる様になるでしょう。
 何れにしても、これらのPC(ポータブルキャプスタン)ウィンチは役に立つ(別メーカのイタリアンウィンチは、こう言った忙しい連続作業には使い難い。此れもテスト済みなのでまた記事にします)。

 だから、お昼前までには左側の樫の木は棒の状態までに処理できた。早っ! この作業、若者三人が居たから良かったけど、居なかったらわたしが地獄を見ていたよね。
 作業前にも、この枝をデポする仮土場がわりの藪を刈り払い機で全部払う作業もしていたし。
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 この日は、五人の連携がすごく良かったからメチャ仕事が早かった。

 えっ、わたしは奥の方で写真や動画を撮りながらウィンチングしていただけ。この日だけは楽な作業だったなあ。
 この当日、他の現場へ回っていたJ内さんには、高濱さんは言っても年寄りなので危なっかしいから無理せんといて、と事前に言われていた。
 やっぱり新し目の人間はよく働くね。なので、そろそろわたしは引退だろうか。道具だけでなく人間もリプレイス・・・

 で、午後は時間の余裕が出来たので、練習がてら若者のクライマーが登ることに。
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 こんな良い景色のところで作業することが出来てハッピー!
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 この日一日は穏やかで気持ちが良い日だった。そして作業も順調に、そして捗って良い一日だったね。
 いやあ、若者良いね。

 さてさて、この翌日は此処の説明に居なかった二名が入り、白ヘルメットの若者が抜けて全員6人体制で右の大樫の木の伐採の続きを行なった。
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 が、午前中は良かったものの午後からは振り落とされそうな大風が吹き、伐った材が風で流される様な天候になってしまい、何時も一緒にやっていて今回この土曜日のみ臨時参加だったスーパークライマーのH江氏をして、「危険度スーパーMAXだった。」と言う始末。

 大きな枝を伐るときも、山側にV字にタグラインを張ってから落としたからね。コントロールしなかったら、伐った大きな枝でさえ谷側に流されてしまいそうだった。
 そんな大風の中での作業を進める。
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 でも、スペシャル上手なクレーンオペレータを得て無事に作業は進んだ。そして、オペレータとN越さんが無線でやりとりして、スムーズに荷掛けをやってくれたお陰だ。
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 この日、H江氏はその前の三日間の樹上伐採作業が超ハードだったので疲れ気味でサポートに来ていたけどなんとか無事に作業を終了。
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 なので、この後はみんなで焼肉屋さんへ行ってJ内さんの奢りで打ち上げ! そして、その後は、宿のわたしの部屋に乗り込まれて二次会を。
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 長期宿暮らしのため持ち込んであったMacとモニターで、以前からの伐採動画や失敗動画をみんなで観て12時過ぎまで盛り上がっていた。
 お疲れさんでした!

以上